小中学校が授業で有効活用できるIT製品には、どのような種類があるのか。選定の第一歩として、主要な製品分野を整理しよう。
これまでに、学校現場における「IT製品利活用の必要性」が幾度となく示されてきた。2018年度からは、2022年度までの5年間を対象期間とする国の「第3期教育振興基本計画」が動き始めており、その中においてもIT利活用の必要性や、IT利活用に向けた基盤整備の必要性が強くうたわれている。
2020年度から適用される新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)を基盤に、小学校においては英語を教科化したり、プログラミング教育を導入したりするなど、新たな取り組みも始まる。教員や学校が、限られた時間の中で児童生徒の深い学びを促進し、新たな取り組みにも対処するためには、授業におけるITの利活用が必須となる。
ところが学校のIT環境整備は、まだ十分とはいえない。文部科学省が公表した「平成28年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」を見ると、「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」は全国平均で5.9人、「普通教室の無線LAN整備率」は29.6%、「普通教室の電子黒板整備率」は24.4%にとどまっている。整備状況はいずれも都道府県によって大きなばらつきが見られる。例えば「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」では、1台当たり1.9人(佐賀県)~8.0人(神奈川県)といった具合だ。
文部科学省は「地方公共団体間のIT環境整備状況には格差があり、このことは児童生徒の学習環境の格差につながる恐れがある」と指摘。各教育委員会に対して整備を促している状況であり、今後はIT環境整備が進むと考えられる。
授業向けIT製品を選定する教育委員会の担当者からは、
といった声が多数聞かれる。これは製品選定に当たる人と、実際に教える立場にある教員との間に認識のギャップがあることや、教員間でも“使いたい機能”に違いがあることに起因していると考えられる。
本連載はこうしたギャップの解消を図るべく、主に公立小中学校を想定し、授業に役立つ主要なIT製品をあらためて整理する。第1回は、整備すべき製品と整備プロセスについて紹介する。第2回以降は、利用者側である教員や児童生徒側からの目線、選定者側からの目線の両方から、各製品のメリットやデメリットについて説明する。
2017年8月、文部科学省が「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめ」(以下、ICT環境整備最終まとめ)を提示し、同年12月には「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について」を公表した。これらでは「このレベルまでは最低限整備してほしい」という国の“思い”を反映している。各自治体は、まずこのとりまとめをゴールの一つとして、学校のIT環境整備を進める必要がある。
本連載ではこれらを基に、授業に役立つIT製品マップとして、以下の通り整理した(図1、表)。
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