ベンダー各社が推奨するオールフラッシュのストレージアレイを選ぶより、フラッシュに最適化されたシンプルでコスト効率の高い製品で自社のニーズを満たすことを考えた方が良さそうだ。
ストレージ分野では、次なる“シャイニーオブジェクト(新しい魅力的な選択肢)”としてオールフラッシュアレイ(AFA)ばかりが注目を集め、外部ストレージ市場の現状にはあまり注意が向けられていない。アナリストやベンダー幹部(大半は従来型企業)からは、AFAビジネスがいかに急成長しているかを喜ぶ声が四半期ごとに聞かれる。だが実際には、パブリッククラウドストレージやSaaS(Software as a Service)アプリケーション、オンプレミスでのソフトウェア定義ストレージ(SDS)とハイパーコンバージドインフラの活用といったマクロな動向が影響し、外部ストレージ市場自体は縮小傾向にある。
AFAを巡るこうした“ごまかし論法”は、政治家が「2016年の財政赤字は7000億ドルだったが、2017年は5000億ドルだった」と財政赤字を削減できたかのように主張するのと似ている。実際は年間の財政赤字が減っただけで、累積赤字は5000億ドル増えているにもかかわらずだ。
こうした注目度の高さに乗じ、AFAベンダーはおかしな販売戦略を展開している。自社製品をシャイニーオブジェクトの新カテゴリーに当てはめたいがために、オールフラッシュ専用のSKU(最小在庫管理単位)を作為的に用意し、オールフラッシュだけでなくSSDとHDDの併用をサポートするハイブリッド製品をAFAの製品カテゴリーから排除しているのだ。こうしストレージアレイはまとめて「フラッシュファースト」と呼ぶなり、「フラッシュ最適化ストレージ」のような用語を使うなりして、もっと的確にカテゴリー分けした方がいいのではないだろうか。その方が製品カテゴリーがすっきりする。
今の状況がさらに進めば、ディザスタリカバリー(DR)やテスト/開発用に複数のストレージ製品を組み合わせ、AFAからハイブリッドアレイへの複製を奨励するベンダーが割を食い、その一方で、ストレージ階層化をサポートせずに利益を伸ばそうとするベンダーが報われることになりかねない。さらにいえば、なぜ顧客はコスト削減目的でHDDを後から追加する選択肢を最初から排除されなければならないのか。近年SSDは供給不足の状態にあるが、フラッシュ最適化ストレージアレイにHDDを追加する選択肢があれば、必要とされている容量は容易に確保できる。
AFAはこの先、コスト効率を最大化できるよう、ある程度の階層化機能を搭載する必要がある。フラッシュとHDDの階層化と同様、ベンダーは近い将来、高速SSDと低速SSDの階層化をサポートすることになるだろう。IntelとMicronが共同開発した次世代メモリ技術「3D XPoint」を採用した「Intel Optane」など、不揮発性メモリやNVM Express(NVMe)対応SSDの登場に伴い、今後は各種フラッシュ技術をSATAベースやSASベースのSSDと組み合わせた製品の増加も見込まれる。既に16TBの2.5インチSSDや60TBの3.5インチSSDが実現しているが、こうした低速だが大容量のSSDを効果的に利用するには、高度な階層化機能が必要だ。いずれは、こうしたフラッシュ最適化ストレージがハイブリッドアレイの新しい選択肢になるのではないだろうか。
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