セキュリティを考慮したリスクアセスメント
危険なアプリと安全なアプリ、ビジネスで使う際はどう見極めるべき?
モバイルアプリのリスクアセスメントを実施すると、業務上利用しても問題ないかどうかが判断でき、セキュリティ向上につながる。専門家がモバイルアプリのリスクアセスメント方法を解説する。
モバイルアプリケーション市場は急成長している。2017年3月の時点で「Android」で利用できるアプリの数は約280万本、Appleの「App Store」が提供するアプリの数は約220万本だ。
これだけ多くのアプリが出回っていると、企業が業務利用に許可するアプリを選別するのは難しい。どれほど便利なアプリであっても企業のセキュリティリスクを高めるものもある。だからこそ、モバイルアプリケーションアセスメントを実施するのがセキュリティチームの役目となる。
アプリケーションアセスメントでは、モバイルアプリが何を行い、モバイルデバイスのデータをどのように利用するのかを把握する。アセスメントの結果から、そのアプリが自社環境で使用できるものかどうかを判断する。
アプリの動作を評価すると、潜在的なリスクの有無を事前に知ることができる。不適切なアプリの使用を禁止すれば、データ損失やデータの不正使用、不正変更を防ぐこともできる。これほど有意義であるにもかかわらず、必要なスキルがないという理由でアプリケーションアセスメントを実施していないセキュリティチームは少なくない。その結果、管理の行き届かないモバイルアプリの使用を許し、企業データを危険にさらすことになる。
許可または禁止すべきアプリケーションを見分ける
アプリケーションアセスメントの推奨手法は2つある。1つ目は、危険であることがあらかじめ分かっている動作(レッドフラグ動作)を識別することだ。そのような動作をするアプリケーションは使用に適さないので、それ以上アセスメントを進める必要はない。レッドフラグ動作には次のものがある。
- 連絡先にアクセスし、デバイスの外部にそれをコピーする
- ユーザーの位置を追跡し、デバイスの外部にそれを送信する
- ユーザーの写真やフォトストリームにアクセスする
- ユーザーのログイン認証情報をプレーンテキストで送信する(またはログインする)
2つ目は、アプリケーション別に動作を徹底的に精査することだ。アプリを個別に評価し、全ての動作を確認する。その結果に基づいて、業務利用に適しているかどうかの判断をアプリごとに下す。
お勧めしたいのは、アプリケーションレポートカードを使って評価結果を格付けし、それぞれのアプリについて自社環境で使用できるかどうかを評価することだ。このカードには次の項目を含める。
- 使用許可
- 実行上の不備
- ローカルデータの保存および機密性と完全性の保護
- ネットワーク通信の保護
- プロセス間通信
レッドフラッグ動作を調べる手法は、アプリを簡潔に評価でき、ほとんどの場合に適している。ただし、必要とする機能を提供するアプリにレッドフラグ動作が1つあるというような場合は、徹底したアプリケーションアセスメントを実施して潜在的なリスクを調べ、対策を講ずることができるか調べることを勧める。
会社支給端末と私物端末の業務利用(BYOD)
会社が支給する端末の場合、従業員がダウンロードするアプリをIT部門が制限して管理することができる。この場合、「iOS」のスマートフォンの方が「Android」端末より簡単にロックダウンできる。端末をロックダウンできれば、セキュリティチームも会社支給の端末を管理しやすくなる。一方、BYODの場合は管理がやや難しくなる。
BYODシナリオでは「Gmail」アカウントを使用することが多い。この場合、従業員は業務用コミュニケーション専用のGmailアカウントを持つことになる。これにはセキュリティと管理上の問題があり、とても勧められない方法だ。
より安全性と管理性の高いBYODシナリオの1つとして、コンテナアプリを利用する方法がある。この場合、従業員は自分のスマートフォンを自由に管理でき、業務用データをコンテナに分離して保護することができる。全ての業務用コミュニケーションは専用のコンテナアプリを介して行う。コンテナアプリもそれぞれ異なるので、特定のアプリの使用を従業員に指示する前にコンテナアプリのアプリケーションアセスメントを実施することを強く推奨する。
新しいモバイルアプリが次々と登場する現在、企業ももはやアプリケーションの使用状況に目をつぶることはできなくなっている。セキュリティチームはそのためのスキルを磨く必要がある。まずは自分たちでモバイルアプリケーションアセスメントを実施する方法を学ぶことから始めよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握 -
製品資料
[株式会社マクニカ] 「脆弱性総まとめ」解説 被害事例から考える必須の対策ポイント -
製品資料
[Splunk Services Japan合同会社] サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには -
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」完全ガイドブック:メリットから資格取得のポイントまで -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] はじめての「自治体/官公庁入札」 必要な知識がすぐに学べる入門ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
「世界一給与にハングリー」な日本のエンジニアが“雇用の安定”を求める理由
-
5
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
6
「VMwareのコスト」に悩んでいるユーザー企業に送る、VMwareを残す・捨てる基準
-
7
後付けガバナンスの崩壊 PayPalが設計段階からデータを縛る理由
-
8
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
9
迫る“インフラ崩壊”の危機 米英を相次いで襲った「PLC悪用攻撃」の全貌
-
10
「GPTかClaudeか」だけでは不十分 AI選定で情シスが見るべき3つの仕組み
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー