徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services【第3回】
AWSのストレージサービス「Amazon S3」と、その周辺のサービス
AWSのストレージである「Amazon S3」とその周辺のサービスである「Amazon Glacier」「Amazon Elastic Block Store(Snapshot)」「AWS Storage Gateway」「Amazon CloudFront」を解説する。
これまでの連載
- 第1回:AWSを導入する上で知っておきたい基礎知識
- 第2回:AWSの仮想サーバ「Amazon EC2」と、使える周辺サービス
- 第3回:AWSのストレージサービス「Amazon S3」と、その周辺のサービス
- 第4回:AWSの3大ネットワーク機能を理解する
連載インデックス:徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services
Amazon S3の概要
「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)は、クラウドストレージサービスだ。マネジメントコンソールやSDKなどを利用して、Web上のどこからでも容量に関係なくデータを格納、取得できる。これによって簡単かつ低価格に、開発の拡張性、信頼性を高められる。
Amazon S3にオブジェクトを格納するためには「Bucket」と呼ばれるオブジェクト置き場(フォルダのようなもの)を作成する必要がある。また、Amazon S3には1バイト~5Tバイトまでのデータを含むオブジェクトを格納、取得でき、Bucketに格納できるオブジェクト数に制限はない。
Amazon S3 Webサイト機能
Amazon S3は、ストレージ機能だけでなく、静的なWebサイトをAmazon S3で運用可能にする「静的Webサイトホスティング」(Webサイト)機能を備えている。この機能を使うと、オンプレミス環境で行っているような負荷に応じたインフラストラクチャの拡大/縮小を行う必要がなく、Amazon S3が確実にトラフィックを処理して、予期しないピークに対応することができる。
Amazon S3のWebサイト機能は、静的なコンテンツファイル(HTML、画像、動画など)に利用することが望ましく、動的なコンテンツファイル(CGIなど)を利用する場合は、Amazon EC2で別途、動的な処理をする必要がある。
Amazon Glacier
Amazon Glacierは、Amazon S3よりも安価な1Gバイト当たり月額約1円で利用できるストレージサービスだ。ストレージの耐久性とセキュリティが重視され、データのアーカイブやバックアップに適している。Amazon Glacierでは、Amazon S3よりもコストを抑えるために、アクセス頻度の低いデータや、取り出しに数時間かかってしまっても問題ないデータに合わせて最適化されている。
Amazon Glacierの機能
Amazon Glacierは、アーカイブとしてデータを保管することができる。1つのファイルから複数のファイルまで、まとめて1つのアーカイブとしてアップロード可能だ。
Amazon S3と違うところは、Amazon Glacierに保存されたアーカイブデータを取り出すには、ファイルの容量などにかかわらず3~5時間かかる点だ。また、Amazon Glacierにアーカイブとして保存するには、「Vault」と呼ばれる保存場所を作成する必要がある。
ただし、Amazon GlacierはAmazon S3と同様に信頼性が高く、安全なアーカイブとして利用できる。アーカイブへのファイル転送はSSL経由で行われ、アーカイブとして保管したデータは暗号化される。また、Amazon S3と同様にデータの冗長化が行われ、耐久性は99.999999999%となるように設計されている。
利用方法としては、APIやSDKを利用してAmazon Glacierにファイルをアップロードしアーカイブを行う方法の他に、Amazon S3と連携させて、Amazon S3に特定期間保存されたものをAmazon Glacierに作成されたVault上に保存する設定を行う方法がある。
Amazon CloudFront
「Amazon CloudFront」はAWSが提供する、コンテンツ配信用のサービスである。他のAWSサービス(Amazon S3、Amazon EC2、Amazon ELB:Elastic Load Balancing、Amazon Route53)と連携して、エンドユーザーに簡単にコンテンツを配信することができる。
Amazon CloudFrontで配信されるコンテンツは、AWSのエッジロケーションを利用して、静的コンテンツやストリーミングコンテンツなどWebサイト全体を配信することができる。
このとき、ユーザーが行うリクエストは、ユーザーから最も近いエッジロケーションにルーティングされるため、高いパフォーマンスでコンテンツが配信される。
Amazon CloudFrontの利用手順
Amazon CloudFrontを利用してコンテンツ配信を行うには、マネジメントコンソールまたはAPIを使用して、Amazon CloudFrontに「Origin」を作成し、コンテンツを配信する設定を行う。
Amazon EBS
「Amazon Elastic Block Store」(Amazon EBS)は、Amazon EC2インスタンスで利用するブロックレベルのストレージサービスである。ネットワークアタッチ型のストレージサービスで、Amazon EC2にアタッチして利用する。
Amazon EC2インスタンスと合わせて利用されるAmazon EBSだが、Amazon EC2とは独立したサービスだ。そのため、設定すればインスタンスが終了した後もAmazon EBSボリュームを残しておくことができる。また、Amazon EBSボリュームはAWSのデータセンター内部で冗長化されている。
Amazon EBSの特徴
Amazon EBSは、1Gバイト~1Tバイトのサイズでボリュームを作成することが可能。ボリュームは、必要に応じて拡張することができる。
作成したボリュームはAmazon EC2に取り付けて利用するが、サーバOSのタイプによってはアタッチできるサイズに上限がある。
また、AWSのスナップショット機能を利用することで、Amazon EBSボリュームの中身をそのままAmazon S3に保存することが可能だ。
スナップショットの仕組み
Amazon EBSボリュームはスナップショットと呼ばれるバックアップ方法で、ボリュームの内容をAmazon S3に保存することができる。
スナップショットは差分バックアップで行われるため、2回目以降のスナップショットを作成した場合は、差分のスナップショットのみがAmazon S3に保存される。また、スナップショットからAmazon EBSボリュームを作成、復元することができ、他のアカウントへも共有することができる。
Amazon EBSスナップショットを作成する際は、OSのメモリ上のデータは保存されないため、メモリ上のデータをAmazon EBSに同期してからスナップショットを取得する必要がある。
AWS Storage Gateway
「AWS Storage Gateway」とは、オンプレミスの仮想環境とAmazon S3間にStorage Gatewayを導入することで、両者をシームレスに連携することができるサービスだ。オンプレミス環境をスケーラブルに拡張し、Amazon S3に安全にデータを保管することができる。Storage GatewayがAmazon S3へデータを送る際は、データを暗号化して転送、保存する。
このサービスをAmazon EC2と組み合わせて利用することで、オンンプレミスのミラーリングを簡単に行うことができ、災害対策に有効だ。
AWS Storage Gatewayの種類
AWS Storage Gatewayは2つのタイプが存在する。
- Gateway Stored Volume:
Gateway Stored Volumeでは、AWS Storage Gatewayに対して保存されたデータは全てローカルに保管し、そのデータボリュームのバックアップをAmazon S3にスナップショットとして保存する。このタイプの場合は、データが全てローカルに保存されるため、保存したいデータ量に対応したストレージなどを用意する必要がある。
- Gateway Cached Volume:
Gateway Cached Volumeでは、AWS Storage Gatewayに保存されるプライマリデータをAmazon S3に保管し、頻繁にアクセスするデータをローカルにキャッシュする。このタイプでは、データの保管先としてAmazon S3を利用するため、低コストで簡単に拡張が可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
徹底解説! 初めてでも分かるAmazon Web Services
Amazon Web Services(AWS)に関する最新記事はこちら→ Amazon Web Services(AWS) (http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/saas/aws/)
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
6
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー