ストレージをイーサネットに融合するという手法はFCoEだけではない。シンプルさとLAN上でのパフォーマンスを追求したATA over Ethernet(AoE)の概要を紹介する。
本稿では、ATA over Ethernet(AoE)の概要とともに、AoEプロトコルの将来が米Coraidのビジネスの展望に深く結び付いている理由を説明する。
AoEは米Bell Labsの技術者グループによって開発され、現在はオープンソースコミュニティーのプロジェクトとなっている。AoEプロトコルの最大の推進企業が、AoE対応ストレージアレイの主要商用ベンダーであるCoraidだ。数社の小規模企業も同プロトコルをサポートしており、オープンソースストレージの専門家の間にも支持者がいる。
支持者らによると、AoEはそのベーシックなデザイン故に非常に低いコストで優れた信頼性とパフォーマンスを実現するという。AoEの開発理念は、シンプルさとLAN上でのパフォーマンスの追求だ。一方、データストレージに対する古典的な前提の多くは、新たなアプローチの登場で見向きもされなくなった。
もちろん、ストレージをイーサネットに融合するという手法は決して新しいものではない。ITアーキテクトたちは20年も前から、NFSやSMB(現在はCIFSと呼ばれる)などのNAS(Network Attached Storage)プロトコルを活用しており、SAN(Storage Area Network)の分野ではFibre Channel(FC)に代わる方式としてiSCSIがすっかり定着した。Fibre Channel over Ethernet(FCoE)も融合推進論者から支持されている。しかしこれらのプロトコル以外にも選択肢はある。ATA over Ethernetと呼ばれる簡素な代替手法がFCoEよりも前から存在したのだ。
FCoEはデータセンター向けの新しいプロトコルだ。AoEはFCoEと技術的に大きく異なるが、共通する部分もある。AoEは、既存のストレージプロトコルであるAdvanced Technology Attachment(ATA)を直接イーサネットに変換したものであり、TCP/IPで動作するiSCSIのように高レベルのプロトコルの開発で生まれたものではない。
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