「SATA」が生き残り「SAS」が絶滅する理由
徹底解説:SSD向け次世代接続規格「NVMe」、存在感を増す新規格の全貌(1/2 ページ)
NVMeプロトコルとPCIeインタフェースの組み合わせは、SSD台頭の必然的な結果だ。NVMeをファブリックに利用するのも同様に必然的な流れといえる。
「Non-Volatile Memory Express」(以下、NVMe)は、「PCI Express」(以下、PCIe)バスを介したフラッシュドライブとPCの接続を高速化するプロトコルとして誕生した。PCの世界ではそうした高速接続のための事実上の業界標準となりつつあるが、エンタープライズの世界ではそれをファブリックで接続されたストレージネットワークに拡張することが重要となる。目標は、PCIeでコンピュータに直接接続されたフラッシュドライブと同じI/O速度を、ストレージネットワークのフラッシュドライブでも実現することだ。本稿では、NVMeとは何であり、どのように機能し、今後の展開がどのようなものになるかを考察する。
NVMeプロトコルは高性能なフラッシュドライブの台頭に伴う論理的な帰結だ。従来のSCSIベースではOSのファイルスタックが高度なI/O処理に対応できなかった。割り込みがあまりに多く、スタックにはデータブロック当たり何千ものCPU命令があるからだ。
企業は、割り込みを大幅に削減する製品によってオーバーヘッドタイムを解消し、CPUを生産的な目的に利用できるようにする必要があった。同様に、ホストCPUとのやりとりを極力回避できるデータ転送方法が求められた。
データ転送速度を向上
NVMeプロトコルはこうした問題を解消するために急速に進化した。CPUとのデータやりとりの問題は、PCIeバス経由で直接メモリにアクセスする「ダイレクトメモリアクセス」(DMA)で解消した。CPUを介さずにデータを転送するための十分にテストされた方法だ。これにより、データ転送のメカニズムは、転送要求と承認を必要とするプッシュ型から、準備が完了してから受信ノードがデータをプルするシステムへと変わった。この方法がCPUのオーバーヘッドをわずか数パーセントに削減することは、経験から明らかだった。
割り込みシステムは、転送を保留するためのキューセットと完了ステータス用のキューセットを持つ循環キュー方式に置き換わった。「リモートダイレクトメモリアクセス」(RDMA)を使ってこれらのコマンドキューを解析し、完了キューを応答ブロックで処理することで、割り込みを効果的に集約できる。
「Serial Attached SCSI」(SAS)、「Serial ATA」(SATA)、「ファイバーチャネル」などのプロトコルには残念ながら、優先度やソース所有者の感覚が欠けている。NVMeは最大64K個のキューに対応することで、この問題にうまく対処した。各キューは発信元と優先度を識別することで、データを発信元のコアや特定のアプリケーションに戻すことができる。このアドレッシング方式は、NVMeのファブリック拡張においてさらに本領を発揮する。
NVMeは物理的には、「M.2」または「SATA Express」(SATAe)コネクターの2つのPCIeレーンを使用する。どちらのコネクターも、NVMe対応のPCIe接続の代わりにSATAドライブを正しく接続できるようになっている。
M.2規格は非常にコンパクトなSSDの取り付けを可能にする。コンパクトなデザインでスペースとコストを節約し、1.5インチや3インチのパッケージ(幅はわずか1インチ程度)でかなりの容量を実現できる。2018年には、これらの小型フォームファクタで10TB以上の容量を期待できそうだ。
ただし、NVMeのサイズは予期していなかったメリットだ。本当に画期的な進化と評価すべきなのは、2016年9月の「Flash Memory Summit」で概要が説明されたように、100億IOPSを実現するドライブだ。これは従来のHDDの150 IOPSと比べると圧倒的な差であり、エンタープライズHDDの売り上げが急減している最大の理由でもある。
NVMeの登場によって、SASは時代遅れのプロトコルとなった。SASはSCSIソフトウェアスタックをベースとしており、古いファイルIOシステムを使用する。小さい構成のSSDですら、SASの性能では追い付けなかった。これはSSDドライブが200万IOPSを達成したときのことだ。SASにRDMAを追加する案も議論されてきたが、この戦いに勝利したのは明らかにSATAeだ。
SASは消滅へと向かいつつあるが、SATAはどうなのだろう。実際のところ、PCIとSATAのインタフェースにコストの差はない。電気的にはほぼ同じだ。チップセットが自動検出をサポートしたり、接続に共通の機器を使えたりなど、ホスト側の接続の差は取るに足りないものとなっている。
SATAを残す唯一の理由は、NVMeドライブとSATAドライブの価格差を人為的に維持することだ。SSD市場の価格の力学は、HDD市場よりもはるかに高度といえる。レイテンシ、IOPS、ドライブ耐久性、容量に加え、大手クラウド事業者はさらにその他の差別化要因を判断材料とするため、エンタープライズドライブ対コモディティドライブという概念は極めて曖昧なものになっている。
アプライアンスレベルでの冗長性や、修理よりも買い替えというメンテナンス方針によって、シングルポートのコモディティドライブを大容量ストレージスペースに採用し、より高性能で耐久性に優れたドライブでプライマリー層を構成することが可能となる。こうした差別化要因の変化に伴い、長期的にはSATAのニーズはなくなり、いずれはNVMeとPCIeがローカルドライブの主流のインタフェースとなるだろう。
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