「新型コロナワクチン接種デジタル証明書」にまつわる諸問題【中編】
QRコードを使った「新型コロナワクチン接種証明システム」とは?
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を証明するシステムを開発するために、必ずしも新しい技術は必要ない。既存技術の転用でシステムをいち早く実現した企業の取り組みを見ていこう。
米国の雇用機会均等委員会(EEOC:Equal Employment Opportunity Commission)の判断によると、雇用主は連邦法に基づいて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を従業員に要請できる。だが米国政府が発行する紙のカード以外の手段で、従業員がCOVID-19ワクチンの接種をどのように立証するかという問題は未解決のままだ。前編「SAPやSalesforceは『新型コロナワクチン接種』証明システムをどう実現するのか」に続き、中編となる本稿は、雇用主の立場から見たワクチン接種デジタル証明書の管理に関する課題について考察する。
Health Transformation Allianceで医薬品を担当する最高製品責任者(CPO)兼ゼネラルマネジャーのナディア・ロジエ氏は「連絡にファクシミリ(FAX)を使用していた状況に戻りたいと思わないように、紙のカードで確認する状況に戻りたいと思う雇用主はいないだろう」と語る。Health Transformation Allianceは、Verizon、American Express、Coca-Colaをはじめとする60社以上の米国大手企業の雇用主で構成される協同組合だ。
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従業員のCOVID-19ワクチン接種問題
新型コロナワクチン接種の証明にQRコードを活用
雇用主は従業員のワクチン接種状況を知りたいと考えるのが一般的だろう。だが従業員のワクチン接種状況を把握すれば安全を確保できるとは限らない。「インフルエンザのワクチンを含め、100%の確率で効果を発揮するワクチンはない」とロジエ氏は語る。
ワクチン接種の証明に関する認証技術の将来に関して楽観的な見方をしているロジエ氏は「一からシステムを構築する必要はなく、活用できる技術があるはずだ」と続ける。事実、COVID-19の検査ではQRコードなどの既存技術を使った認証システムが使われている。
プロセス自動化ベンダーのBizagiは、COVID-19検査に関する認証システム「CoronaPass」を開発した。このシステムはギリシャのホスピタリティ業界の一部で使用されている。指定の第三者医療機関で従業員がCOVID-19の検査を受けると、その医療機関がQRコードのデジタル証明書を発行する。従業員はこのQRコードをCoronaPassのアプリケーションにアップロードすると、雇用主が状況を確認できる仕組みになっている。雇用主はデジタル証明書に有効期限を設けることができる。
BizagiでCEOを務めるグスタボ・ゴメス氏は「システムの更新が必要になる可能性があるが、このシステムはCOVID-19ワクチン接種の証明でも同様に機能する」と語る。「対処が遅れることで社会に及ぶ影響が日ごと大きくなっている状況を何とかしたいという思いから、われわれはCoronaPassを開発した」(ゴメス氏)
後編はデジタル証明書によるワクチン接種の証明を実現するまでの道のりにおける、米国の社会情勢や技術動向のハードルについて考察する。
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