モバイルとクラウドの同時活用が企業IT成功の鍵モバイル向けセキュリティとともに考えるITサービス

コミュニケーションやコラボレーション環境の変革を検討する担当者に向けて、ソーシャル、モバイル、ポータルなどに代表される次世代コラボレーション環境を実現するソリューションを、目的や課題別に分かりやすく紹介する。

2011年04月06日 09時00分 公開
[Susan Fogarty,TechTarget]

 タブレット端末が激流となってモバイル化の波をもたらしている。モバイルセキュリティサービスも必須になり、ネットワークソリューションプロバイダーはこれに応える準備が必要だ。モバイルセキュリティは大きなチャンスであり、企業は正しく理解する必要があると、ITソリューションサービスプロバイダーの英Dimension Dataで主席セキュリティコンサルタントを務めるニック・アルバニティス氏は解説する。

 ただしタブレット端末とモバイルセキュリティに関連したサービスを提供する上で、ソリューションプロバイダーは単なるモバイルにとどまらない助言を顧客に提供することが求められる。モバイル化が顧客の事業にもたらすメリットを理解し、全てのテクノロジー分野全体に及ぶことを理解する必要がある。

――ソリューションプロバイダーがモバイル向けのセキュリティサービスを提供するメリットはなんでしょうか。

アルバニティス氏 ソリューションプロバイダーが果たすべき中心的な役割は助言者としての役割です。モバイル化をめぐって、そしてモバイルでできることとできないことをめぐっては不明瞭な部分が多い。それぞれの組織が個別の懸念を抱えており、成熟度もさまざまです。私たちはライフサイクル全体を網羅しようと努めています。まずガバナンス、リスク、コンプライアンスに関するコンサルティングサービスから始め、それにモバイルがどのような影響を与えるのか考えます。次にポリシーとアーキテクチャに進む。私たちは適切なモバイルポリシーの策定において組織を支援でき、そのポリシーをモバイル端末に強制する上で提供できる技術とサービスを持っています。

 それが完了したら鍵となるのはテストと評価です。ソリューションプロバイダーは設定をチェックし、アプリなどのセキュリティ対策を評価するサービスを提供できます。ただし、ソリューションプロバイダーが案内役を果たして組織がそのライフサイクルのどこにいるのか、どこで案内が必要なのかを理解する手助けをし、オプションを探ることが重要です。技術だけで問題に対処しようとするのは大きな誤りだと思います。

――チャネルプロバイダーが顧客のモバイルポリシー策定を支援できる方法は何ですか。

アルバニティス氏 プロバイダーはまず、その組織にとってのモバイル化の目標を理解して、技術的にその目標が達成可能かどうかを見極める必要があります。次にモバイルで解決できると見込んだ個々の具体的なビジネスニーズについて使用事例の作成に着手します。それがビデオ会議であれ、プレゼンテーションの共有や仮想デスクトップインタフェースを通じたデータへのアクセスであれ、それぞれの角度から検討し、既存のポリシーや手順と照合します。そしてギャップ分析を行ってモバイル化についての具体的な言及があるかどうかを調べ、組織内で他にモバイルインフラが関連する分野があるかどうかを検討します。この大部分は、ビジネスニーズを理解して現在それがどうなっているかを調べ、ギャップ分析を行って改善が必要な部分を特定したロードマップを作成する作業になります。

――ネットワーキングソリューションプロバイダーは、顧客が従業員に持たせるタブレットなどのモバイル端末選定支援の役割を果たせるでしょうか。

アルバニティス氏 Dimension Dataもその役割は果たせるが、われわれはこの分野で複数の技術パートナーと提携しており、特にセキュリティに関しては技術に関する決定にあまり干渉しないように努めています。比較研究を行って、顧客のニーズに照らした各製品のメリットとデメリットを示すことはできます。現時点でAndroidはセキュリティ研究者に酷評されていますが、これはAndroidがオープンプラットフォームであり、コードへのアクセスもオープンであることを考えれば納得がいきます。

