主要ベンダーと製品も紹介
いまさら聞けない次世代メモリ技術「3D XPoint」とは(1/2 ページ)
IntelとMicron Technologyが共同開発した次世代メモリ/ストレージ技術「3D XPoint」。両社によれば、DRAMとNANDフラッシュメモリの間を埋める新しい技術になるという。
IntelとMicron Technologyは、次世代メモリ/ストレージ技術の「3D XPoint」を共同で開発した。
だが3D XPointを採用した製品については別々に開発し、独自のブランド名で販売している。
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3D XPointメモリの仕組み
IntelとMicronが2015年に3D XPointを発表した際、この技術はNANDフラッシュメモリと比べて速度と耐久性を1000倍まで向上でき、記録密度はDRAM(Dynamic Random Access Memory)の10倍という触れ込みだった。初期の3D XPoint製品は実際、NANDフラッシュよりも高速で耐久性が高く、DRAMより高密度ではあるが、両社が当初発表した性能レベルには達していなかった。
3D XPointは高速な読み出し速度を実現する相変化メモリ技術を利用しており、NANDフラッシュとはアーキテクチャが異なる。トランジスタを使用しない独自のクロスポイント構造を採用し、電流を読み取るセレクターとデータを表すメモリセルを対にして、信号線が立体交差する部分に垂直に配置する。セルの素材は不明だが、各セルには上下の信号線に流す電流によって個別にアクセスが可能だ。記録密度を向上させるために、3D XPointのセルは3次元(3D)方向に積層できる。
各セルには1ビットのデータを格納する。電流によってセル材料の性質が変化し、セルの抵抗値が変わることを利用して、「0」か「1」かを表す仕組みだ。セルは電気的に高抵抗か低抵抗のどちらかの状態となり、その抵抗値に基づいて「0」か「1」かが決まる。セルには永続性があるので、電源を切っても記録した内容は消えない。
データの読み書きは、各セレクターに送る電圧を変えることで実行する。書き込みの場合は、ある一定量の電圧をセルとセレクターの周囲の信号線に印加する。するとセレクターがオンとなり、セルに電流が流れ、セルの抵抗値が変化するという仕組みだ。読み出しの場合は、別の量の電圧を印加し、セルが高抵抗状態にあるか低抵抗状態にあるかを判断する。
3D XPointはデータをビット単位で書き込める点で、NANDフラッシュよりも優れている。NANDフラッシュはブロック単位でいったんデータを消去しなければ、データを書き込むことができない。そのため理論的には、3D XPointの方がNANDフラッシュよりも高い性能と低消費電力を実現できる。
主要なベンダーと製品
Intelは2017年春、3D XPointを採用した初のデータセンター向けSSD「Intel Optane SSD DC P4800X」の出荷を開始した。容量375GBのモデルが一部顧客向けに2017年3月から出荷しており、同年後半には量産出荷が始まる予定だ。
2017年5月には、同じく3D XPointを採用したコンシューマーPC向けのキャッシュメモリ「Intel Optane Memory」の販売も始まった。容量は16GBか32GB。第7世代「Intel Core」プロセッサを搭載するPCでのみ利用可能で、「Intel 200シリーズ」チップセット搭載マザーボードのM.2スロットに接続する。
Micronは2017年中に、3D XPointを採用したメモリとストレージ製品を「QuantX」ブランドで発売する計画だ。OptaneとQuantXはどちらも、IntelとMicronの共同出資会社が運営する工場で生産される同一のコアダイ(半導体本体)を使用している。
速度と性能
3D XPointのアーキテクチャでは、NANDフラッシュのように、もはや低速なファイルI/Oを使ってデータを4KB/8KBブロックに保存する必要はない。3D XPointは少量のデータを読み書きできるので、NANDフラッシュよりも高速で効率的な読み書きが可能だ。初期の3D XPoint製品もこの点を実証している。ただし速度や性能はIntelとMicronが当初発表したレベルには達していない。
3D XPointはDRAMほど高速ではないが、不揮発性メモリであるという強みがある。性能と価格の点で3D XPointは、高速だが高価なDRAMと、DRAMよりも低速だが安価なNANDフラッシュの間に位置する。
読み書きが混在するワークロード(アプリケーション処理)を用いてIntelが社内で実施したNANDフラッシュSSD「Intel SSD DC P3700」との比較テストでは、キュー深度(同時に発行する命令数)が低い場合、Optane SSD DC P4800XはSSD DC P3700よりも5~8倍高速だった。公開されたデータによると、Optane SSD DC P4800Xはキュー深度11で50万IOPS(約2GB/秒)を実現している。
業界観測筋は、NANDフラッシュよりも1000倍高速という当初の目標を達成できない要因として、Optane SSD DC P4800Xが使用するPCI Express(PCIe)バスの存在を挙げる。3D XPointが性能目標を達成するためには他にも、マシンチェックエラーを処理する際に永続メモリと非永続メモリを分離する、コンパイラに永続メモリの使用を宣言し、リンケージエディタを使ってメモリをアプリケーションに割り当てるといったシステム変更が必要だと考えられる。ファイルI/Oを排除し、1つの命令で複数のデータ列を処理するベクトル演算を使用するためには、アプリケーション自体の書き換えが必要だ。
Intelは、DRAMスロットとDDRバスを使用する3D XPoint採用の不揮発性DIMM(NVDIMM)のリリースを予定しており、このNVDIMMも3D XPointの性能の最大化に役立ちそうだ。
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