ビジネスにBIを持ち込むBusiness Objects経営陣こそ利用すべし

Business ObjectsのCEOは、BIが重役になかなか受け入れられないことを認めながら、経営陣がBIを取り入れる時が来たと語った。

2008年07月03日 08時00分 公開
[Demir Barlas,TechTarget]

 ビジネスインテリジェンス(BI)の欠点は、それがあまりにも複雑なために、データアナリストや技術に詳しい人にしか使えないことである。これは皮肉な話だ。というのも、BIは、企業幹部にとって最も関心のあるビジネス戦略と競争優位の核心に触れる技術であるからだ。SAPの子会社であるBusiness Objectsのジョン・シュワルツCEOも、BIが重役室になかなか受け入れられないことを認めている。しかしシュワルツ氏は今、経営陣がBIの価値提案を理解し、それを実行に移す時が来たと確信している。

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―― BIが経営者に受け入れられないのはなぜですか?

シュワルツ 企業の重役の手元に情報を届けるのは容易ではありません。情報ソースがどこにあるのかをきちんと把握できていない企業が多いのが現状です。多数の異なるシステムが同じ情報を異なる視点から見ています。例えば、マーケティング、販売、製品管理、注文処理、サポート、顧客管理といった用途ごとにデータベースが存在します。そこで難しいのは、どのデータエレメントが基準の視点になるのかを把握することです。その上で、この単一視点を基準とするようにほかのシステムを構成する必要があります。これがマスターデータ管理(MDM)です。

―― しかしMDMが登場したのはだいぶ前のことです。

シュワルツ それがきちんとできている企業はほとんどありません。この面でリードしているのは銀行です。彼らのビジネスは、それをきちんとやれるかどうかに懸かっているからです。銀行は、同じ顧客であっても、「クレジットカードの顧客」「ローンの顧客」「資産管理の顧客」といった複数の視点で見ています。これらを管理するシステムはすべて異なり、互いに無関係に構築されています。情報の統合は、信頼できるデータビューを確立するための基本的なステップです。もう1つのステップは、サプライヤーと顧客のエコシステムの中でこの情報を共有し、全員が各要素に対して共通のビューを持つようにすることです。

―― それは構造化された情報の場合ですね。構造化されていない多様なデータはどうなるのですか。

シュワルツ 非構造型データには2つの種類があります。1つはデータベースや管理されたファイルに含まれていない数値データです。もう1つはテキストやメディアです。非構造型データを扱うツールはあります。例を挙げましょう。あるコールセンターでは、通話を記録し、それをテキストに変換しています。BIツールはそのテキストを解釈し、ムード情報と顧客の意図を抽出し、それをマーケティングデータベースの一部にすることができます。構造型データと非構造型データとのリンクを維持することもできます。例えば、コールセンターからの情報を参照する際に、それにリンクされた元の通話を聞くことができるのです。

―― 技術に詳しくない経営幹部でも、こういった機能を使えるのですか。

シュワルツ 当社のCMO(最高マーケティング責任者)が使っているガイド付きナビゲーション検索ツールでは、当社のデータベースにあるすべての製品データと顧客データにアクセスできます。さらに、この検索ツールの機能を使ってデータをスライス&ダイスすること(つまり、データを分析すること)により、トレンドや市場行動を把握できます。これによりCMOは、市場機会を特定し、特定の顧客に照準を合わせ、販売部門が特定のビジネスチャンスに狙いを定めたキャンペーンを構築するのを支援する一方で、バックエンドの製品開発チームには修正が必要な部分を伝えることができます。これは誰にでもできることです。もちろん、クエリと検索だけですべてのBI機能を実行できるわけではありませんが、経営幹部が独自のアクセス方法を作成するのには十分使えます。

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