2017年07月24日 05時00分 UPDATE
特集/連載

製品選定前に読んでおきたい基礎技術 NVMe編脱SAS&SATAへ、フラッシュ業界期待の通信規格「NVMe」の魅力と普及の壁 (1/2)

「NVMe」はPCIeを利用した新しい通信規格だ。NANDフラッシュメモリなど並列処理が得意なデバイスを利用する場合は、サーバ/NANDフラッシュメモリ間をNVMeで通信することで、フラッシュデバイスの応答速度を最大限に引き出す。

[國分 学,伊藤忠テクノソリューションズ]

関連キーワード

ハードディスク | ストレージ | SSD


 前回の記事「I/O至上主義は危険? 見過ごしている、フラッシュデバイスの真の性能指標とは」では、システム性能向上の歴史、フラッシュデバイス(本稿では、NANDフラッシュメモリを搭載したストレージをこう表現する)への期待、IOPS(1秒間に処理できるI/O数)に偏った性能評価の危険性について、順を追って紹介した。

 今回は、いよいよ本連載の肝となる「NVMe(NVM Express)」について解説する。まずは既存技術が抱える課題を明確にし、NVMeの採用による変化を示す。その後、NVMeの実装方式に触れつつストレージのこれからを考えてみる。

  1. 遅延の原因とは
  2. NVMeの優位性と現状
  3. ストレージのこれから

1.遅延の原因とは

 前回の記事で、NANDフラッシュメモリを搭載した高性能ストレージを選定する際には、IOPSと合わせて応答速度が重要であることを説明した。この応答速度を下げる要因、すなわち遅延の原因を追究していく。

 まずはサーバからNANDフラッシュメモリまでのアクセス経路について触れる。

 図1 図1 サーバからNANDフラッシュメモリまでのアクセス経路

 図1は、サーバからNANDフラッシュメモリ(ここではSSDに内蔵)までの経路を示した図である。サーバは外部装置との通信用にI/Oインタフェースを用いる。一般的なインタフェースとしては、PCI、PCIe(PCI Express)が挙げられるだろう。

 PCI、PCIeに、コンピュータと周辺機器との接続に利用するホストバスアダプタ(HBA: Host Bus Adapter)を搭載し、ファイバーチャネル(FC:Fibre Channel)やイーサネット、InfiniBandなどのデータ転送技術で、ストレージ制御装置であるストレージコントローラーにつなげる。

 物理的な接続に加え、プロトコルも選択する。例えば同じイーサネットを利用しても、SAN(ストレージエリアネットワーク)で利用するiSCSIや、NAS(ネットワーク接続型ストレージ)で利用するNFS/CIFSなど、幾つかのプロトコルがある。なおサーバからストレージコントローラーまでの接続をフロントエンド接続と呼ぶ。

 次に、利用者が意識することは少ないが、ストレージコントローラーと、フラッシュデバイスおよびNANDフラッシュメモリとの間でもアクセスが必要である。幾つかの接続方式があり、一般的な企業向けストレージは、データ転送インタフェースにSAS(Serial Attached SCSI)を採用するケースが多い。なおストレージコントローラーとフラッシュデバイス(図1ではSSDだが、他のフラッシュデバイスやHDDでも同様)間の接続をバックエンド接続と呼ぶ。

 ここでは、サーバとNANDフラッシュメモリまでのアクセス経路としては、大きく分けてフロントエンド/バックエンドの2種類の接続があることを覚えておいてほしい。

 続いて、実際の遅延の原因となる部分に触れる。

 まずはフロントエンド側だが、外部ストレージとの高速データ接続に利用するPCIeのバス(データ伝送路)は非常に高速な上、レーン(データ伝送の最小構成単位)を拡張することでさらに高速化可能であり、遅延の原因になることは考えにくい。

 次にプロトコルだが、一般的にブロック(ストレージを論理分割した固定長の区画)単位でデータを読み書きするSAN接続の方が、ファイル単位で読み書きするNAS接続に比べ高速であることが知られているため、今回はSAN接続を前提とする。

 その場合、HDDの利用を想定したSAS、SATA、FCなどの論理デバイスインタフェース規格によって、データをやりとりする。これらの規格は基本的にデータを直列に送信するシリアル転送に最適化されているため、フラッシュデバイスなどの並列処理を得意とするデバイスを利用する場合は、応答速度や帯域性能を最大限に引き出し切れない。その上、複数のホスト(コンピュータ)からの接続をあまり考慮していないため、割り込みにも弱いという性質を持つ。

 ここまで説明すれば、ボトルネックがHDDの利用を前提とした通信規格部分にあることがご理解いただけるだろう。なおバックエンドの通信でも同様のことが発生しており、通信規格が原因で性能を発揮し切れていない状況が発生している。

2.NVMeの優位性と現状

       1|2 次のページへ
この記事が気に入ったらTechTargetジャパンに「いいね!」しよう

この記事を読んだ人にお薦めのホワイトペーパー

この記事を読んだ人にお薦めの関連記事

Loading

注目テーマ

ITmedia マーケティング新着記事

news074.jpg

インフルエンサーマッチングの「SPIRIT」、優良インフルエンサーのみのネットワーク構築へ会員数を2万人に制限
LIDDELLは、インフルエンサーマッチングプラットフォーム「SPIRIT」において登録インフル...

news024.png

不正トラフィックが最も多いアプリカテゴリーは「エンターテインメント」と「ニュース」──AppLift調査
AppLiftは、世界的なアドフラウド(広告詐欺)の分布データの調査を実施し、そのレポート...

news025.jpg

デジタルガレージがID-POSデータ連動型広告運用サービスを開始、店頭での効果可視化へ
デジタルガレージは、ID-POSデータと連動した広告運用サービス「POS UP!-オンライン広告...