「アプリの選択肢はVDIで増やす」は是か非か
軽量OS「Windows 10 S」に大喜びする人、がっかりする人の違い(1/2 ページ)
「Windows 10 S」はWindowsストアから入手可能なアプリケーションしかインストールできない。VDIを導入すれば従来のWindowsアプリケーションも利用できるが、その方法には賛否それぞれの見方がある。
「仮想デスクトップインフラ」(VDI)を利用すれば、Microsoftの軽量OS「Windows 10 S」の企業にとっての魅力は少しだけ高まる。ただしそのメリットは、Windows 10 Sの弱点を帳消しにするほどではない。
GoogleのクライアントOS「Chrome OS」の対抗馬とされるWindows 10 S。その最大の特徴は、公式アプリケーションストア「Windowsストア」から入手可能なアプリケーションしか利用できないことだ。この制限を回避するには「Windows 10 Pro」にアップグレードすればよい。
あくまでもWindows 10 Sとして使い続けたい場合は、Citrix SystemsかVMwareなどが提供しているVDI製品を使う方法がある。従来型のWindowsアプリケーションなどWindowsストアから入手できないアプリケーションでも、VDIを使うことによってWindows 10 Sから利用できる。
ITプロフェッショナルの中には、この解決策に納得していない人もいるようだ。
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「どうしてそんなことになるのか」。そう疑問を投げかけるのは、Citrixのアプリケーション仮想化製品「XenApp」の顧客である、発達障害支援の非営利団体Tri-Counties Regional Centerのドミニク・ナムナス最高情報責任者(CIO)だ。
「自分の環境に、ただアプリケーションを追加するだけでよいのなら素晴らしいことだ。だが『このアプリケーションを使うことはできるが、そのためにはこのサービスを使う必要がある』というのは、あまり感心しない」とナムナス氏は語る。
余計な作業が増加
Windows 10 Sでのアプリケーションの利用については、選択肢が限られる場合もある。例えばWindows 10 Sでは、Windowsストアから入手可能なWebブラウザであれば利用できるものの、既定のWebブラウザに設定できるのは「Microsoft Edge」だけだ。「このことがネックとなり、導入を踏みとどまる企業が多いのでは」と、調査会社IDCの調査ディレクター、ロバート・ヤング氏は予想する。
独自アプリケーションをWindows 10 Sに導入したい企業は、さまざまなWindows 10搭載デバイスで動作する「ユニバーサルWindowsプラットフォーム」(UWP)用のアプリケーションとして開発し、Windowsストアにアップロードする必要がある。そのためには、かなりの追加作業が必要となる。
基幹系システムのクライアントアプリケーションは、そのほとんどが従来型のWindowsアプリケーションとして開発されている。こうしたアプリケーションが稼働できないOSに投資し、さらに基幹系システムを利用するにはVDIにも投資しなければならないとなると、不要なコストや複雑さが生じかねない。「VDIは安価ではないし、手間も余計に掛かる」とナムナス氏は語る。
既にVDIに投資しており、必要なアプリケーションを全て利用できるだけのインフラを構築済みの企業にとっては、Windows 10 Sデバイスは理にかなった選択肢となる可能性がある。VMwareとCitrixは、クラウド環境からアプリケーションを配信するサービスも提供している。こうしたサービスを利用すれば、オンプレミスでVDIを運用するコストを回避できる。
オンプレミスであれクラウドであれ、ネットワーク経由で利用するアプリケーションが増えれば、企業はデータ伝送速度低下の問題に直面する可能性がある。そうなればユーザーエクスペリエンスに悪影響が及びかねない。「なぜ、わざわざ複雑なレイヤーを追加しなければならないのか」とナムナス氏は語る。
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