「顔が見えない部下は管理できない」は幻想 テレワークがうまくいく組織文化とは成功するテレワークの条件とは【後編】(1/2 ページ)

オンライン秘書サービスを提供するキャスターの従業員は95%が在宅勤務だ。同社の組織文化やルールには、テレワーク制度を確実に運営するための要素が詰まっている。

2017年05月16日 09時00分 公開
[重森 大]
中川祥太氏 キャスターの中川祥太氏

 秘書、経理、Web担当などのサービスをオンラインで提供するキャスターは、創業当初からテレワークを前提とした組織作りに取り組んできた。テレワークという新しい働き方を通じて、ビジネス、採用、そして組織運用に至るまで、数々なメリットが生まれているという。

 「働き方改革」が叫ばれる中で、独創的な取り組みで成果を挙げる同社がどのようにリモートワーカー中心の組織を作り、運営しているのか、代表取締役社長を務める中川祥太氏に話を聞いた。前編「テレワーク成功の鍵は生産管理、従業員の95%が在宅勤務の『オンライン秘書』に学ぶ」では、同社のビジネスとIT活用にスポットを当てた。後編となる本稿では、中川氏が考える「成功するテレワークと組織運営」の具体的な手法を掘り下げていく。

従業員の95%がテレワークという“未来の会社”

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 キャスターのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスは全てオンラインで提供している。キャスターのビジネスの特徴は、サービスだけでなく、その提供基盤もオンライン環境に構築している点、そして約150人の従業員のうち95%がテレワークをしている点だ。

 「既存のビジネスにテレワークを持ち込むのではなく、創業の段階から完全にテレワークを前提とした会社組織を作っています」と中川氏は語る。そのため働き方も制度も他の一般的な企業とは大きく異なる。「会社紹介をするときには、よく『未来から来た会社です』と言っています」

 キャスターに出社義務のある従業員はいない。オフィスも小ぢんまりとした事務所だ。中川氏自身も含め、オフィスで対応した方がいい業務(本社機能に関する管理業務など)がある場合だけ従業員は出社するというが、それもオフィスの近くに住んでいる従業員に限った話なので、大掛かりな事務所や設備自体が不要なのだ。

 こうしたコストメリットは分かりやすいが、同社がテレワークにこだわる本当の理由は、そこにはない。少子高齢社会の日本では、労働力人口が減り続けている。こうした環境の変化に対して、従来通りの組織作りでは対応できない。キャスターがテレワークにこだわるのは「この環境だからこそ作れるサービスがあるからです」と中川氏は言う。「ビジネスだけではなく、人材採用においても勝機があります」

 労働人口の減少は喫緊の社会問題だ。しかし政府が働き方改革の旗をかざしても、新しい働き方をうまく取り入れられる企業はそう多くない。テレワークは特に注目されている働き方だが、普及は緩やかだ。

テレワークをうまく導入できない企業は、生産性の管理ができていない

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