みずほ銀行が“ハード更改の呪縛”を断ち切った決断――「DB維持費」削減の裏側終わらないインフラ投資への処方箋

DB管理において、定期的なパッチ適用やハードウェア更改は費用と運用負荷を強いる。みずほ銀行はいかにして既存システムを変えずに、「ライセンス数約66%削減」の道筋を見いだしたのか。

2026年04月28日 05時00分 公開
[CaseHub.NewsTechTargetジャパン]

 企業システムの根幹を支えるデータベース(DB)。しかし、その維持管理は情報システム部門にとって頭の痛い問題だ。セキュリティ確保のための定期的なパッチ適用、事前の入念な影響検証、数年ごとに必ずやってくるハードウェア更改――。システムの重要性が高まるほど、運用負荷とインフラ投資は雪だるま式に膨れ上がる。

 みずほ銀行も、こうした「終わらない運用地獄」に直面していた企業の一つだ。同行は2012年から、約50件のアプリケーションを集約した、大規模なプライベートクラウド型のデータベースシステムを運用してきた。しかし、厳しい無停止要件などインフラ運用の高度化に伴うメンテナンス負荷の増大や、ハードウェア更改のたびに発生する費用が重くのしかかっていた。

 増え続ける運用負荷と費用を前に、みずほ銀行が選択したのは、既存のシステム構成には手を加えず、パブリッククラウドを用いた「自律型データベース」への移行という決断だ。

 この決断によって、みずほ銀行は日常的な運用負荷から解放されるだけではなく、必要な分だけコンピューティングリソースを拡張できるモデルによって、モデルケースではデータベースライセンス数を約66%削減できる可能性を見いだした。IT担当者を苦しめてきたパッチ検証などの複雑な手作業も大幅に削減された。大規模かつミッションクリティカルな金融システムにおいて、同行はいかにして「既存アプリケーションへの影響ゼロ」と「システムの運用自動化」を両立させたのか。

「ハードウェア更改からの脱却」という決断

 みずほ銀行は、共通DBインフラのモダナイゼーション推進を目的に、Oracleのクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)で提供される自律型データベース「Oracle Autonomous AI Database」を採用した。2026年4月16日、日本オラクルが発表した。既存のアプリケーション環境を変更することなく移行することで、運用負荷の軽減、コスト最適化、セキュリティ強化を実現している。

 みずほ銀行では、2012年からデータベースサービス「Oracle Exadata」を活用したプライベートクラウド型のデータベースシステムを構築し、情報系や市場系システムを中心に約50件のアプリケーションを集約、運用してきた。一方で、インフラ運用の高度化に伴うパッチ適用やメンテナンスの負荷増大に加え、ハードウェア更改のたびに多額の投資が必要になることが課題となっていた。

 これらの課題解決に向けて採用されたOracle Autonomous AI Databaseは、管理およびセキュリティ関連作業を自動化する自律型データベースだ。導入によって、日常的な運用負荷が軽減されるとともに、IT部門はサービス高度化などの付加価値の高い取り組みに注力できる体制が整った。必要な分だけコンピューティングリソースを拡張できる利用モデルによって、モデルケースではデータベース・ライセンス数を約66%削減できる可能性が示されている。

 セキュリティ面では、自動パッチ適用機能や高度なバックアップ機能を活用することで、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策を含むレジリエンス強化とシステム信頼性の維持を両立させた。「Oracle Data Safe」などのマネージドサービスを組み合わせて活用することで、オンプレミスシステムで必要だった管理サーバの運用やパッチ検証などの複雑さを解消し、複数の手作業を削減している。

 みずほ銀行プラットフォームエンジニアリング部ヴァイスプレジデントの森重祥吾氏は、「運用負荷の軽減とコスト最適化が図られている。今後は災害対策の強化やAIを活用したモダナイゼーションをさらに推進し、より俊敏でレジリエンスの高い持続可能なITインフラを構築する」と述べる。

(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「みずほ銀行、共通DB基盤にオラクルの自律型AIデータベースを採用」(2026年4月16日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。


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