クラウドサービスの「無料枠」は、複数のクラウドサービスを比較検討する際に大いに役立つ。ただし落とし穴もある。それは何なのか。クラウドサービスの無料枠利用時の注意点を説明する。
IT管理者は新しくクラウドサービスの導入を検討するときに、クラウドサービスの無料枠を活用して複数のクラウドサービスを比較することができる。主要なクラウドサービスが無料枠を提供しているが、提供形態はクラウドベンダーやクラウドサービスによって異なる。Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft、Googleの主要クラウドベンダー3社の無料枠を紹介した中編「無料のAWS、Azure、GCPサービスの違いを比較 お得に利用する方法とは」に続く本稿は、IBMやOracleなど他のクラウドベンダーが提供する無料枠と、無料枠利用時の注意点を説明する。
IBMやOracleといった大手クラウドベンダーや、DigitalOceanをはじめとするニッチクラウドベンダーも、クラウドサービスで無料枠を提供している。クラウドサービスを導入するときは1社の大手ベンダーのみを利用するよりも、イベント駆動型コード実行サービスやメッセージキューサービスなど、特定分野のクラウドサービスに強い小規模ベンダーを組み合わせて利用する方が理にかなう場合がある。無料枠を活用して自社のビジネスの成長を最も支援できるクラウドサービスを探し、選択するとよい。
どのクラウドサービスを試すかにかかわらず、各クラウドベンダーの提供物を最大限に活用することが重要だ。例えば初期費用を節約したいベンチャー企業や、クラウドサービスの課金単位が小さいことを利用してコストを抑えたいフリーランスは、見つけられるメリットは全て、自社やプロジェクトのために活用するとよい。
こうした無料リソースはもろ刃の剣だ。特定のサービスに依存すると、無料期間の終了後に、クラウドサービスの利用料金が想定よりも増える恐れがある。どのクラウドサービスを利用するか、無料試用期間の終了後にどれだけのコストがかかるかといった点に注意する必要がある。
ある時点で無料のクラウドサービスは、機能変更や無料期間の終了、無料利用の制限を超えた利用などがきっかけで、利用料金が急激に上昇することがある。無料枠は恒常的に利用できるわけではないことを踏まえて利用しなければならない。
無料期間が終わったり、無料利用の制限を使い切ったりした後にそのクラウドサービスを利用しないことに決めたなら、そのタイミングで、構築したワークロード(アプリケーション)を必ず破棄することが必要だ。そうしないと放置したワークロードが課金対象になることがある。
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