 これに対してAppleのiOSはクローズドなOSです。つまり、Androidの脆弱性が多数報告されているのは、純粋にこれがオープンプラットフォームだという理由で細部まで調べられているためです。一見、Androidの方がセキュリティが低いように見えますが、実際のところは分かりません。セキュリティを強化する鍵は、そのプラットフォームに適用できる管理ツールを探し出すことです。それが特定の技術を推奨する方向へとつながるのです。

――付加価値リセラー(VAR)が顧客に提供できるモバイルサービスには他にどんなものがありますか。

アルバニティス氏 モバイル化は多数の技術分野に関連します。ソリューションプロバイダーにとって大きなチャンスがあるのは、モバイル化が影響を与え得る他の事業分野を顧客に紹介することだと思います。組織のモバイル戦略と一致する分野の1つに、クラウドコンピューティング戦略があります。リソースを全てクラウドコンピューティングモデルに集約し、データとサービスを、主にブラウザ経由でサービスとして提供するのなら、エンドポイントはモジュラー化されます。このバックエンドインフラが導入された場合、モバイルの現実性は一挙に高まります。従って、ソリューションプロバイダーにとって鍵となるのはこうした技術トレンドを全てつなぎ合わせ、実際に実現していくことだと思います。

 私の見たところ、ソリューションプロバイダーは現在の技術トレンドでほぼ純粋な役割を果たすようになっています。IT専門家には技術導入者ではなく技術設計者として、より一層先を見越したアプローチが求められます。ビジネスは技術分野とは逆に、さらに垂直方向へと動いているからです。もはやネットワーク、サーバデータセンター、アプリケーションなどは話題になりません。話題になっているのはユニファイドコミュニケーション(UC)、仮想化、クラウドコンピューティングといったことです。ソリューションプロバイダーは、相互の分野および相互に与える影響について説く立場に立たなければなりません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

AIの悪用でフィッシング攻撃が巧妙化、今後の予測と防御方法を解説

今や誰もが入手可能となったフィッシングツール。そこにAIの悪用が加わり、フィッシング攻撃はますます巧妙化している。本資料では、20億件以上のフィッシングトランザクションから、フィッシング攻撃の動向や防御方法を解説する。

技術文書・技術解説 ServiceNow Japan合同会社

限られた人材でインシデントや脆弱性への対応を迅速化、その鍵となるのは?

セキュリティ対策チームの57%が人材不足の影響を受けているといわれる昨今、インシデントや脆弱性への対応の遅れが、多くの企業で問題視されている。その対策として有効なのが「自動化」だが、どのように採り入れればよいのだろうか。

製品資料 LRM株式会社

開封率から報告率重視へ、重要な指標をカバーする標的型攻撃メール訓練とは

年々増加する標的型攻撃メール。この対策として標的型攻撃メール訓練を実施している企業は多い。こうした訓練では一般に開封率で効果を測るが、実は開封率だけでは訓練の効果を十分に評価できない。評価となるポイントは報告率だ。

製品資料 LRM株式会社

新入社員の情報セキュリティ教育、伝えるべき内容と伝え方のポイントは?

従業員の情報セキュリティ教育は、サイバー攻撃や人的ミスによる情報漏えいから自社を守るためにも必要不可欠な取り組みだ。新入社員の教育を想定し、伝えるべき内容や伝える際のポイントを解説する。

製品資料 LRM株式会社

2024年発生のインシデントを解説、組織全体でのセキュリティ意識向上が不可欠に

2024年の情報漏えい事故の傾向では、攻撃者による大規模攻撃の他、社員や業務委託先のミス・内部犯行によるケースも多く見られた。インシデント別の要因と対策とともに、今後特に重要になるセキュリティ意識向上のポイントを解説する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

モバイルとクラウドの同時活用が企業IT成功の鍵:モバイル向けセキュリティとともに考えるITサービス - TechTargetジャパン セキュリティ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。