いまさら聞けない「WAN」と「GAN」の違い ネットワークの範囲は地球全域?定番から応用までネットワークを学ぶ【第3回】

ネットワークは規模や用途によってさまざまな種類に分類される。特に広い範囲のネットワーク接続を指す「WAN」と「GAN」について詳しく見ていこう。

2024年11月21日 08時00分 公開
[Deanna DarahTechTarget]

 ITの根幹を支えるネットワークは、コンピュータ同士を接続し、情報をやりとりする仕組みだ。その種類は多様であり、ネットワーク担当者はそれぞれの用途に合わせた設計や管理が必要となる。「WAN」(ワイドエリアネットワーク)と「GAN」(グローバルエリアネットワーク)を解説する。

LANとは違うWANのメリットとは

会員登録(無料)が必要です

 WANは広域通信網という意味で、都市や国といった広い範囲にわたって複数のネットワークを接続する仕組みのことだ。定義上は地球上のいかなる場所にも拡張する。例えば、ニューヨークにオフィスを構える企業が同じWAN内でロンドン支社のLANにあるデータにアクセス可能だ。WAN内のどの拠点の従業員も、社内のデータ、ファイル、アプリケーションにアクセスして相互にコミュニケーションを取ることができる。

 WANの主な特徴は以下の通りだ。

  • 広いカバレッジ(通信可能エリア)
    • WANに明確な広さの基準はないが、LAN(ローカルエリアネットワーク)より広くなる。時としてMAN(メトロポリタンエリアネットワーク)よりも広くなる
  • 多様な通信手段
    • 電話回線、光ファイバー、衛星通信などさまざまな通信手段や規格のネットワークが接続する
  • 構成が複雑
    • LANなど複数のネットワークを接続するため、構成が複雑になり管理も難しくなる傾向にある

 WANの主なユースケースは以下の通りだ。

  • 企業の拠点間接続
    • 本社や拠点、工場、物流拠点などを接続し、データの共有や遠隔地の業務連携を可能にする
  • クラウドサービスへの接続

グローバルエリアネットワーク(GAN)

 現在、明確なGANの定義はないが、衛星通信を利用して世界各国をカバーするネットワークをGANと呼ぶことがある。WANとGANの主な違いはそれぞれのネットワークに意図される範囲にある。WANは地理的に分散するLANを相互接続するのに対し、GANは地球全体をカバーできるように設計されている。

 GANの主な特徴は以下の通りだ。

  • 世界規模のカバー範囲
    • 人工衛星を利用することで、地上に通信インフラが整備されていない地域でも通信できる可能性がある
  • 移動性
    • 衛星通信を利用するため、移動体でも通信が可能だ

 GANの主なユースケースは以下の通りだ。

  • 多国籍企業による支店や工場の接続
  • モノのインターネット(IoT)
    • 離島、へき地などネットワークインフラを構築することが難しい地域での利用

 次回はクラウドネットワークについて紹介する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 株式会社ソラコム

IoTデバイス導入ガイド:概念から選定・導入時に押さえておきたいポイントまで

IoTという言葉は知っているものの、ビジネスの場でどのように活用すればよいのか分からないという声も多い。こうした声に応えるべく、IoTの基本的な概念から、IoTデバイスの選定・導入時に押さえておきたいポイントまでを解説する。

市場調査・トレンド 株式会社ソラコム

今さら聞けない「DXとIoT」、基本知識から最初の一歩を踏み出す具体策まで解説

DXやIoTという言葉は知っているものの、それが何を意味し、ビジネスの現場にどのように採り入れられているのか分からないという声は意外と多い。そこで、DXとIoTについて、基本知識から実現方法まで詳しく解説する。

製品資料 アルテリア・ネットワークス株式会社

VPNの「パフォーマンス」や「セキュリティ」の課題を解決するための秘策とは?

インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。

製品資料 東京エレクトロン デバイス株式会社

ネットワーク環境の課題を解決し、ネットワークの構築と運用を簡素化する方法

ネットワークに関して、「環境の構築・運用管理に手間やコストがかかる」などの課題を抱える企業は多い。そこで注目されているのが、1つのプラットフォームによる管理で運用負荷低減やトラブル対応効率化を実現するソリューションだ。

事例 東京エレクトロン デバイス株式会社

仮想化技術でマルチテナント型の大規模ネットワークを構築、事例に学ぶ実践術

現代のネットワークには組織ごとに多彩なニーズが求められる。それらに応えるためのネットワーク環境を構築するには大きな手間がかかる。本資料では仮想化技術の採用でマルチテナント型の高速ネットワーク環境を構築した事例を紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...

news163.jpg

「政府」「メディア」への信頼度は日本が最低 どうしてこうなった?
「信頼」に関する年次消費者意識調査の結果から、日本においても社会的な不満・憤りが大...