「30%の小売業者が顔認識技術で顧客を追跡」に反発する理由、受け入れる理由店舗のデータ利用許す/許さないの境界線

調査の結果、小売業者の約30%が顔認識テクノロジーで店内の顧客を追跡していることが分かった。小売業者によるデータ収集は増大傾向にあり、データ収集・利用の在り方を見直す必要が出てきた。

2015年11月16日 08時00分 公開
[Clare McDonaldComputer Weekly]
Computer Weekly

 米国のソフトウェア企業CSC(Computer Sciences Corp)の調査によると、小売業者の約30%が顔認識テクノロジーを使用して店内の顧客を追跡しているという。この調査では、小売店の74%が何らかのテクノロジーを利用して店内の顧客を追跡していることが分かった。

Computer Weekly日本語版 11月4日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 11月4日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 一方、顧客の4分の1は、こうしたテクノロジーが小売店のサービス向上につながると考えている。そして、テクノロジーが店内サービスの向上につながると答えた回答者の28%が16~24歳で、その約半数が店内でテクノロジーを使用する小売業者に非常に満足していると答えている。

 だが、このようなテクノロジーを受け入れるのは若い世代が多く、それは情報の使い方や、情報の安全面への影響を十分に認識していないためだという主張もある。

 「テクノロジーを受け入れるかどうか、その感じ方には深い溝がある。ミレニアル世代は自分たちの情報を集める小売業者に非常に寛容だ」。そう語るのは、CSCのUK小売ビジネス部門でインダストリーゼネラルマネジャーを務めるデイブ・ボールドウィン氏だ。

 小売業者はビッグデータ関連のテクノロジー利用が増えていることを認めており、31%の小売業者がテクノロジーを使用して顧客の行動データを集め、分析に利用している。

 だが、顧客の多くがデータの使い方を警戒している一方で、データが集められていることを全く知らなかった顧客も14%に上る。こうした状況の中、収集されるデータの内容とその使い方について、詳しい情報を提供する取り組みを強化すべきだという主張がある。

 「顧客を支援するテクノロジーと、小売業者を支援するテクノロジーの間には大きなギャップがある」とボールドウィン氏は言う。

 「小売業者は顧客情報を集める理由と、その情報を利用するのは顧客の利益のためで自分たちの利益のためではないことを顧客に真剣に伝える必要がある」

 店内でのテクノロジー使用について、顧客の意見は分かれている。過半数の顧客はセルフサービスキオスクやポイントカードには満足しているが、自分たちの情報が収集されることに不快感を抱く人は多い。70%を超える人たちが、性別、年齢、店内での滞在時間といった詳細データを記録する店内テクノロジーの使用に不安を感じており、中でも56歳以上の大多数(72%)が店内テクノロジーサービスには利点が感じられず、押し付けがましいとしている。

 「年齢層によってテクノロジーの使用に対する感じ方に違いがある」とボールドウィン氏は指摘する。

 データの使い方に対する説明の中で、ビッグデータが意味することについて小売業者の間でも意見が分かれている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

クラウドに必要な「データドリブンなセキュリティ」を実現する方法とは?

クラウド利用が当たり前となった今日、セキュリティ対策もまたクラウド環境に適したものでなくてはならない。とはいえ、大量のデータポイントが生成されるクラウド領域にあって、その全てのポイントを網羅するのは並大抵のことではない。

製品資料 TIS株式会社

Web攻撃総数の2割以上が狙うAPI、適切な管理とセキュリティ対策を行うには?

ビジネスでのAPI利用が進むにつれ、そのAPIを標的としたサイバー攻撃も増加している。それらに対抗するためには、「シャドーAPI」や「ゾンビAPI」を洗い出し、セキュリティ対策を徹底する必要がある。その正しい進め方を解説する。

製品資料 Okta Japan株式会社

アイデンティティー管理/保護の注目手法、「IGA」とは何か?

ある調査で企業の61%がセキュリティ優先事項のトップ3に挙げるほど、重要度が高まっているアイデンティティー管理・保護。その中で昨今注目されているのが「IGA」というアプローチだ。そのメリットや、導入方法を解説する。

製品資料 株式会社エーアイセキュリティラボ

AIで人材不足を解消、セキュリティ担当者のためのDXガイド

DX推進によってさまざまなビジネスシーンでデジタル化が加速しているが、そこで悩みの種となるのがセキュリティの担保だ。リソースやコストの制限も考慮しながら、DXとセキュリティを両輪で進めるには何が必要になるのか。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

セキュリティ運用を最適化し、SOCの負担を軽減する「SOAR」とは?

サイバー攻撃が巧妙化し、セキュリティチームとSOCは常に厳戒態勢を取り続けている。さらにデジタルフットプリントの拡大に伴い、セキュリティデータが絶え間なく往来する事態が生じている。このような状況に対応するには、SOARが有効だ。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...