「つながり」をビジネスに生かせ
Facebookが重大な関心を寄せる「グラフデータベース」とは何か?
「グラフデータベース」は6次の隔たりをたどって実際のつながりを探し出す。ITチームはこのデータベース技術をどうすればビジネスに生かせるだろうか。
自社のユーザー、サプライヤー、従業員がどのようにつながり、互いにどんな影響を与え合っているのかを理解するメリットとは何だろうか。いや、むしろこう問うべきか。自社にとっての重要な関係性を正確に洞察、分析、予測することでメリットを得られない企業があるだろうかと。
「グラフデータベース」とは何か
ホワイトボードに何個か点を描き、これらの点を線で結んでみれば、「ノード」(頂点)と「リンク」という視点が現実世界の多くのシナリオを自然な形で反映していることが理解できるだろう。今日、ビジネスの最適化や不正行為の特定にデータ分析を活用する新たな手法が脚光を浴びているが、その多くはウェブ(クモの巣)状にノードが連結された形(ネットワーク)で表される。
ノードの集合とノード間の相互関係(リレーションシップ)を分析する学問分野は「グラフ理論」と呼ばれている。
専門的な「グラフデータベース」は、いわゆる「NoSQL」(Not Only Structured Query Language)データベース推進運動の中で、小さいながらも急速に成長している分野である。グラフデータベースは、リレーショナルデータベースによる従来のアプローチよりも自然な形で効率的にリレーションシップのウェブ(またはグラフ)をモデル化し、探索を可能にする。
グラフデータベースでは、例えば「リレーションシップの特定パターンに基づいて、2~6つのリンクを隔てて関係している全てのオブジェクトを探し出す」といったクエリなども可能だ。SQLリレーショナルモデルで正規化されたテーブルで同じ質問をしようとすれば、クエリが非常に複雑になり、ネスト化したテーブル全体を何十あるいは何百も結合(ジョイン)する必要があるかもしれない。
リレーショナルデータベースのクエリでは、あらゆるジョインがパフォーマンスに悪影響を及ぼす。グラフ問題を処理するには、SQLモデルのアプローチでは速度が低下するだけでなく、複雑さが増してエラーが起きやすくなり、拡張性の面でも決定的に劣る。それは規模の大小にかかわらずだ。
寛容なデータベース
グラフデータベースは定義済みのスキーマを必要としない。ノードとリンクの属性はいつでも設定、編集できる。新たなタイプのリレーションシップが見つかれば、データベースに動的に追加でき、これによりデータベース内でモデル化されたリレーションシップが拡張される。
グラフデータベースの用途によっては、特別なインフラを必要としないものもある。ただし本番環境で使う場合、IT部門は拡張性やメモリの使用量、データの取り込み方(およびインデックス化する方法)などの面で、グラフデータベースの特徴を把握しておかねばならない。
重要なデータをグラフデータベースに保存する先進的企業は、データ保護で苦労するかもしれない。バックアップ、リストア、レプリケーションおよびその他のデータ管理機能(セキュリティ、アクセス制御、監査など)については、SQLの世界ほど成熟していないからだ。
グラフデータベースを使ってみよう
現在、使いやすさで開発者に最も人気のあるオープンソースのグラフデータベースは「Neo4J」であろう。Neo4JはJavaライブラリとしてローカルで(アプリに埋め込んだ形で)実行できるが、独立したサーバとしてセットアップすることも可能だ。
扱うデータ構造の種類はグラフデータベースによっても異なる。例えば「AllegroGraph」はRDF/XML型のデータを扱うのに対し、「Titan」や「Giraph」などのHadoop系データベースはビッグデータを得意とする。一方、商用分野では、米Oracle、スペインのSparsity Technologies(製品名は「DEX」)、米Objectivity(製品名は「InfiniteGraph」)といった企業が、拡張性に優れた製品を提供している。
企業ユーザーやアプリケーション開発者は、多くの問題でグラフベースのアプローチが最も有効であることを知っている。グラフ方式では、固有の属性や静的な階層に基づいてノード集合を選択する方法よりも、リレーションシップをたどっていくクエリの方がアプリケーションで中心的な役割を果たす。グラフデータベースは今後、IT部門が配備、提供するサービスとしてますますポピュラーになり、その結果、データセンターにおいて新たに重要なワークロードになるだろう。
NSA(米国家安全保障局)、CIA(米中央情報局)、FBI(米連邦捜査局)のように膨大な情報を保有する組織は巨大グラフデータベースのユーザーである可能性が高いが、本稿ではこれについては言及しない(知っていたとしても言えないが)。だがイベント、人々、取引、場所、センサーからの情報などの間のリレーションシップのウェブを理解すれば、より知的な洞察につながる可能性がある。あなたの会社でもきっとそうしたチャンスがあるはずだ。
本稿筆者のマイク・マッチェット氏は、米調査会社Taneja Groupの上級アナリスト兼コンサルタント。
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