オープンソース技術への対応も
AzureのPaaSは今後どうなる? ハイブリッドクラウド環境で競争に直面
Microsoft Azureが提供するPaaSは、ハイブリッドクラウド環境の構築において優位に立っているように見える。だが急速に進化するアプリ開発市場は、依然として激しい競争に直面している。
Microsoft Azureで使用できるPaaS(Platform as a Service)群は、レガシーアプリケーションを稼働させている企業に向いている。オンプレミス環境とクラウド環境間で移動できる開発環境があるためだ。Microsoftは、ハイブリッドクラウド、オープンソース、コンテナやIoTなどの新たなテクノロジーを次々と導入している。しかしGoogleやAmazon Web Service(AWS)などの競合ベンダーとの激しい競争にさらされているのは変わらない。
Azure App Serviceの機能
Microsoftの「Azure App Service」は同社の主力PaaSだ。開発者は基盤となるインフラの管理に悩まされることなく、さまざまなプログラミング言語でWebアプリケーションやモバイルアプリケーションを構築、導入できる。
Azure App Serviceは、アプリケーションの開発、テスト、デバッグ、拡張用にMicrosoftが長年かけて展開してきた多くのサービスの一つにすぎない。例えば同社には「Visual Studio」という製品スイートがある。この製品には、統合開発環境「Visual Studio IDE」、運用開発ツール「Azure DevOps」(旧:Visual Studio Team Services)、コードエディタ「Visual Studio Code」、アプリケーション開発ツール「Visual Studio App Center」という4つの製品ファミリーがある。
コンサルティング会社THINKstrategiesの取締役ジェフリー・カプラン氏によると、Microsoftは独立系ソフトウェアベンダーや開発者から成る巨大なコミュニティーを作り上げているという。さらにそのコミュニティーを、同社製の開発ツールと強く結びつけていると語った。例えばVisual Studioと「Microsoft SQL Server」は共通の設計点を持ち、App Serviceとの高度な統合を特徴としている。
MicrosoftのAzure PaaS戦略は、ハイブリッドクラウド導入に重点を置いている点でも際立っている。例えば同社のハイブリッド接続機能で、オンプレミスサーバにアクセスするようなクラウドアプリケーションを構築、管理できる。さらにAzure App ServiceはMicrosoftの「Azure Stack」でも利用できる。Azure Stackとは、ハイブリッドクラウド環境の導入と管理を簡略化するために設計されたハードウェアおよびソフトウェアの統合管理ツールだ。
Microsoftが遅れている面
幅広い機能やツールを提供し、ハイブリッドクラウドを重視しているとしても、Azure PaaSは万能ではない。「従来のIT部門の多くはMicrosoftのサービスを利用しているが、現在多くの企業で主導権を握っているような事業部門には、Microsoftのサービスはあまり普及していない」と話すのは、調査会社IDCでPaaSのリサーチディレクターを務めるラリー・カルバリョ氏だ。
実行時のメモリ容量が大きいレガシーシステムを所有していない企業は、Visual Studioのようなツールではなく、オープンソースの開発ツールを好む傾向がある。カルバリョ氏によると、Microsoftはオープンソースを活用した開発の支援を、AWSなどの他大手クラウドベンダーほど早く提供していない。これは恐らく、AWSのような競合企業が、レガシー製品をサポートする重圧を受けていないためだ。
歴史的にMicrosoftのビジネスモデルはオープンソースのアプローチとは対極にあった。だがそれは変わり始めている。同社はオープンソース技術の導入に努めており、2018年にはオープンソースのコード管理システム「Git」を基盤とするバージョン管理ソフトウェア「GitHub」を買収した。
PaaSの進化
PaaSの状況は急速に進化している。開発者は従来のVM(仮想マシン)ではなくコンテナをますます重視するようになり、DevOps(開発担当と運用担当の連携)への関心も高まり続けている。このような傾向に足並みをそろえるべく、Microsoftはパブリッククラウド向けにマネージドKubernetesサービスを提供するようになった。コンテナ管理ツール「Azure Container Instances」を追加して、基盤となるサービスインフラを管理せずに開発者が新しいコンテナワークロードを導入できるようにしている。
企業ではAI(人工知能)、機械学習、IoT(モノのインターネット)の各プラットフォーム向けのアプリケーション開発への関心が高まっている。Azure PaaSは、これらの技術に対する支援策を提供している。しかしMicrosoftは市場をリードするAWSやGoogleなどの同業者と競い合わなければいけない。特にGoogleのオープンソース機械学習フレームワーク「TensorFlow」には注目が集まっている。
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