Intel「Optane」は“ヘビーユーザー向け”止まり? 次世代ストレージの本命はAI時代のストレージを支える技術【後編】

高速なデータ処理への需要を受け、拡大しつつあるのがIntelの「Optane」などを含む新興メモリ市場だ。メモリ分野は将来的にどう変わるのか。

2021年02月02日 05時00分 公開
[Carol SliwaTechTarget]

 調査会社Objective Analysisとコンサルティング会社Coughlin Associatesによる調査レポートによれば、IntelとMicron Technologyの共同開発によるメモリ技術「3D XPoint」などの新技術がけん引する新興メモリ市場は、2030年までに360億ドル規模に成長する。このレポートはCoughlin Associatesのプレジデント、トム・カフリン氏と、Objective Analysisのディレクター兼チーフアナリスト、ジム・ハンディ氏が共同で執筆した。

有望な新興メモリ

 カフリン氏はストレージに利用できる不揮発性メモリのうち、将来的に下記のような新技術の重要性が増すだろうと予測する。

  • 磁気抵抗メモリ(MRAM)
  • 抵抗変化型メモリ(ReRAM、RRAMとも)
  • 強誘電体メモリ(FeRAM、FRAMとも)

 さまざまな種類のメモリが登場し、メモリ市場の規模が拡大している。NAND型フラッシュメモリなど現状の主要なメモリ技術の微細化プロセスが限界に達する中、上記のような多様な不揮発性メモリの開発が進む可能性がある。「このことは、組み込みシステムであれ大規模集積回路であれ、将来のデバイスの設計に大きな影響を及ぼす」(カフリン氏)

Optaneストレージは“ニッチ”から抜け出せない?

 3D XPointをベースにしたIntelのメモリ製品群「Intel Optane」のうち、フォームファクター(形状や大きさの仕様)が「DIMM」(Dual In-line Memory Module)準拠の永続メモリ(PMem)は、同容量の一般的なDRAM(Dynamic Random Access Memory)より安価に容量増加が可能だという。「これはインメモリデータベース『SAP HANA』の高速化や仮想マシン数の増加を実現する。DRAMより消費電力が少ないことも永続メモリの大きな利点だ」と、コンサルティング企業Intuitive Cognition Consultingのプリンシパル、デーブ・エグルストン氏は話す。

 エグルストン氏は、ソフトウェア面ではIntelが参画して開発したオープンソースの「分散型非同期オブジェクトストレージ」(DAOS)に注目している。「これをOptaneの永続メモリと組み合わせることで、より細かなメモリアクセスが可能になる」(エグルストン氏)。永続メモリとストレージの併用が、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)やAI(人工知能)技術の活用などに非常に有効であることを示す例になると、同氏は説明する。

 専門家は総じて、長期的に見ればOptaneシリーズではフラッシュストレージよりも永続メモリが及ぼす影響の方が大きく、どちらも生産量の増加に伴い価格は下落すると予測している。IBMのストレージ分野でCMO(最高マーケティング責任者)兼バイスプレジデントを務めるエリック・ハーゾグ氏によると、Optaneシリーズのフラッシュストレージは容量が限定されていて、一般的なNAND型フラッシュメモリベースのフラッシュストレージと比べると価格が高い。「現時点では企業向けストレージ分野ではニッチな存在だ」とハーゾグ氏は見解を示す。

 Optaneシリーズのフラッシュストレージもいずれは普及するだろう。とはいえ現時点では「特別に高速化を必要とするユーザーだけが採用している」とハーゾグ氏は言う。IBMも販売しているが、販売量は一般的なNAND型フラッシュメモリベースのフラッシュストレージと比べるとごくわずかだという。

 IBMが成長分野だと捉えているのは、ストレージの高速インタフェース規格「NVM Express」(NVMe)準拠のフラッシュストレージと、NVMeをネットワークまで拡張する「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)準拠のオールフラッシュアレイだという。「NVMeフラッシュストレージは高額だという風説があるようだが、それは大きな誤解だ」とハーゾグ氏は付け加える。

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