2014年06月12日 08時00分 公開
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XPユーザーの選ぶ「Windows 7移行、Windows 9待ち」が現実的な理由Windows 8.1はスキップ?

MicrosoftがWindows XPのマルウェア防御を2015年まで延長すると発表したものの、このまま使い続けるのにはやはりセキュリティリスクが伴う。新しいOSとして現実的なWindows 7へ移行する際に気を付けるべき点をまとめた。

[Diana Hwang,TechTarget]

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 米Microsoftの「Windows XP」の公式サポート終了に伴い、一部の企業は難しい判断を迫られている。同社の「Windows 7」や「Windows 8」に移行すべきだろうか。それとも、リスクを承知でWindows XPを使用し続けるべきだろうか。

 この判断を下す際には、企業のニーズや予算の制約など、複数の要素を考慮する必要がある。だが、新しいOSに移行するというアイデアを却下する前に、サポートが打ち切られたWindows XPを使用し続けた場合に起こり得ることを知っておく必要があるだろう。

Windows XPの安定性に変わりはないが、セキュリティリスクは高まる

 歴代のMicrosoft OSの中で、Windows XPが最も安定していることを否定する者はいないだろう。事実、米国の調査会社NetMarketShareによると、世界中のデスクトップPCの26%で依然としてWindows XPが使用されているという。

 Windows XPの評判が良いのは確かだ。だが、企業はセキュリティとプライバシーの規則を順守するためにデスクトップPCとノートPCをアップグレードする必要がある。これは特に医療や金融など規制の厳しい業界に当てはまる。

 Windows XPを使用し続ける企業は、サポート終了によってWindows XPがセキュリティの脅威にさらされることを肝に銘じておかなければならない。Microsoftは先日、Windows XPのマルウェア防御を2015年まで延長すると発表した。だが、この対策はWindows XPマシンのセキュリティ保護としては大して役に立たないだろう。

 カスタムサポートを契約することもできるが、決して安くない。米IDCが公開したホワイトペーパーによると、Windows XPマシンのサポートコストは、デバイス1台当たり平均で年間最大870ドルに達する。一方、Windows 7の類似実装マシンでは、デバイス当たり年間最大168ドルになると見積もられている。

 最新バージョンのWindowsに移行するのは気が重くなる作業だ。だが、Windows 7は最も手軽な移行先となり得る。Windows 7ではセキュリティと安定性が保証されている。また、Microsoftやサードパーティーの完全なサポートが受けられる。

 さらに、Windows 7は普及率も高い。NetMarketShareによると、Windows 8とWindows 8.1を実行しているデスクトップPCは10%にすぎないのに対し、Windows 7は47%にも上る。

 一方、Windows 8はいまだ特異な点も多く、ビジネスユーザーに広く受け入れられているとは言い難い。大方のIT評論家は「モダンUI」の使いにくさやタッチ操作対応のタブレットへの偏重を批判している。

既に道が踏みならされたWindows 7への移行

 多くの企業にとって、Windows 7への移行は安全策と見なすことができるだろう。適切な計画を立てれば、移行は比較的スムーズに行える。

 例えば、米アトランタを拠点とし、乗用車の再販サービスを提供する米Manheimは、2013年に1万2000台のデバイスをWindows 7に移行した。

 同社でWindows 7導入プロジェクトを統括したデニーセ・ヘーゼラー氏は次のように述べている。「プロジェクトの早い段階で直面した最大の課題は、従業員のアプリの再インストール方法を決めることだった。従来のやり方は手作業を主体としたものだった。だが、迅速かつ莫大なコストが掛からない方法で移行する必要があった」

 同社は「Microsoft System Center Configuration Manager」(以下、SCCM)を使用していたが、アプリケーションの再インストールで問題に直面した。「このシステムは移行期に用いるものとしては、あまり効率的ではなかった」と技術エンジニアリングマネージャのブライアン・スコット氏は語る。

