ネットワークデータ転送課金の仕組みを理解することは、クラウドでシステム構成を検討する上で重要なポイントとなる。AWSとSoftLayerのネットワークデータ転送課金の仕組みとコストを比較、整理する。
パブリッククラウドのネットワークにフォーカスし、主要サービスの仕組みや特徴、料金を比較する連載。第1回「AWSとSoftLayerのネットワークを比較 仕組み、特徴の際立つ違いとは」では、「Amazon Web Services」(AWS)と「IBM SoftLayer」(SoftLayer)を取り上げ、それぞれのネットワークの仕組みを比較した。第2回「AWSとSoftLayerのセキュリティ機能を比較、際立つ違いとは」では、AWSとSoftLayerのそれぞれのネットワークセキュリティ機能とロードバランサー機能を比較した。第3回である最終回では、AWSとSoftLayerのネットワークデータ転送課金の仕組みとコストにフォーカスし、比較、整理する。
ネットワークデータ転送課金の仕組みを理解することは、クラウドでシステム構成を検討する上で重要なポイントとなる。
SoftLayerの課金の仕組みは、複雑なAWSに比べて非常にシンプルで理解しやすいが、まずはAWSの仕組みについて解説する。
AWSでは、図1(1)(3)の赤線で示すような「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)からインターネット上のマシンに送られるデータや、別のリージョンのEC2へ送られるデータが課金の対象となる。なお、別のリージョンへのデータ転送課金は、インターネットデータ転送課金に比べると割安の設定となる。
図1(2)の青線で示すようなEC2から見てINのデータ(インターネットからEC2に送られてくるデータ)は無料のため、課金対象となるのはEC2側から見てOUTのデータのみとなる。
図1(4)の青線で示すような同一の「Availability Zone」(AZ)にあるEC2インスタンス間の通信は無料である。
図1(5)の赤線で示すような同一リージョンにある、異なる「Amazon Virtual Private Cloud」(VPC)間をピアリング接続した通信では、IN側とOUT側の両方に課金が発生することを考慮する必要がある。
図1(6)の赤線で示すような同一リージョンにある、異なるAZ間の通信では、IN側とOUT側の両方に課金が発生することを考慮する必要がある。
同一AZ内の通信でも、図1(7)の赤線で示すようなパブリックなIPアドレスを利用した通信は課金対象となる。例えば、インスタンスのパブリックIPアドレス、「Elastic IP」「AWS Elastic Load Balancing」(ELB)宛ての通信などは課金対象となる。
「AWS Direct Connect」(Direct Connect)のデータ転送課金は、図1(8)で示すような、企業ネットワークと専用線で東京リージョンに接続した通信、赤線で示すようなEC2から企業ネットワーク上のマシンに送られるデータが課金対象となる。
青線で示すようなEC2から見てINのデータ(企業ネットワークからEC2に送られてくるデータ)は無料となっているため、課金対象となるのはEC2側から見てOUTのデータのみとなる。なお、転送課金の他に、帯域ごとにポート利用時間の料金が設定されている。
次に、SoftLayerの課金の仕組みについて解説する。SoftLayerはシンプルで理解しやすい。
SoftLayerのインターネットデータ転送量の課金は、図2(1)の赤線で示すようなインスタンスからインターネット上のマシンに送られるデータが対象となる。
図2(2)の青線で示すようなインスタンスから見てINのデータ(インターネットからインスタンスに送られてくるデータ)は無料で、課金対象はインスタンス側から見てOUTのデータのみとなる。
図2(3)の青線で示すような各データセンターのプライベートLAN間の通信は無料である。
図2(4)の青線で示すような、各データセンターのプライベートLAN内のインスタンスの間の通信は無料である。
図2(5)の青線で示すような、専用線で企業ネットワークとデータセンターに接続した通信は、現時点では無料である(※2)。
なお、転送課金の他に、帯域ごとにポート利用料金が設定されている。
※2 Direct Linkは2015年9月に改定があり、同年10月以降はデータ転送料金が発生する場合がある。
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