2〜4位、8、9位を占めたのは、「Amazon Web Services」(AWS)、「Microsoft Azure」(Azure)、「IBM SoftLayer」(SoftLayer)、「Google Compute Engine」(GCE)といった4大クラウドサービスを比較した記事でした。
クラウド比較記事の中で最も閲覧数が多かったのは、2位の障害発生状況に関する記事「2014年にダウンタイムが最も長かったクラウド、短かったクラウド」でした。クラウドサービスは便利ですが、データセンター周りに関しては、ユーザー企業のコントロールがきかないため、ダウンタイムはとても気になるポイントです。過去に大規模な障害を発生させたことがあるAWSは、2014年は非常に安定していました。その理由について専門家らは「AWSが大規模なインフラ設計分野における専門性を高めてきたこと、苦しみながら成長してきたことに起因する」と説明しています。AWSはスケールアップをしながら可用性を最適化する方法を学んできました。また、ネットワーク、ストレージ、サーバ機器を独自に設計し、コスト削減と信頼性向上の両方を成し遂げてきたのです。IaaS市場に後から参入したAWSの競合はこの先、大幅なスケールアップを行った際に障害が頻発することもあると予想されます。AWSの安定性は大きな強みといえます。
他にも、クラウドサービスのシェアやストレージ料金、ネットワーク性能を比較した記事がランクインしています。
最近、企業がクラウド選定をする際に、「AWSを選んでおけば間違いがないんでしょ」と思い込んでいるユーザー企業が多いと多方面で聞きます。今回のランキングでも、比較記事を除いて、5、7、10位がAWSに関する記事でした。確かに、AWSの進化や注目度の高さには目を見張るものがあります。しかし、ユーザー企業に取材をすると「導入当時はAWSしか選択肢がなかったが、もっと優れたクラウドがあれば移行もやぶさかではない」と答える企業が多いのも事実です。
5、10位にはAWSのユーザー事例がランクインしています。スターバックスコーヒージャパンとオンワード樫山というどちらも有名企業の事例です。スターバックスコーヒージャパンは、オンラインサービスのシステム基盤をオンプレミスからAWSへ移行することで、急激なアクセス増にも耐え得る仕組みを構築しました。オンワード樫山は、アパレル業界向けERPの「SAP AFS」をAWSで稼働しています。AWS活用は、社外向けシステムだけでなく、社内の業務システムにも着々と進んでいるといえます。
7位には、AWSが提供するDaaS「Amazon WorkSpaces」の記事が入っています。WorkSpacesはデスクトップアプリ配信機能が強化されました。AWSが「AWS Marketplace」に「AWS Marketplace for Desktop Apps」を追加したことで、WorkSpacesユーザーは100種類以上の企業向けデスクトップアプリケーションを購入できるようになりました。新機能「Amazon WorkSpaces Application Manager」(WAM)では、このような企業向けデスクトップアプリケーションをWorkSpacesに配信し、IT部門はそれを一元管理できるようになります。
クラウドサービスの利用は、Webサービスだけでなく業務アプリケーションにまで広がっています。TechTargetジャパンではこうした状況を踏まえ、今後もクラウドサービスの製品選定に役立つ情報を紹介していきます。
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