 何度か試験的なプログラムを実施した末、同社はサードパーティーに助けを求めた。最終的に、同社は、英1EのAppClarityを使って、複数のサーバとデスクトップPCにまたがって実行しているアプリケーションをひと目で把握できるようにした。「Windows 7への移行で確立した自動アプリケーション検出機能を使うプロセスは、この上なくうまくいった。その結果、ライセンス管理とバージョンを標準化することができた」とWindowsシニアエンジニアのブライアン・タッカー氏は振り返る。

 もう1つ例を紹介しよう。米Alabama Gas Corpは3年がかりの移行計画を立てた。米バーミングハムに拠点を置く同社は、SCCM 2012を使用してWindows 7と「Microsoft Office 2010」に運用環境を移行した。

 同社のデスクトップシステムを統括するデビット・ドリガー氏は次のように話している。「Windows 7への移行は、これまでに実施した移行の中で最も滞りなく進んだ。最大の勝因は、マシンのイメージとデータ取得のために何度かテストを行ったことだ。そこから得た知見を基にプロセスを文書化し、後はそれに沿って進めるだけだった」

 従業員のサポートと信頼を得られたことも、移行プロセスを円滑に進める一助となった。「ユーザーコミュニティーとも良好な関係を築いている。マシン移行時にITスタッフが従業員をサポートし、従業員には移行の概要が事前によく伝えられていた」と同氏はいう。

これからのOSの信頼性をWindows 7が担うのか

 Windows 7のメインストリームサポートの終了予定は2015年1月13日だが、延長サポートは2020年まで継続する。そのため、Windows 7はサードパーティーからの強力なサポートが得られる安定したOSとなるだろう。ソフトウェアの互換性に関する懸念も比較的少ない。

 一方、Windows XPからWindows 8に移行する場合は、ソフトウェアの互換性が潜在的な障害となり得る。また、Windows 8には、それまでのバージョンからのあまりにも向こう見ずな冒険だと評されているUIの問題がある。Windows 8に移行する企業は、この点についても従業員に対して釈明が求められることになるだろう。また、Windows 8をフル活用するなら、タッチスクリーン対応のデバイスへのアップグレードが必要になる。その場合は、さらなる出費が強いられる。

Windows XPからWindows 7への移行に関するチェックリスト

 Windows XPからの移行は入念な計画なくして実現できない。そこでWindows 7に移行する前に確認すべき事項をまとめておく。

  1. 会社のハードウェアとソフトウェアの全体像を把握する(会社のデータとアプリケーションにアクセスできる業務利用の私物デバイスも含む)
  2. Microsoftやサードパーティー製ツールを購入し、自社のIT環境の見取り図を作成する(既に所有している製品とその稼働状況)
  3. タブレット、モバイルデバイス、クラウドコンピューティングなどのテクノロジーについて調べ、会社のIT環境と従業員の働き方にどのような影響があるかを理解する
  4. ダウンタイムを短縮するため、移行のタイミングと方法をエンドユーザーに通知する
  5. Windows 7と関連する変更について、従業員にトレーニングを実施する

 Windows 7への移行に際して、IT担当者は幾つかの重要な変更に対処する必要がある。例えば、Windows 7や新しいバージョンのInternet Explorerと互換性がないレガシーアプリやデータへのアクセス方法などだ。

 移行ツールを使えば、Windows XPからWindows 7やWindows 8に移行する際に直面する困難をいくらか緩和できる。移行ツールには、アプリの復旧と導入に対応するものもあれば、新しいOSからレガシーアプリやデータにアクセスできるようにするものもある。こうしたツールは、MicrosoftのSCCM以外にも、1E、米Adaptiva、米Browsium、米Dell KACE、米SplashTopなどが提供している。

 だが、IT管理者がWindows XPからの移行を成し遂げたころには、Windows 9の新機能について頭を悩ませなければならない時期がすぐそこまで近づいていることだろう。

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