AI時代のストレージを支える技術【後編】
Intel「Optane」は“ヘビーユーザー向け”止まり? 次世代ストレージの本命は
高速なデータ処理への需要を受け、拡大しつつあるのがIntelの「Optane」などを含む新興メモリ市場だ。メモリ分野は将来的にどう変わるのか。
調査会社Objective Analysisとコンサルティング会社Coughlin Associatesによる調査レポートによれば、IntelとMicron Technologyの共同開発によるメモリ技術「3D XPoint」などの新技術がけん引する新興メモリ市場は、2030年までに360億ドル規模に成長する。このレポートはCoughlin Associatesのプレジデント、トム・カフリン氏と、Objective Analysisのディレクター兼チーフアナリスト、ジム・ハンディ氏が共同で執筆した。
有望な新興メモリ
カフリン氏はストレージに利用できる不揮発性メモリのうち、将来的に下記のような新技術の重要性が増すだろうと予測する。
- 磁気抵抗メモリ(MRAM)
- 抵抗変化型メモリ(ReRAM、RRAMとも)
- 強誘電体メモリ(FeRAM、FRAMとも)
さまざまな種類のメモリが登場し、メモリ市場の規模が拡大している。NAND型フラッシュメモリなど現状の主要なメモリ技術の微細化プロセスが限界に達する中、上記のような多様な不揮発性メモリの開発が進む可能性がある。「このことは、組み込みシステムであれ大規模集積回路であれ、将来のデバイスの設計に大きな影響を及ぼす」(カフリン氏)
Optaneストレージは“ニッチ”から抜け出せない?
3D XPointをベースにしたIntelのメモリ製品群「Intel Optane」のうち、フォームファクター(形状や大きさの仕様)が「DIMM」(Dual In-line Memory Module)準拠の永続メモリ(PMem)は、同容量の一般的なDRAM(Dynamic Random Access Memory)より安価に容量増加が可能だという。「これはインメモリデータベース『SAP HANA』の高速化や仮想マシン数の増加を実現する。DRAMより消費電力が少ないことも永続メモリの大きな利点だ」と、コンサルティング企業Intuitive Cognition Consultingのプリンシパル、デーブ・エグルストン氏は話す。
エグルストン氏は、ソフトウェア面ではIntelが参画して開発したオープンソースの「分散型非同期オブジェクトストレージ」(DAOS)に注目している。「これをOptaneの永続メモリと組み合わせることで、より細かなメモリアクセスが可能になる」(エグルストン氏)。永続メモリとストレージの併用が、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)やAI(人工知能)技術の活用などに非常に有効であることを示す例になると、同氏は説明する。
専門家は総じて、長期的に見ればOptaneシリーズではフラッシュストレージよりも永続メモリが及ぼす影響の方が大きく、どちらも生産量の増加に伴い価格は下落すると予測している。IBMのストレージ分野でCMO(最高マーケティング責任者)兼バイスプレジデントを務めるエリック・ハーゾグ氏によると、Optaneシリーズのフラッシュストレージは容量が限定されていて、一般的なNAND型フラッシュメモリベースのフラッシュストレージと比べると価格が高い。「現時点では企業向けストレージ分野ではニッチな存在だ」とハーゾグ氏は見解を示す。
Optaneシリーズのフラッシュストレージもいずれは普及するだろう。とはいえ現時点では「特別に高速化を必要とするユーザーだけが採用している」とハーゾグ氏は言う。IBMも販売しているが、販売量は一般的なNAND型フラッシュメモリベースのフラッシュストレージと比べるとごくわずかだという。
IBMが成長分野だと捉えているのは、ストレージの高速インタフェース規格「NVM Express」(NVMe)準拠のフラッシュストレージと、NVMeをネットワークまで拡張する「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)準拠のオールフラッシュアレイだという。「NVMeフラッシュストレージは高額だという風説があるようだが、それは大きな誤解だ」とハーゾグ氏は付け加える。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発特有の課題も解消できる「AI活用」の秘訣とは? -
製品資料
[株式会社スタディスト] 食品ロスを解消して“利益の創出”を実現、その第一歩は何から始める? -
製品資料
[株式会社スタディスト] 段取り替え時間に差が生まれるのはなぜ? 作業を標準化する仕組み作りのコツ -
技術文書・技術解説
[Datadog Japan合同会社] 開発と運用の人員格差をどう埋める? DevOpsを実現するための実践ポイント -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] たった1回でサプライチェーンが破滅することも メール誤送信を確実に防ぐには
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
5
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
6
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
7
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
-
8
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
9
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー