クラウドの便利さは多くの人が知るところとなったが、今はまだ1つのクラウドから動きたいと思っても動けない、クラウドのシームレスな移行先が無い状態だ。Scalrはそうした状況を打破する1つのトリガーになりそうだ。
クラウドの普及に伴い、聞く機会が増えたキーワードが「ハイブリッドクラウド」だ。文字通り、複数のクラウドを連携させることを理想とし、データの種類やアクセス頻度、使われ方に応じてデータを最適な環境に配置するという考え方で、国内企業の関心も少しずつ高まってきている。もっとも、実際には複数のクラウドをシームレスに接続するというのはそれほどたやすいことではなく、技術的にも、そして企業文化的にも、ハイブリッドクラウドが国内企業の間で普及するのはまだ先のことのように思える。
だが、クラウドへのシフトが緩やかといわれる日本市場にあっても、「複数のクラウドをまたぐ未来はすぐそこまで来ている。だからこそ、それらを効率的に管理できるシステムを整えるべき」というポリシーの下、IaaSクラウド基盤「CloudStack」の他、クラウド構成管理フレームワーク「Chef」、マルチクラウド連携ツール「Scalr」など、オープンソースのクラウドプロダクトを多数扱っているのがクリエーションラインだ。まだはっきりとしたニーズが見えてこないハイブリッドクラウド市場において、同社はそこにどんな未来を見ているのか。現在、クリエーションラインが最も注力するプロダクトの1つScalrを取り上げながら、日本市場におけるハイブリッドクラウドの可能性について見ていきたい。
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