“HDDの終焉”説を唱えるオールフラッシュストレージベンダーPure Storage。「Enterprise Data Cloud」という新構想を打ち出した同社のCEOに、HDDの置き換えや関税の影響について聞いた。
オールフラッシュストレージベンダーPure Storageは、企業のデータ管理を根本から見直す構想「Enterprise Data Cloud」(EDC)を打ち出した。前編「HDDなき未来を見据える『Pure Storage』の次世代ストレージ構想は何がすごい?」では、その“クラウド的”な仕組みと従来のストレージ運用との違いについて、同社CEOのチャールズ・ジャンカルロ氏に聞いた。
後編となる本稿は、ストレージ業界全体にも影響し得る2つの観点でジャンカルロ氏に聞く。同社が以前から強調してきた「HDDの終焉(しゅうえん)」がどこまで現実に近づいているのかという点と、国際的な関税リスクが同社のサプライチェーンや顧客に与える影響についてだ。
―― HDDが2028年までに衰退するとの見方を示されました。現時点では、ハイパースケーラーであるMeta Platformsによる採用が一つの成果と見ることができますが、必ずしも大きな進展とは言えないという見方もあります。
ジャンカルロ氏 成果が限定的という指摘には異を唱えたい。当社のストレージ製品は、システムの構成層全体で使われる。企業がデータを保存したり活用したりする際には、性能やコストに応じて複数のストレージ層を使い分けるのが基本だ。当社の製品は、フラッシュストレージ(注)でその全層に対応しているということだ。
※注:Pure Storageは、SSD代替となる同社独自設計のフラッシュストレージモジュール「DirectFlash Module」(DFM)を使ったオールフラッシュストレージアレイを提供している。
多くの企業はまず、最も高性能かつ高価なストレージ層からフラッシュストレージの導入を始め、徐々に下位層へと展開していく。その前提として、当社は企業に対し、TCO(総保有コスト)で見ても、HDDに見劣りしないことを証明しなければならない。比較するのは、アーカイブ用途ではないHDDの最下層、つまり“オンラインアクセス可能な低コストHDD”だ。
当社のストレージの特徴は、どのストレージの層にも同じストレージソフトウェアを使い続けられるという点だ。これは非常にユニークだ。通常、企業のストレージはそうはなっていない。HDDもSSDも、ベンダーごとに仕様が異なっており、それらを活用するためにはカーネル(OSの中核部分)を変更しなければならないケースが多い。
当社製品の間で唯一異なる点は、ドライブの容量だけだ。例えば300TB、75TB、あるいは将来的には600TBといった異なる容量を用いることがあるが、それぞれに対して異なる価格性能比を設定している。それが当社にとっての大きな強みでもある。
つまり、顧客はソフトウェアを変更する必要なく、ストレージの容量や価格に応じて製品を選択できるというわけだ。
―― 関税を巡る不確実性に対してPure Storageが置かれている状況はどうですか。
ジャンカルロ氏 当社も関税に関するさまざまな状況にさらされている。電子機器に関しては、最終製品が完成するまでに複数の国で部品の製造や組み立てが行われることがある。そうしたサプライチェーンの実態を踏まえると、「関税はどこに対してかかるのか」という点は非常に重要だ。関税が適用されるのは、部品単位の付加価値に対してなのか、それとも完成品としての総額に対してなのか――その違いによって、企業にとってのコストインパクトは大きく異なる。
当社内ではサプライチェーンや製造拠点に関するさまざまなシナリオを想定し、事前の準備や検討作業が活発に進められている。とはいえ実際には、それらの計画が想定段階で実行に移されることはない。政府のように「やはりやめた」と後から方針を撤回するわけにはいかない。当社が一度サプライヤーとの契約や物流体制を変更すれば、簡単に元に戻すことはできない。だからこそ、できる限り従来のやり方を維持したいというのが、今の基本方針だ。
当社は米国の管理下を経由せずとも製品を製造、出荷できる体制も整えている。主要な組み立て拠点はベトナムにあり、最終組み立ては現在、メキシコのフアレス、米国のヒューストン、チェコ共和国の3拠点にある。
欧州向けの製品は米国を経由せずに供給可能であり、アジアの顧客にも同様に対応できる。伝えておきたいのは、関税制度が強化された場合に、それが直接影響するのは一部に限定される可能性が高いということだ。
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