AWS、Microsoft、Google、Oracleの「DBaaS」をラインアップで比較する主要ベンダーの「DBaaS」を比較【前編】

「クラウドデータベース」とも呼ばれる「DBaaS」には、用途に合わせた幅広いサービスがある。主要ベンダーであるAWSとMicrosoft、Google、Oracleの各社が提供する主要なDBaaSを紹介する。

2020年09月02日 05時00分 公開
[Chris FootTechTarget]

 データベース管理システム(DBMS)をクラウドサービスで提供する「DBaaS」(Database as a Service)が充実しつつある。「クラウドデータベース」とも呼ばれるDBaaSは、特定の用途に特化したサービスから、幅広い用途に利用できる汎用(はんよう)的なサービスまで多岐にわたる。

 IT担当者は、適切なDBaaSを選定するために、稼働させるワークロード(アプリケーション)ごとに綿密に比較することが重要だ。土台となっているDBMSのアーキテクチャも知る必要がある。同じベンダーが提供する複数のDBaaSを利用すれば、IT担当者は既存のスキルを応用でき、ワークロード間の連携も容易になる可能性がある。

 DBaaSやそのベンダーを比較する際、IT担当者がよく用いる大まかな評価基準が2つある。「ラインアップの幅広さ」と「オンプレミスのDBMSからの移行支援機能の充実度」だ。この基準に基づき、本稿はDBaaSの主要ベンダー4社、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft、Google、Oracleのサービスを比較し、評価する。

Amazon Web ServicesのDBaaS

 幅広いDBaaSを提供しているクラウドベンダーの代表格がAWSだ。リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)のDBaaSである「Amazon Relational Database Service」(RDS)は、さまざまなDBMSを利用できる。対象のDBMSにはAWSの「Amazon Aurora」やMicrosoftの「SQL Server」、Oracleの「Oracle Database」、オープンソースの「MariaDB」「PostgreSQL」「MySQL」などがある。Amazon Auroraは自己修復機能を備え、ストレージ容量は10GBから64TBまで拡縮できる。

 AWSが提供するNoSQLのDBaaSには、

  • オープンソースのドキュメント指向データベース「MongoDB」と互換性のある「Amazon DocumentDB」
  • グラフデータベースの「Amazon Neptune」
  • キー・バリューデータベースおよびドキュメント指向データベースの「Amazon DynamoDB」
  • 時系列データベースの「Amazon Timestream」
  • インメモリデータベースの「Amazon ElastiCache」

などがある。同社のデータウェアハウス(DWH)サービス「Amazon Redshift」は、DWHの管理作業を自動化し、機械学習を利用してデータ処理を高速化することが可能だ。

MicrosoftのDBaaS

 AWSに次ぐ2番手のクラウドベンダーがMicrosoftだ。同社はクラウドサービス「Microsoft Azure」で、DBaaSのラインアップと機能を拡大させ続けている。同社が提供するRDBMSのDBaaSには、同社の主力である「Azure SQL Database」に加えて、DWHとデータ分析機能を備えた「Azure Synapse Analytics」(旧「SQL Data Warehouse」)などがある。

 Microsoftは最近、Azure SQL Databaseでは4TBだったデータベースの上限サイズを100TBに拡大できる「Azure SQL Database Hyperscale」を提供開始した。NoSQLのDBaaSとしては、分析ワークロードに適した「Azure Cosmos DB」、キー・バリューデータベース「Table Storage」、インメモリデータベース「Redis」のマネージドサービス「Azure Cache for Redis」も提供している。「Azure Database」は、MariaDB、PostgreSQL、MySQLといったオープンソースDBMSを利用できるDBaaSだ。

GoogleのDBaaS

 GoogleはDBaaSのラインアップの拡大を続けている。同社のDBaaSには、世界中のデータセンターで無制限に拡張できる「Cloud Spanner」の他、PostgreSQLやMySQL、SQL Serverと互換性のある「Cloud SQL」などがある。

 NoSQLのDBaaSとして、Googleは大規模ワークロード用の「Cloud Bigtable」やドキュメント指向データベースの「Cloud Firestore」、リアルタイムデータ同期用の「Firebase Realtime Database」などをそろえる。

OracleのDBaaS

 自律型DBMS「Oracle Autonomous Database」と自律型DWHの「Oracle Autonomous Data Warehouse」をDBaaSとして提供することに力を入れているのが、Oracleだ。同社によるとOracle Autonomous Databaseは、通常ならデータベース管理者が実施するチューニングやセキュリティ対策、バックアップ、アップデートといった作業を自動化できる。

 OracleのDBaaSには他にも、同社が管理するオープンソースRDBMSのMySQLをベースにした「MySQL Database Service」、NoSQLの「Oracle NoSQL Database Cloud Service」などをそろえる。データベースアプライアンス「Oracle Exadata」をクラウドサービスとして利用できる「Oracle Exadata Cloud Service」もある。


 後編は主要ベンダー4社が提供する、オンプレミスのDBMSからDBaaSへの移行機能を比較する。

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