今からWindows 8のライセンスを確保する方法Windows 8移行のための3つのライセンス戦略(後編)

Microsoftの各種ライセンスを活用することで、「現時点で」Windows 8のライセンスを確保する方法もある。

2011年11月28日 09時00分 公開
[Paul DeGroot,TechTarget]

 前編「Windows 8移行を最小コストで実現する“何もしない”戦略」では、最もコストが掛からない移行戦略について解説した。後編で紹介する2つの戦略は、最初の1つよりもややコストは掛かるが、より計画的で着実なIT投資を実現する。

Windows 8のライセンス戦略

2.標準化の促進

 Windows 8で標準化する予定だが、急いで展開する必要がない場合は、SAのアップグレード特典を生かして、現時点でWindows 8のライセンスを確保できる。Windows 8のリリース時にSAが“有効”である限り、Windows 8にアップグレードできるからだ。

 今からライセンスを確保をする場合は、新規に購入するPCに付属するWindowsのOEMライセンス1本ごとにSAを注文する。このとき、SAはPCの購入日から90日以内に購入する必要がある。お勧めは、Microsoftの最もシンプルなボリュームライセンスプログラム「Open License」でSAを購入することだ。

 Open Licenseの割引率はベストではないが、Open Licenseでは契約期間中にいつでもSAを購入できる。また、有効期間はその他のMicrosoftボリュームライセンスプログラムよりも1年短い2年間だ。3年ではなく2年のSAを購入することで、さらに33%の割引が適用されるので、結果として、Open Licenseで購入する2年間のSAの料金は108ドルとなり、他のどのプログラムよりも割安になる。

 これが標準化をどのように促進するのかというと、SAを追加しておけば、現在からWindows 8のリリースまでに購入するPCは追加費用なしでWindows 8にアップグレードできる。従って、段階的な標準化を計画している場合、そのための布石を打つことができるのだ。

 例えば、ある企業で毎年、PC全体の20%を入れ替えるとする。Windows 8のリリース後に同OS搭載のPCを購入し始めた場合、全てのPCのライセンスがWindows 8になるのは2017年だ。一方、今からSAを購入しておけば、1年早く全PCのWindows 8への移行が完了する。

 いまだに多くの組織が旧式のPCでWindows XPを運用しているが、このような組織でハードウェアの入れ替えのスケジュールを早めたい場合もあるだろう。Windows 8のリリースを待たずに今から手を打てば、年間の入れ替えペースを33%にすることで、2014年までにWindows 8への全面的な移行を完了できる。

 この戦略のもう1つのメリットは、Windows Enterprise Editionを利用できることだ。このエディションは、特にポータブルコンピュータで有用な機能を多数備えているが、SAを通じてしか入手できない。SAを購入していれば、対象PCのSAの保証期間が過ぎても同エディションの永続ライセンスを保持できる。

 「標準化の促進」戦略は、SAの特典の1つである仮想化の使用権が必要な仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)を試してみたい場合にも有効だ。この仮想化使用権は非永続的なため、SAの有効期間が終了すると失効するが、2年間はこれを利用してXPのレガシーアプリケーションを運用できるので、開発者がこれらのアプリケーションをアップグレードするまでの対応策として活用できる。2年経過した時点で引き続きVDIを使用したい場合は、SAを更新すればよい。

3.OSのサブスクリプション

 OSのサブスクリプションプログラムは標準のEAと異なり、不要なOSのアップグレード権を購入する必要がないため、通常のEAの約65%の費用で済む。1万台のPCを運用する場合、3年間で約75万ドルを節約できる。

 標準のEAでは、追加で購入したPCに対してWindows 7へのアップグレード権を購入する必要がある。この要件は新規PCに既にWindows 7が搭載されている場合にも適用されるが、このアップグレード権は他のPCに使うことができない。つまり、使用できないOSライセンスを強制的に買わされることになる。

 一方、サブスクリプション方式の「Enterprise Subscription Agreement」(または、PCが2000台未満の組織の場合は「Open Value Subscription」)では永続ライセンスは提供されず、期間限定のサブスクリプションのみになる。サブスクリプション期間が終了すると、企業が“借用”していたWindows 8のライセンスも失効する。これは一見、大問題に思えるが、OSの場合はそうでもない。

 この戦略の肝はタイミングだ。理想的な流れでは、OEM PCにWindows 8が搭載されるようになった時点でWindows 8のサブスクリプションを購入する。このサブスクリプションが有効な3年の間に、全PCを新しいPCに入れ替える。これで新しいPCにもれなくWindows 8 ProfessionalのOEMライセンスが付いてくるという具合だ。

 最初のサブスクリプション期間が終了した時点で対象のソフトウェア(=Windows 8)の使用権も消失するが、全てのPCにWindows 8のOEMライセンスが付帯しているので、Windows 8のサブスクリプションライセンスが失効しても全く影響がない。

 ただし、幾つか注意が必要だ。

 サブスクリプション契約で提供されるSA権は非永続的なので、Enterprise Editionの展開や、長期にわたるデスクトップ仮想化への投資は避けた方がよい。サブスクリプション終了後もEnterprise Editionやデスクトップ仮想化の使用権を維持したい場合は、費用が膨れ上がる可能性がある。

 サブスクリプション契約の期間が終了するまでに全部のPCを入れ替えていない(つまり、Windows 8のOEMライセンスを入手していない)場合は、Windows 8ライセンスがない残りのPCに対してWindows 8のアップグレード権を購入する必要がある。その場合は、予定している入れ替え時期まで後1年あるとしても、思い切って残りの旧式PCを入れ替えてしまった方がよい。古いPCを対象に購入したアップグレード権は、入れ替え後のPCに移譲できないからだ。OSのアップグレード権を購入する資金を新しいリプレースPCの購入に充てた方が得策だ。

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