データは知識に変えることができれば役に立つ。そして、知識はより良い決断に生かすことができれば役に立つ。
白状すると、わたしはIT業界に入るのがかなり遅かった。高校ではPCクラブに入っていなかったし、Popular Science誌を購読したこともなければ、Linuxフォーラムに参加したこともない。“リレーショナルデータベース”を“コンピュータの出会い系の基盤”だと思っていたこともある。
そんなわたしでも、われわれ(今ではわたしも業界の一員だと思っている)IT族は、トランザクション自動化と大量のトランザクションデータ収集に関してかなりうまくやってきたように思う。われわれは取引システムとそうしたシステムが収集するデータの運用、修正、監視、そして一般的にはサポートに、相当の時間を費やしている。
これだけのデータに囲まれていれば、誰か(大抵はうっとうしいビジネスユーザー)がわれわれに、データをもっと使えるものにしてほしいと要求するのは理にかなっている。しかし「使えるもの」とはどういうことか? わたしの意見では、データは知識に変えることができれば役に立つ。そして知識はより良い決断に生かすことができれば役に立つ。決断の役に立たない知識はただの雑学だ。
わたしは長年、何がより良い決断を下す助けになるのかを具体的に見極めようと、ビジネス機能に関するさまざまなアプローチを試してきた。リポートライブラリ、セルフサービスリポート、ダッシュボード、コンサルタント、読心術も試した。そしてある日突然気付いた。次の2つの単純な質問を投げ掛ければ(そして答えが見つかれば)解決するのだと。
実際はそれほど単純ではない。しかし会話の糸口としては優れた質問であり、わたしのビジネスインテリジェンス(BI)設計の方向性を示してくれるだけでなく、ITとビジネスとの関係を強化してくれる。
例えば最近、わたしは専門小売業者が何を知りたがっているのかを見いだす手助けをした。この会社はレガシーシステムを入れ替えたばかりで、トランザクションデータに埋もれている状態だった。あらゆるたぐいのカスタムリポートが作成されるのに、まだ情報をうまく把握できていなかった。わたしは質問を以下のようにカスタマイズした。
顧客についての何が知りたいのか? 自社の製品は? 市場は? 経営状態は? 競合他社は? 自社の顧客、製品、市場などについて本当に優れた情報を入手できたら、それを意思決定にどう役立てるのか?
われわれはこの理想点から出発し、この会社がどのような意思決定をしたいのかを明確にした。例えば小売業者として、もっと的を絞った販促について意思決定をしたいと考えていた。顧客に買いたいと思わせるため、印刷媒体、ラジオ、テレビ、インターネット広告をもっと効果的に使いたいとの考えだった。そこからさかのぼり、こうした意思決定のためには何を知る必要があるのか(言い換えれば、顧客について何が知りたいのか)を検討した。
われわれは、この会社は買い物を決断させる要因が何かを知る必要があるとの結論に達し、それが顧客分類調査についてのブレインストーミングにつながった。数千人の顧客調査を経て顧客を4タイプに分類できることが分かり、それぞれ反応するセールスポイントが異なることも明らかになった。新しいものに飛びつく顧客もいれば、セール対象製品に飛びつく顧客もいた。
これらの分類を行った後、この4タイプの顧客を見分けるデータの収集方法を考えた。これが翻って、ついにトランザクションシステムに行き着いた。それぞれの顧客がどの層に属しているかを見分けるために、どのようなトランザクションがあるのか、あるいは必要なのか。
われわれは情報収集を開始した。この会社は情報を知識に変えた。その知識が広告、店舗のレイアウト、リピーター獲得プログラム、商品選定に関する意思決定の向上につながった。簡単に言えば、ビジネスがインテリジェントになったのだ。これと並行して、ITはデータ以上のことを考えているように見えてきた。マーケティングおたくとITマニアが共通の言葉と目的を見いだしたのだ。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略立案担当副社長。
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