2大仮想化ベンダー2012年の動きに寄せられる称賛と批判VMware vs. Microsoft

2012年も仮想化市場で注目を集めたVMwareとMicrosoft。両ベンダーの新製品やアップデートに対し、米国企業のIT担当者から称賛と批判が寄せられた。

2013年01月25日 08時00分 公開
[Nick Martin,TechTarget]

 2012年にはさまざまな新興企業が仮想化市場に参入したが、年間の大半を通じてこの市場で注目を浴びたのは、米VMwareと米Microsoftというおなじみの2社だった。両社の新製品とアップデート製品には、IT担当者から称賛と批判の両方が寄せられた。実際、ほとんどのIT担当者は両社について言いたいことがあり、米TechTargetの取材に対し、しばしば生き生きとした言葉で、あるいは意外な比較を引用して話してくれた。

 本稿では、2012年に両社関連の記事で報じられたコメントの中から至言を紹介し、IT担当者の目を引いた両社の重要な動きを振り返る。

――米Illuminataの首席ITアドバイザー、ジョナサン・ユーニス氏

 「『今日はオレンジを買おうか、それともリンゴを買おうか』というような単純な問題ではない。『リンゴの将来に賭けるか、それともかんきつ類の将来に賭けるか』という問題だ。両者は全く別種のものなのだ」

 IT担当者にとって、VMwareとMicrosoftのどちらを選択するかを決めるのは難しくなる一方だ。多くのIT部門がプライベートクラウドのメリットを考慮するようになっており、企業の将来のビジネスは、こうしたベンダーのクラウド管理ソフトウェアによって支えられることになる。問題は、クラウド管理のプラットフォームや機能を比較するのが、競合するハイパーバイザーを比較するよりもはるかに面倒なことだ。TechTargetでは、ユーニス氏のコメントが引用された記事をはじめ、この2大仮想化ベンダーの価格とライセンスを比較した記事を4回シリーズで提供している(参照:VMware vs. Hyper-V licensing and pricing expose(英語))。参考になれば幸いだ。

――米Kroll Factual Dataの首席テクニカルアーキテクト、クリス・ステフェン氏

 「ライセンスの簡素化はMicrosoftが長年にわたって取り組みを重ね、毎回失敗してきたことだ。彼らは少なくとも今回は、何がどうなっているのかを平均的な人が理解できるようにライセンスの体系を簡素化しようと試み、仮想化がライセンスに与える影響を受け入れようとしている」

 Microsoftはユーザーの積年の不満に対応し、2012年にWindows Server 2012でEnterpriseエディションをなくし、ライセンシングモデルの簡素化を図った(関連記事:Windows Server 2012の新ライセンス体系から見えるMicrosoftの真意)。この措置に対する反応はまちまちだったが、IT担当者は全体的には歓迎し、「Enterpriseエディションがもたらす問題は、もたらす価値よりも大きいことが多かった」との見方を示した。現在、仮想化を利用する企業がWindows Server 2012のライセンスを購入する場合、選択肢はDatacenterエディションとStandardエディションの2つだ。

――オランダ在住の仮想化コンサルタント、マーセル・バンデンバーグ氏

 「私の顧客の一部はHyper-Vに乗り換えている。VMware vSphere(以下、vSphere)が割高だからだ。今回、ろくでもないvRAMライセンス体系が廃止されて、私は非常に喜んでいる。Twitterに寄せられた反応を見ても、VMwareエコシステムに属する全員が喜んでいる」

 VMwareが2012年8月下旬に米国サンフランシスコで開催したVMworld 2012カンファレンスで、同年9月からCEOに就任したパット・ゲルシンガー氏がvRAMライセンス体系の廃止を発表したとき、2万人近くの聴衆は拍手喝采した。この不人気なライセンス体系はVMwareの顧客をうんざりさせていた。「食い物にされた」というのが顧客の認識だった。多くのIT担当者がvRAMライセンスを理由に、VMwareがMicrosoftに引けを取っていると考えた。VMwareがvRAMライセンス体系を廃止したのは、vSphere 5でこの体系を初めて導入してからわずか1年後だった。

――米アルゴンヌ国立研究所の分散システム管理スペシャリスト、マイク・リオス氏

 「私は当研究所のオープンソーステクノロジーチームの一員だ。われわれは主にUNIXLinuxを運用している。VMwareを動かすためだけにWindowsをインストールするたびに、ちょっと憂鬱になってしまう」

 これまで何年もの間、vSphereを利用する際には、Linuxを使っている組織もWindowsをインストールしなければならなかった。しかし、VMwareは2012年夏、Windowsベースクライアントに取って代わる、改良されたvSphere Web Clientをリリースすると発表した。リオス氏を含む多くのIT担当者が、同社がVMworld 2012で発表したvSphere 5.1の他の改良と併せて、このニュースを歓迎した(関連記事:【製品紹介】共有ストレージが不要、VMware vSphere 5.1の進化を追う)。

――大手通信会社に勤めるVMware vExpert、デレク・シーマン氏

 「率直に言って、vCenterの品質保証責任者は首になるべきだ。こうした明らかな品質管理ミスが発生したのだから」

 新製品には不具合が付き物と思われているが、中には非常に深刻なものもある。新しいvSphere 5.1のシングルサインオン機能の問題は、この製品にアップグレードしたIT部門を悩ませた。不満を募らせたIT担当者は、フォーラムやソーシャルメディアで思いをぶちまけた。「VMwareのようなベンダーの製品だけに、この問題は許されない」という声が多かった。

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