機能強化に向けた人材を獲得
DockerがSDN企業買収でネットワーク機能強化、競合の反応は?
米Dockerによる米SocketPlaneの買収で、コンテナ型仮想化技術の拡張性が大幅に向上し、企業にとってハイパーバイザーに代わる選択肢としての魅力がさらに高まるものと期待される。
オープンソースのアプリケーションコンテナを開発する米Dockerが、SDN(Software Defined Networking)企業の米SocketPlaneを買収したことで、米VMwareなどの企業が開発するハイパーバイザーに代わる選択肢の開発に拍車が掛かりそうだ。
一方、米Red Hatは2015年3月初め、Dockerのコンテナ型仮想化技術に対応したOS「Enterprise Linux Atomic Host」のバージョン7.1をリリースした。
買収の狙い
DockerがSocketPlaneを買収した狙いは、技術よりも人材にある。SocketPlaneの最高経営責任者(CEO)のマドゥー・ベニゴパル氏は、米Cisco Systemsの元技術責任者である。今回の買収に伴い、同氏はDockerのネットワーク担当シニアディレクターに就任した。
2014年10月に創業したSocketPlaneは、数千個の「Docker」コンテナをネットワーク化し、コンピューティングタスクに基づく連係を実現する技術に注力してきた。これらのコンテナは、PCやデータセンターのサーバ上でアプリケーションをホスティングできる。
DockerはLinuxベースのコンテナで、アプリケーションおよびその依存関係を独立したプロセスとしてLinuxカーネル上でホスティングする。コンテナはハイパーバイザー(仮想マシンマネジャー)を代替できる簡易的な方式であり、複数のコンテナが同じLinuxカーネルを共有できる。異なるLinuxディストリビューションにコンテナを移動することもさほど難しくない。
SocketPlaneの元開発チームはDockerに移籍後、他のIT企業と協力して、コンテナネットワークの規模の大幅な拡大を可能にするAPIを開発する予定だ。SocketPlaneのパートナーとして今後もAPIの開発を計画している企業には、IT大手のCisco、米IBM、米Microsoft、VMwareなどが含まれる。
Dockerのアドバンテージ
Docker支持者らによると、同技術はハイパーバイザーよりもコンピュータリソースの消費が少ないという。ハイパーバイザーが実行する複数の仮想マシン(VM)には、それぞれOSが含まれる。
「ある物を箱詰めするのに、重いマホガニー製の木箱と軽いアルミ製の箱のどちらかを選ぶとすれば、大抵の人はアルミの方を選ぶだろう」と話すのは、米Nemertes Researchのアナリスト、ジョン・バーク氏だ。
コンテナがすぐにハイパーバイザーに取って代わることはないだろうが、いずれハイパーバイザーの人気が低下し、VMwareなどの企業のビジネスも影響を受ける可能性がある。
VMwareがこうした事態に対処する方策としては、「VMware vCenter」をDockerコンテナあるいは同様の技術に対応させ、同じツールを使ってコンテナとハイパーバイザーの配備と管理が行えるようにするという手もある。
vCenterは、VMwareの仮想化プラットフォーム「VMware vSphere」用の一元管理ツールである。
「同社は新たなパラダイムに比較的スムーズに移行できるだろう。彼らが積極的にその方針を推進できるかどうかだけの問題だ」とバーク氏は語る。
今後の課題
一方、Dockerが同社名と同じオープンソースコンテナを企業向けの本格的な技術に育て上げるには、まだ多くの課題を克服しなければならない。「拡張性の問題に加え、オーケストレーションやセキュリティについても、現行のものより高度な機能を備えたツールを開発する必要がある」と専門家らは指摘する。
だが開発は着実に前進している。Dockerは2014年12月に、オンプレミス型コンテナのライフサイクル管理ツール「Docker Hub Enterprise」を発表した。
Docker技術は、エンタープライズITベンダーからの強力なサポートも得ている。例えばMicrosoftは「Windows Server」に対応したDockerバージョンを開発中だ。
米Googleや米Amazon Web Servicesなどのパブリッククラウドベンダーも、Dockerサービスや広範なコンテナおよびコンテナ管理サービスを提供している。
バーク氏によると、Dockerや「Rocket」などの競合コンテナ技術は将来、コンテンツキャッシュやロードバランシングなどのネットワーク機能をパッケージ化するのに使われる可能性があるという。また、開発者はSDNコントローラーと通信できるコンテナAPIを開発するかもしれない。
「こういった利用形態は十分あり得る」とバーク氏は話す。
「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」の最新バージョンには、Docker形式のイメージをアプリケーションコンテナとして配備、実行する機能などが含まれる。Atomic Hostクラスタ上で動作するコンテナのオーケストレーションは、Googleの「Kubernetes」エンジンを使って実行される。セキュリティ関連では、マルチコンテナ環境において各コンテナを隔離する機能を備える。
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