データストレージは着実な進化を遂げている。本稿では2017年を振り返りつつ、2018年に話題となるであろう5つの技術について解説する。
2017年も終わりに近づき、2018年が間近に迫っている。本稿では2018年度に話題となるであろう、データセンターに最も影響を与えると思われるデータストレージのテクノロジーとトレンドを取り上げる。
本稿では有用性と実用性が実証されている新たなストレージテクノロジーに注目する。つまり、取り上げているのは既に購入や導入が可能なテクノロジーだけだ。
では、2018年にストレージベンダー、さらにはストレージを扱う専門家に最も大きな影響を与えるデータストレージのトレンドを見ていこう。
かつて特殊な機能だったストレージの予測分析は、最新のストレージテクノロジーへと姿を変えている。これを支えるのが、利用が急増しているオールフラッシュアレイと、ストレージの容量とパフォーマンスについての情報をリアルタイムに把握したいというニーズの拡大だ。
ストレージの予測分析は、従来の階層型ストレージ管理やリソース監視では対応できない。予測分析の目標は、膨大な量のデータを運用分析に活用し、戦略的意思決定に導くことだ。
「ハイブリッドインフラやハイパーコンバージドインフラの増加により、ストレージはデータセンターの技術群(テクノロジースタック)から切り離すことができなくなった。これまでのようにストレージのみ独立させた管理、分析ができないということだ。もっと大きな視野で見るには、大きなデータを分析する洗練された新しいアプローチが必要になる」と話すのは、テクノロジー業界の分析と指導をするTaneja Groupの上級アナリスト、マイク・マチェット氏だ。
マチェット氏が注目するのは、コールホーム(障害通知)サポートが、バッチ処理から遠隔での分析と測定のツールへと進化している点だ。「コールホームサポートは、クラウドとオンプレミスのストレージなど、複雑なハイブリッド構成に対応できるようになり、予測インテリジェンスアルゴリズムを導入して、プロアクティブ(予防的な監視)の自動化へ進んでいる」と同氏は語る。
ストレージベンダーやネットワーク監視ベンダーは予測分析を使って、クラウド内の数百万のデータポイントを、顧客の現場に導入されたストレージシステムから継続的に取得できる。取得した情報とストレージメトリック(経路情報)を関連付けて、物理環境で動作している仮想ストレージを監視する。
ストレージシステムを提供するNimble Storageは予測分析の先駆者として広く知られている。同社はクラウドベースの分析ソフトウェア「Nimble Storage InfoSight」をオールフラッシュアレイのサービスとしてリリースした。Hewlett Packard Enterprise(HPE)が2017年3月に12億ドルを費やしてNimble Storageを買収した大きな理由がこのInfoSightソフトウェアにある。
他のストレージベンダーも分析分野に参入し、容量、データ保護、パフォーマンス、システムの健全性を追跡するテレメトリーを追加して、2018年のデータストレージの注目トレンドである予測分析機能を実装した。
通常、予測分析ではケーブル、ドライブ、ネットワークカードの欠陥など、問題が起きる可能性を特定する。予測分析ソフトウェアは、ハードウェアに問題が発生すると、アラートを送信し、トラブルシューティングを推奨する。ひと目で分かるコンソールによってインフラ基盤全体(インフラスタック)の統合監視を提供するため、ユーザーはクリック1回で推奨事項を適用できる。
ストレージシステムベースの分析ツールは成熟度を高め、ハードウェアの監視だけでなく、事前に選択したポリシーに基づいて、キャッシュ、CPU、ストレージのサイズに関する推奨事項も提供する。
ストレージの予測分析の重要性がすぐに失われることはないだろう。ビッグデータの導入はもはや珍しいものではなく、ほぼ全ての業界の企業がDevOpsモデルを導入できるまでに成熟している。ネットワークで大量のデータセットをコンピュータ処理できる能力は、企業がフラッシュストレージからより多くのビジネス価値を引き出すのに役立つ。
さらに、マチェット氏によれば、企業が自社の顧客ベースからの大量のビッグデータを分析できるようになるため、ストレージベンダーは人工知能や機械学習を適用して個々の企業が必要とするストレージを1時間単位で予測して企業を支援できるところまできているという。
NVMe(Non-Volatile Memory express)SSDなどのサーバサイドフラッシュと、永続ストレージクラスメモリも、予測分析に影響すると考えられる。
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