この10年で教育予算は大幅削減
「Windows XP」移行の最終案内 もう仮想デスクトップしかない?
予算の削減が著しい教育機関では、いまだに「Windows XP」からのOS移行に苦労している。米国の教育機関では、コスト面の理由からデスクトップ仮想化を利用し、成功を収めている。
米イリノイ州パーナのパーナコミュニティー学区では、米MicrosoftのデスクトップPC向けOS「Windows XP」から新しいOSへの移行手段を探していた。そして、コスト面の理由から仮想環境の採用を決定した。
PCのOS環境をWindows XPから「Windows 7」や「Windows 8.1」にアップグレードするための予算がほとんどない学区は、代替手段を見つける必要に迫られている。ある学区では、デスクトップ仮想化を利用し、成功を収めた。
米イリノイ州パーナのパーナコミュニティー第8学区は、コンピュータ室にある約400台のWindows XP搭載デスクトップPCをWindows 7の仮想環境に移行する作業を進めている。同学区では、数年前から移行手段の調査に着手し、移行を間もなく完了する見通しだ。
同学区でテクノロジーコーディネーターを務めるスコット・サベージ氏は次のように話す。「当学区には既存のデスクトップPCを買い換える資金がなかった。数百台のデスクトップPCを目の前に、予算に見合う移行手段を見つけるべく奮闘してきた」
パーナのように、この10年で政府や州からの補助金が削減された学区は苦境に立たされている。このような状況により、IT管理者は古くなった技術基盤を入れ替えるための新たな手段を探さざるを得なくなった。
サベージ氏は代表的な手段を全て調査した。例えば、「安価なデスクトップPCの価格を調べる」「自分でデスクトップPCを構築する」「シンクライアント端末を導入する」などだ。シンクライアントを導入する場合、ハードウェアの他に必要なライセンスも購入すると、コストは標準的なデスクトップPCと変わらない。サベージ氏は、シンクライアントの導入を「否決されることが初めから分かっている移行の選択肢」としている。
同学区は米Citrix Systemsの「Citrix VDI-in-a-Box」の導入についても調査した。だが、新しいサーバ、ライセンススタックおよび追加のテクノロジーが必要になることが分かったため採用を断念した。
より安価な代替手段を求めて
パーナコミュニティー学区は、厳しい予算の制約を受ける中、Windows XPの移行の代替手段を調査していた。その過程で、他の学校が米NComputingの仮想デスクトップクライアントデバイスを推薦、導入していることを突き止めた。
NComputingのデスクトップ仮想化デバイス「L300」を使用するとコストが劇的に下がる。また、この製品は学校のテクノロジー要件を満たしていた。デバイスやキーボード、マウス、関連ライセンスに掛かるコストは、デバイス1台当たりわずか250ドルだった。一方、デスクトップPCを購入する場合、サベージ氏の学区では1台当たり600ドルを負担することになる。
同学区では、コストを抑えるため、コンピュータ室のモニターなどの既存機器を残す必要があった。その結果、ディスプレー1台当たり約100ドル節約することに成功した。サベージ氏は、Windowsライセンスと購入済みの「リモートデスクトップサービス」のクライアントアクセスライセンスも必要に応じて再利用した。
また、同学区では「Windows Server 2012」「Windows Server 2008 R2」および「Hyper-V」も運用している。イリノイ州は、Microsoftと州全体を対象とした契約を締結しているとサベージ氏はいう。この契約は同学区も利用している。
Windows Server 2008 R2でデスクトップエクスペリエンス機能を有効にすることで、仮想デスクトップクライアントはWindows 7と同等の機能を有し、「Microsoft Office」や米Autodeskの「AutoCAD」といった既存のアプリケーションと互換性のある環境を生徒に提供できるとサベージ氏は話す。L300は、「YouTube」などの動画サイトやオーディオ/ビデオを多用する教育用ソフトウェアパッケージも問題なく実行できるという。
サベージ氏が今抱える最大の課題は、Windows XPから仮想環境への移行ではない。教室で十分な帯域幅を確保することだ。
同学区の小学校では、間もなく2.5Mbpsの銅線から100Mbpsのファイバーケーブルに移行する予定だ。また、中学校と高校では、今夏末までに300Mbpsのファイバーケーブルに移行する計画になっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
3
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
4
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
5
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
6
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
7
マンガで解説:採択率は3割台? デジタル化・AI導入補助金申請の落とし穴
-
8
AWS障害でも補償ゼロの衝撃 サイバー保険で情シスが見落とす「細則の壁」
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー