新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が世界中で進みつつある。米国ではオフィス勤務の再開とワクチン接種の扱いについて本格的な議論が進んでいる。焦点はワクチン接種を義務化するかどうかだ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは「昔ながらのオフィス勤務」を再開させる救世主となるのだろうか。
近頃の米国では「企業が従業員にワクチン接種を義務付けることは法的に可能なのか」という問題が報道で頻繁に取り上げられている。現時点では「障害のあるアメリカ人法」(ADA:Americans with Disabilities Act of 1990)の合理的配慮の範囲において、米国の民間企業の雇用主は、世界保健機関(WHO)が緊急使用を承認したCOVID-19ワクチンの接種を従業員に義務付けることが可能だ。
企業が従業員のワクチン接種を義務付けるか、奨励するか、関与しないかを決定するには、法的な問題以外にも人事部門が解決すべきさまざまな問題がある。職場は日中の多くの時間を過ごす場所だからこそ、安全確保のためにワクチン接種の義務付けを歓迎する従業員もいるだろう。一方でワクチン接種の義務付けは人権侵害だと考えたり、重い副反応や将来的な問題の危険を不安視したりする従業員もいるはずだ。
いずれにしても企業がオフィス勤務を再開するには、安全な職場環境を確保するためにあらゆる対策を講じる必要がある。これにはITが重要な役割を果たす。
COVID-19対策として外出が制限されてから、企業はテレワークに必要なITを早急に導入したり拡充したりすることを強いられ、従業員が受けるさまざまなストレス要因に対処する必要が生じた。企業はコロナ禍での経営的な影響に関するデータと分析ツールを使って、従業員の生産性や福利厚生、従業員エンゲージメント(組織への関わり)を測定し、テレワークが収益性に及ぼす影響を把握しようとしている。こうした生産性測定によって従業員がオフィス勤務に戻ることの重要度を測ることができる。
テレワークで生産性が低下していないならば、ワクチン接種義務付けの問題も簡単な方法で解決できるだろう。テレワークを続けたい従業員やワクチン接種を希望しない従業員はそのままテレワークを続けられるようにし、オフィス出勤を再開したい従業員にはワクチン接種を義務付けるか、強く奨励すればよい。
生産性に悪影響があり、オフィス出勤の再開が必要な場合は、まずその事実を明確にする必要がある。従業員の安全を確保するために、米国の雇用主は必要な就業環境のルールに従ってCOVID-19ワクチンの接種を義務付けるという選択肢が取れる。だがワクチン接種を強く奨励するだけで十分な可能性もある。オフィスで働きたい従業員にオフィスの安全性を維持してもらうためにも、奨励という形の方が友好的であり、効果的だろう。
従業員全員がワクチン接種を受けたとしても、ワクチンの有効期間がまだ確実ではないという問題が残る。全人口にワクチンが行きわたる前に、最初に接種した人たちが再接種を受ける時期が来る可能性もある。完璧にすることは難しいが、ワクチン接種者数を増やし、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保も継続することで、感染リスクは軽減できる。
中編は、従業員にワクチン情報を提供する手段を考察する。
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