過半数は戦略を持たずとの米調査
実は危うい金融機関のクラウドセキュリティ、その原因は?(1/2 ページ)
金融機関にとってクラウドセキュリティ戦略は重要である。だが金融業界の多くの企業は、クラウドセキュリティ戦略に対して消極的だ。本稿では、セキュリティの専門家がその理由を解説する。
米Cloud Security Alliance(CSA)が最近発表したリポートによると、クラウドへの移行を継続的に進めているにもかかわらず、過半数の金融機関には堅実もしくは十分に練られたクラウドセキュリティ戦略がないという。金融機関がクラウドセキュリティ戦略を持っていることは極めて重要だ。この現状は金融業界でセキュリティに対して強力なアプローチがよくとられていることと相反するように見える。金融機関が尻込みしている理由は何だろうか。金融機関にはクラウドセキュリティに関して具体的にどのような要件があるのだろうか。また、そうした要件にはどう対処できるのだろうか。金融機関がクラウドセキュリティ戦略に含めるべき重要なポイントは何か。そして、クラウドサービスの利用に関して、金融機関は他の企業とどう異なるのだろうか。本稿では、それを考察したい。
金融機関にとっての懸念事項
クラウドコンピューティングを利用するに当たって金融機関が最も懸念しているのはデータ保護だ。とりわけパブリッククラウドの利用についてはデータ保護に不安がある。CSAの調査で多数の企業が明らかにしたのは、クラウドセキュリティ戦略にまだ肉付けをしている段階だということだ。その一因として機密データに関するセキュリティの懸念が挙げられる。また、社内のITサービスおよびアプリケーションと外部のサービスモデル全般との調整が複雑であることも原因の1つになっている。プライベートクラウドのみを使用するモデルの採用計画を立てていることを表明した回答企業はわずか18%だ。そのうち86%は、主にセキュリティとコンプライアンスに対する懸念のため、こうしたモデルの採用を計画しているという。他の大きな懸念事項には、プライバシー、データの保持と破壊、データレジデンシーなどがある。データレジデンシーは、欧州で事業を展開している企業に特有の問題だ。
クラウドに対するニーズ、要望、願望
金融機関は多数の規制とコンプライアンス指令を順守している。そのため、機密システム、機密アプリケーション、機密データをパブリッククラウドプロバイダーの環境に配置することについて慎重になるのは当然のことだ。このようなパブリッククラウドプロバイダー環境ではセキュリティと監査に関する厳しい要件が満たされていない。実際、クラウドプロバイダーにどのような機能を希望するかを金融機関に聞いたところ、圧倒的多数の企業(80%)が「クラウドプロバイダーは透明性と監査に対する管理を改善する必要がある」と主張した。この意見には金融業界全体が賛同している。クラウドプロバイダーによる管理機能とその維持方法を見極めることは多数の金融機関にとって依然として重大な課題だ。金融機関が改善を望んでいることは他にもある。データ暗号化の管理、相関関係管理ツールおよびログ管理ツールと統合可能なリアルタイムイベントログ、さらにはリモート監査、フォレンジクス、eディスカバリー(電子的証拠開示)などのツールや機能だ。
大多数の金融機関が利用しているサービスには次のようなものがある。クラウドのアプリケーション開発環境とテスト環境、CRMアプリケーション、メール、コンテンツの管理プラットフォームなどだ。それ以外にもクラウドストレージ、人事アプリケーション、データの分析ツールやマーケティングツールなども利用している。これらの環境の多くはSaaSで、セキュリティ管理の大部分はクラウドサービスプロバイダーがプロビジョニングして管理している。
そのため金融機関は管理の改善だけでなく、こうした管理状態に対する可視性の向上も継続的に強く求めている。そのうち35%は物理データセンターに対する監査も求めている。このように管理と監査に重きを置くのはデータセキュリティのためだ。金融機関が特に懸念しているのは、クラウド環境でのデータの機密性、データ漏えい、データ漏えいの通知、データに対する管理/管理権の喪失がある。
ビジネスがクラウドに移行している現状を考えると、金融機関のセキュリティチームには社内のリソースをクラウドに移行するように圧力が掛かる可能性がある。それもクラウドサービスプロバイダーから適切なセキュリティ管理がネイティブに提供される前にだ。可能であれば、金融機関は根気強くセキュリティと監査の管理と機能の改善を求めるべきだ。コンプライアンス要件が満たされることが保証されていない場合は特にそうするのが良いだろう。そのような改善がなされなければ、サードパーティーのセキュリティサービスおよびクラウドと互換性のあるベンダー製品を活用してギャップを埋めることが前進する唯一の方法かもしれない。
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