Microsoftのお株を奪う珠玉のモバイル版オフィススイート5選「Microsoft Office」はもういらない?

「Microsoft Office」のモバイル向け代替ソフトはたくさんある。ドキュメントの閲覧、編集に使える他のモバイルアプリ版オフィススイートをチェックしてみよう。

2014年08月22日 20時00分 公開
[Robert Sheldon,TechTarget]

 「Office 365」を導入する準備ができていない、あるいは別の理由があって「Microsoft Office for iPad」「Microsoft Office Mobile」に食指が動かない企業は、他のモバイルアプリケーションを利用して従業員が生産性を発揮できるようにしている。

 米Microsoftは市場の圧力に屈し、米Googleの「Android」と米Appleの「iOS」にそれぞれ対応する「Microsoft Office」のアプリケーションをようやくリリースした。これらのアプリは無料だが、Office for iPadには、1つ制限がある。Officeドキュメントの作成、編集、保存を行うには、Office 365のサブスクリプションが必要なことだ。それなしではドキュメントを読むことしかできない。ビジネスユーザーは、Office 365で提供されている5つのサブスクリプションプランのいずれかを選択する必要がある。さもないと、これらのアプリでできることは極めて限られる。

 しかし、Microsoft製品以外にも選択肢はある。スマートフォンやタブレットからOfficeドキュメントにアクセスできるさまざまなモバイルアプリケーションが出回っている。従業員が選んでもよいという企業もあるかもしれないが、多くの企業は、セキュリティと管理プロセスをコントロールできるように、自社のモバイルデバイス管理(MDM)戦略に合ったツールを求める。

「Office」に代わる選択肢はこれだ

 考慮すべきポイントの1つとして、まずサポートされている機能が挙げられる。例えば、パスワード保護されたファイルにアクセスできるアプリと、そうでないアプリがある。Officeのテンプレートファイルが使えるアプリもあれば、使えないアプリもある。PDFファイルを生成できるものもできないものもある。

 選択肢を絞る最良の方法の1つは、そのアプリがどのモバイルプラットフォームをサポートするかを調べることだ。例えば、「iPhone」や「iPad」用のアプリがあってもAndroidデバイス用のアプリが提供されていなければ、選択肢から外れるかもしれない。クラウドとの連携についても同様だ。あるアプリから「Google Drive」と「Microsoft OneDrive」にしか接続できないが、社内では「Dropbox」が必要というなら、そのアプリは選択肢に入らないだろう。

 以下では、さまざまな機能を持つ人気のモバイルアプリ版オフィススイートを5つ取り上げる。いずれもAndroidとiOSに対応し、少なくとも基本的な編集機能を提供する。もちろん、市場には多くの製品が出回っており、検討に値するものはこの5つだけではない。興味のある製品を見つけたら、社内でサポートされている全てのデバイスで試してみよう。欲しい機能が、あるOSで利用できるからといって、他のどのOSでも利用できると思い込むのは禁物だ。

1. Documents To Go Premium

 もともとPalm OS用に開発された「Documents To Go」は、モバイルアプリ版オフィススイートでは最古参の部類に入る。各種のファイル形式やクラウドサービスをサポートし、他の製品では得られないこともある幅広い柔軟性を提供する。パスワード保護されたファイルにアクセスできる機能も高い柔軟性に貢献しており、このアプリはエンタープライズシステムに統合することもできる。

 Documents To Goが批判される場合、使いにくさとプレゼンテーション機能の欠如がやり玉に挙がることが多い。だが、基本的な編集や書式設定に関しては、このアプリは全体的に期待通りだ。このアプリの「InTact Technology」は、元のドキュメントの書式を保持するのに役立つ。また、ユーザーは変更をメモリカードやクラウドサービスに保存し、ファイルを自分のデスクトップとプラットフォームに応じて、USBまたはWi-Fiで同期できる。iOS版では最近、Appleの「AirDrop」のサポートが追加されており、「iOS 7」で提供される他の機能のサポートも計画されている。

項目 説明
価格 14.99ドル/1539円(Android版、BlackBerry版)、16.99ドル/1700円(iOS版)
対応プラットフォーム Android、BlackBerry、iOS
対応ファイル Office 2007〜2013ファイルの閲覧、編集、作成、PDFファイルの閲覧、パスワード保護されたファイル(PDFを含む)のサポート
対応クラウド Box、Dropbox、Google Drive、OneDrive、iCloud(iOS版)、SugarSync(iOS版)

2. Kingsoft Office

 「Kingsoft Office」は、何よりもまずデスクトップスイートであり、モバイルアプリはおまけ的な位置付けとなっている。それでも、この分野の優れものであることに変わりはない。このアプリは無料ながらも、高価なアプリの多くに匹敵する豊富な機能を提供する。多様なファイル形式をサポートし、多くのクラウドサービスと連携し、「WebDAV」サービスとともに利用可能だ。さらに、このアプリは、複数ドキュメントを切り替えられるファイルマネジャーを搭載する他、システムのメールと密接に連係している。また、「Microsoft Word」ファイルやPDFファイルにブックマークを追加することも可能だ。

 Kingsoft Officeについては、「インタフェースが少し貧弱」「パフォーマンスが遅い」といった声もあるが、ユーザーは総じてこのアプリを気に入っているようだ。

項目 説明
価格 無料
対応プラットフォーム Android、iOS(に加え、WindowsおよびLinuxデスクトップ)
対応ファイル Office 2007〜2013ファイルの閲覧、編集、作成、23種類のフォーマットのファイル(PDFやテキストファイルなど)の閲覧、PDFへの保存、パスワード保護されたファイルのサポート
対応クラウド Box、Dropbox、Google Drive、OneDrive(iOS版)、WebDAV

3. OfficeSuite Professional

 「OfficeSuite Professional」のiOS版では、PowerPointファイルについては編集ができず、閲覧しかできない。また、OfficeSuiteはテンプレートファイルなど、Officeの一部のファイル形式に対応していない。その一方で、テキストやOpenOfficeドキュメントなどのフォーマットはサポートしている。OfficeSuiteはそうした制限があるものの、確固たる評価を得ており、最も人気のあるアプリケーションの1つだ。

 OfficeSuite Professionalは、さまざまなクラウドとの連携を容易にするファイルブラウザを備えており、WebDAVもサポートしている。また、電子メールの添付ファイルやZIPファイルを開いたり、OutlookのEMLファイルを扱ったり、電子メールやBluetoothでドキュメントを共有したりすることも簡単にできる。最新バージョンはユーザーインタフェースと機能セットが高く評価されている。

項目 説明
価格 14.99ドル/1526円(iOS版は1.99ドル/100円で販売されることもある)
対応プラットフォーム Android、iOS
対応ファイル Word、Excel、テキストファイル(doc、docx、rtf、txt、log、xls、xlsx、csv)の閲覧、編集、作成、PowerPointファイルの閲覧、編集、作成(Android版)、PowerPointファイルの閲覧(iOS版)、多様なファイル(PDFを含む)の閲覧、OpenOfficeドキュメントのサポート(Android版)
対応クラウド Box、Dropbox、Google Drive、OneDrive、SugarSync、iCloud(iOS版)、WebDAV

4. Google Quickoffice(※)

 Googleは「Quickoffice」を買収してGoogle Driveに統合し、BoxやDropbox、Evernoteといった他社のクラウドサービスのサポートを打ち切った。QuickofficeにはGoogleアカウントでサインインするようになっており、これはMicrosoftがOfficeのモバイルアプリで取っているのと同様のアプローチだ。だが、Quickofficeは他の製品に見られるのと同じ基本的な編集機能を提供する。あなたの会社がGoogleインフラに既に投資しているなら、このアプリとGoogle Driveのスムーズな連携を歓迎するだろう。

 Quickofficeは、AndroidおよびiOSユーザー向けの人気のOffice代替アプリとなっている。しかし、dotxファイルの編集やPDFファイルへの注釈など、一部の機能はAndroid版でしか提供されない。また、Android版もiOS版も、RTFファイルに対応していない。それでも、このアプリは無料なので、Googleの枠組みを受け入れるのであれば、試しても失うものはほとんどない。

※Googleは2014年6月、「Google Docs」(ドキュメント、スプレッドシート、スライド)との統合が完了したため、「Quickoffice」の提供を終了すると発表した。本稿翻訳時点で、QuickofficeはGoogleのアプリストア「Google Play」では提供されておらず、Appleのアプリストア「App Store」ではまだ提供されている。

項目 説明
価格 無料
対応プラットフォーム Android、iOS(およびChrome)
対応ファイル 基本的なOfficeファイル(doc、docx、xls、xlsx、ppt、pptx)の閲覧、編集、Office 2013ファイル(docx、xlsx、pptx)の作成、Officeの他のファイルタイプのサポート(Android版)、PDFファイルの閲覧、PDFファイルへの注釈(Android版)
対応クラウド Google Drive

5. SmartOffice 2

 SmartOfficeは、対応プラットフォームの多さでは競合製品をリードしており、Windows Phone版のリリースも予定されている。だが、対応するファイルや連携するクラウドの種類に関しては、他の製品ほど充実していない。ダッシュボードスタイルのユーザーインタフェースは慣れを要するかもしれないが、きちんと機能しており、操作中に利用できるチュートリアルも用意されている。

 SmartOfficeでは、ドキュメントの新規作成も簡単だ。一連のテンプレートがプリロードされるようになっており、それらを使ってフォントや色を選んだり、書式を適用したりできる。さらに、幅広い無線プリンタへの印刷や、電子メール添付ファイルの送受信、SDカード内のファイルへのアクセスも可能だ。3Dドキュメントの表示やスライドショウのプレゼンテーションもサポートされている。クラウド連携の制限に対処できるなら、このアプリは少なくとも試す価値はある。

項目 説明
価格 9.99ドル/1013円
対応プラットフォーム Android、iOS、webOS、Bada、Symbian、BlackBerry
対応ファイル 基本的なOfficeファイル(doc、docx、xls、xlsx、ppt、pptx)の閲覧、編集、テンプレートに基づくOfficeドキュメントの作成、PDFへのエクスポート、PDFとグラフィックファイルの閲覧
対応クラウド Box(iOS版)、Dropbox、Google Docs

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