仮想化ベンダーおよびサードパーティープロバイダーは、製品やサービスの品質を改善するために何をすべきか。米TechTargetのサーバ仮想化アドバイザリーボードのメンバー3人に聞いた。
2011年11月の感謝祭前日、われわれは米TechTargetのサーバ仮想化アドバイザリーボードのメンバーに対し、どのようなサーバ仮想化技術が役立っているのかを質問した。彼らは高可用性とディザスタリカバリ(DR)機能に改善をもたらした重要な新ハイパーバイザーを幾つか挙げた。しかし大手仮想化ベンダー各社からエキサイティングな新機能や改良が数多くリリースされているものの、まだ改善の余地があることは明らかだ。
というわけで2012年は逆に、今後改善すべき点をアドバイザリーボードのメンバーに聞いた。仮想化ベンダーおよびサードパーティープロバイダー各社は、それぞれの製品やサービスの品質を改善するために何をすべきなのだろうか。
今日の仮想化ベンダーは、リポート作成機能の分野のニーズにまだ対応できていないようだ。米VMwareは「vCenter CapacityIQ」(関連記事:VMwareの仮想化管理ツールの多様なラインアップに戸惑うユーザー)で大きく前進したが、まだ不十分なように思える。ホストサーバと仮想マシン(VM)のパフォーマンスを比較したリポートを作成することはできるが、そのデータが実際に何を意味するかについてはさまざまに異なる見方がある。搭載されたパフォーマンスリポーティング機能がもっと強力で使いやすくなることを望む。米MicrosoftのHyper-Vは非常にきめ細かなリポーティング機能を備えているが、どのカウンターを使えばいいのか、またデータをどう解釈すればいいのかという点が非常に分かりにくい。
米NetIQや米Veeam Softwareなどの企業から多数のサードパーティーオプションが提供されているが無償ではない。こういったサードパーティー製品を利用すれば、基本的なリポーティング機能を使うのに多額のコストを負担することになる。これらの製品には他にも多くの機能が含まれているので、価格に見合った価値があると言えなくもない。しかし基本的なパフォーマンスリポーティング機能で追加コストが発生するというのはいただけない。MicrosoftとVMwareには、標準のパフォーマンスモニタリングツールにもっと力を入れてもらいたい。
仮想化市場の動きがあまりに速いため、多くのサードパーティーベンダーは特定のハイパーバイザーバージョンや特定の機能を最初にサポートすることに躍起になるあまり、“バグウェア”が増えている。IT業界ではこういったことは今に始まったことではないが、仮想化技術の急速な進歩と市場規模の拡大で、この状況が一層顕著になっている。
「最初」であることだけを売り物にするベンダーには困ったものだ。最初に、あるいは早期に製品をリリースしたかもしれないが、実質的には何も付け加えたわけではないというケースが多い。また、初期のサポートが特定の構成にしか対応しておらず、拡張性に欠けるケースもある。
私は最近、Windows Server 2008 R2のHyper-Vをサポートするという有名なバックアップソフトウェアを試してみたが、大規模な環境ではこのソフトウェアは使い物にならなかった。問題を回避する方法もあったが、欠陥があまりにも多くサポートというのは形ばかりであることがはっきりした。
私が不満を抱いているのはサードパーティーベンダーに対してだけではない。大手のハイパーバイザーベンダーにしても、欠落している機能をすぐに提供しないことが多い。自社製品の管理機能をサポートしていない場合もある(Microsoft System Center 2012でのWindows Server 2012のサポートなど)。
ベンダーにお願いしたいのは、これ以上バグウェアを出さないでもらいたいということ、そして初期リリース以降の計画も用意しておいてもらいたいということだ。新リリースを最初にサポートすることよりも、品質と柔軟性を備えた製品を提供する方が重要だ。
ベンダー各社は多数のソリューションプロバイダーを相手にしているが、プロバイダーのビジネスに対する理解が不足している。大多数のITソリューションプロバイダーはサービスを販売するビジネスに移行しており、その多くは継続的な収益が期待できる管理型サービスを提供している。これに対し、ほとんどのベンダーが製品を販売しようとしているのが実情だ。
ベンダーとプロバイダーは互いに緊密な関係にあるにもかかわらず、自社のチャネルのビジネスモデルを理解していないベンダーが多い。この断絶のせいで、ベンダーはソリューションプロバイダーに(サービスでリードするのではなく)製品を販売させようとし、ベンダーのマーケティング予算がソリューションプロバイダーのニーズに合わないのだ。このためにチャネルで大きな無駄が生じている。これは誰の利益にもならない。
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