Amazon Echo、Google Homeと同様のスピーカー型
Microsoft参入で「音声アシスタント」の注目度がさらに上昇、3つの破壊的変革とは?
Microsoftは「Cortana」搭載端末の計画を発表した。Microsoftの参入で仮想アシスタントを職場で利用できる日が近づいた……のだろうか。
Microsoftが仮想パーソナルアシスタント(VPA)搭載端末市場に参入する。この「競合から遅れた登場」を粋な演出と見るべきか、あるいはただ後れを取ったと見るべきか。
Microsoftとしては長期的戦略と評してほしいに違いない。Microsoftは2017年5月10日から12日に開催した開発者向けイベント「Microsoft Build 2017」で、Samsung Electronicsが買収したHarman Kardonブランドで、Hewlett Packard Enterprise、Intelなどと提携してMicrosoftの人工知能(AI)VPA「Cortana」を搭載した端末を展開すると発表した。
Gartnerでリサーチディレクターを務めるワーナー・ゲルツ氏は、Microsoftは勢力拡大に苦戦すると予測する。「Cortanaは実質的に『Windows 10』デスクトップ環境だけのものだったため、これまではAmazonの『Alexa』に対抗できなかった」と同氏は話す。「Alexaと、Alexaには及ばないもののGoogleの『Google Assistant』、この2つが早々に市場のシェアと関心を独占し、CortanaやAppleの『Siri』、Samsungの『Bixby』など他のVPAが参入するのを阻んでいる」(ゲルツ氏)
だが、ゲルツ氏によれば、それでも他のVPAが参入する余地はまだあるという。VPA技術が一般消費者市場だけでなくビジネス市場にも進出すれば、破壊的イノベーションを起こす力になる、とアナリストたちは予想している。ビジネス分野で誰が先駆者になるのかはまだ不透明だ。
「確かにAmazonはAlexaを搭載した『Echo』などの端末で消費者市場における先行優位性を獲得しているが、B2BやB2B2C(ビジネス・ツー・ビジネス・ツー・コンシューマー)においてはMicrosoftに分があるのではないか」と分析するのはForresterのアナリスト、トマス・フッソン氏だ。
ゲルツ氏も同じ考えを次のような言葉で示している。「ビジネス市場でまだ実現していないVPA支援のニーズが残っている。現段階では、話者認証、企業レベルのプライバシーや機密性の確保、Active Directory統合などの重要な機能がAmazonのAlexaにはない。企業向け技術や企業CIOに訴求するブランド力のあるMicrosoftには進出のチャンスがある」
Harman KardonがCortana搭載端末第1号として発売する予定の「Invoke」は、AmazonのEchoやGoogleの「Google Home」に対抗するスマートスピーカーだが、仕事にも利用できるデバイスとして訴求している。Harman Kardonの発表によると、想定ユーザーは「仕事と家庭の両立を求める忙しい人」という。
Invokeは競合製品と同等の機能を備える他、より高度な音響システムと「Skype」通話の受発信機能を提供する予定だ。「MicrosoftにはSkypeやCortanaのチャットボットのようなコミュニケーションインタフェースやAI分野で蓄積した技術があり、高い予測性、状況認識、関連性を実現する力がある」とフッソン氏は語っている。
CIOは今から準備を
Cortana搭載端末でMicrosoftが成功するかどうかに関係なく、CIOはVPAがビジネス分野にもたらす破壊的変革に備える必要がある、とフッソン氏は話す。「まだ初期段階にすぎないものの、いずれはボットや音声対応インテリジェントエージェントが人間と機械の間の新しい対話手段になる。現時点では想像しにくいかもしれないが、5~10年後には、10年前にタッチスクリーンがもたらしたような大変革が起こるだろう。何といっても人間にとって最も自然な伝達手段は言語だからだ」(フッソン氏)
ゲルツ氏は、VPAが企業にもたらす破壊的変革として次の3つの方向性を予測する。
顧客対応
企業ポータルで自然言語インタフェースを使えれば顧客の抵抗感は少なくなる。そのため、企業における自然言語インタフェース導入は急速に進み、それを機械学習やAI、ディープニューラルネットワーク原理が支えていく。
企業コミュニケーション
VPAを搭載したワイヤレススピーカーやVPAサービスの実用化で、企業コミュニケーションに大きな変革が起こる。話者認証やプライバシーの問題を解決し、バックオフィス機能を統合すれば、Amazonの「Echo Show」のような端末とサービスによって企業のユニファイドコミュニケーション(UC)戦略は変革を迫られる。
新しいビジネス機会
医療、遠隔医療、介護への適用で、端末ベンダーやサービスプロバイダー、医療、介護事業者にデジタル化推進チャンスが生まれる。エコシステムコラボレーションやデジタル関連収益の共有によって、医療と介護の現場に大きな変革が起こる。
企業としては、いずれ訪れるVPA革新に逃げ腰でいてはいけない。CIOは今後のトレンドに備えて今からデータパーソナライゼーション層の構築を始めておけば、自社のタッチポイントがモバイルアプリ、チャットボット、メッセージングアプリ、音声入力スマートスピーカー、自動車用インタフェースのいずれであろうと対応できる、とフッソン氏は助言する。
「取り残されたくなければ、そうした革新的サービスを早めに試し、新しいデジタルプラットフォームを職場にどのように取り入れたらいいか、あるいはどのようにサービスを開発し、データを共有したらいいのかを見極めることが役に立つ」(フッソン氏)
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