IT管理者の夢を実現できるが……
Amazonが本気で提供する仮想デスクトップ、利用をためらう理由とは
米Amazon Web Servicesが提供するクラウドベースのデスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」を詳しく見ていこう。DaaSであるAmazon WorkSpacesに移行するメリット/デメリットを考える。
仮想デスクトップはIT管理者の夢だ。従業員全員が利用するシステムをITスタッフが容易に、自動的に管理できるようになり、従業員全員が厳密に正しいバージョンのソフトウェアを実行していることを確認できる。
仮想デスクトップを導入すれば、社内ユーザーが使用している仮想システムにITスタッフは直接ログインして、システムへのアクセスがセキュアかどうかも確認できるので、問題が発生した場合のトラブルシューティングが速く進む。新しい社員が入社してきた場合でも、ITスタッフはボタンをクリックするだけで、新入社員が使う仮想デスクトップをプロビジョニングすることができる。この作業が終われば、新入社員はインターネットが利用できる場所ならばどこからでも、自分用の作業環境にアクセスできるようになる。
デスクトップ環境を従量制で提供
米Amazon Web Servicesが提供する「Amazon WorkSpaces」は、本稿執筆時点では機能制限付きのプレビュー版での提供で、一般公開は後日予定されている。提供予定のサービスや機能は他のベンダーと同じだが、他ベンダーよりもはるかに明確な「従量制」課金モデルとなる。企業は、取得済みのソフトウェアライセンスを適用するか、追加料金を少し上乗せして本サービス用のライセンスを適用するかを選択できる。例えば、Windowsライセンスの購入について悩みたくない顧客は、その手続きをAmazon WorkSpacesに任せることになる。
ただし残念なことにAmazon WorkSpacesは、インターネット接続が利用できる環境でのみ使用可能だ。言い換えると、社内のインターネット接続がダウンしてしまうと、社内の全員が何も作業できない状態になる。作業中のドキュメントにすらアクセスできなくなる。特に自社ネットワークを冗長化していない企業、または業務継続のための代替策を用意していない企業はこうした事態に陥る恐れがある。
さらに、Amazon WorkSpacesではホストシステムとの連係はサポートされない。ユーザーがリモートワークステーションにログインするためには、やはりコンピュータが必要になる。そしてそのコンピュータのシステムで問題が発生した場合には、ユーザーはトラブルシューティングを誰かに支援してもらう必要がある。ITスタッフは、ローカルのクライアントPCよりも仮想デスクトップで作業してもらうようユーザーを説得する必要も生じるだろう。
現在の課題
ローカルで動作するクライアントPCはインターネットに接続する必要がなく、こちらの方が間違いなく高速だ。そのため、作業を全て仮想デスクトップに移行してもらうようにユーザーを説得するのはますます困難になる。社内のインターネット接続が十分に高速でない企業は、タスク完了に要する時間が長くなる可能性があり、結局、オーバーヘッドが大きくなり過ぎて、時間と労力の面でDaaS(Desktop as a Service)を選択した意味がなくなるかもしれない。
結論
DaaSは(新たな選択肢であるAmazon WorkSpacesを含め)ITスタッフに多くのメリットをもたらす。ただし、現在のアプローチでは、従業員が実際に利用する上でデメリットもある。意思決定者は、ここに挙げた課題をシステム管理が容易になるというメリットと突き合わせて重要性を検討し、仮想デスクトップ環境の採用が自社の状況に適合するかどうかの判断を下す必要がある。
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