「IBM Z and Cloud Modernization Stack」は、ユーザー企業にどのようなメリットをもたらすのか。IBM Zのクラウドサービス「IBM Wazi as a Service」との組み合わせが実現することとは。
IBMはメインフレーム製品「IBM Z」の開発・テスト環境をクラウドサービスとして利用できるようにする「IBM Wazi as a Service」を2022年に一般提供する。同社がIBM Wazi as a Serviceとの併用を想定するのが、アプリケーション開発支援ソフトウェア群「IBM Z and Cloud Modernization Stack」だ。前編「クラウド版IBM Z『IBM Wazi as a Service』爆誕 誰が喜ぶのか?」に続く本稿は、IBM Z and Cloud Modernization Stackの機能と、提供の背景を説明する。
インフラの管理やアプリケーション開発の自動化、効率化を実現することが、IBMがIBM Z and Cloud Modernization Stackを提供する主な目的だ。API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を作成する機能を備え、開発者がアプリケーションやデータにアクセスする方法を合理化する。業界標準のツールを搭載しており、大企業向けアプリケーションにおけるDevOps(開発と運用の融合)の推進にも利用できる。
ユーザー企業はコンテナオーケストレーションツールの「Kubernetes」とIBM Z and Cloud Modernization Stackを組み合わせて利用することが可能だ。「IBMがクラウドインフラとメインフレームの距離を近づけるときに欠けていたのが、DevOpsへのアプローチだ」と、ITコンサルティング会社Communications Network Architectsのプレジデント、フランク・ツーベック氏は指摘する。ツーベック氏によるとIBMは、インフラのモダナイゼーション(最新化)を望むユーザー企業に対して、標準的な技術となったKubernetesの利用を推奨している。
ミッションクリティカルなメインフレームアプリケーションのモダナイゼーションを目指す際に、アプリケーションのインフラをメインフレームのままにするか、他の使いやすいインフラに移行するかで議論しているメインフレームのユーザー企業がある。こうしたユーザー企業が、IBM Z and Cloud Modernization Stackのターゲットだと推測するアナリストがいる。
「IBMは、望むようにアプリケーションのモダナイゼーションができないIBM Zのユーザー企業から大きなプレッシャーを受けている」と、ソフトウェアの独立系戦略コンサルタントであるジュディス・フルビッツ氏は述べる。IBM Z and Cloud Modernization Stackを使用すれば、メインフレームでOSS(オープンソースソフトウェア)を利用しやすくなるため、ユーザー企業がIBM Z関連製品/サービスを使い続けることが可能になると、フルビッツ氏は説明する。
IBM Wazi as a ServiceとIBM Z and Cloud Modernization Stackの大きなメリットは、ユーザー企業がIBMのクラウドサービス群「IBM Cloud」で開発とテストをリモートで実施できることや、自社の社内システムで作業する際の使用感をエミュレーションできることにある。これによりユーザー企業は「自社のメインフレームのライフサイクル管理から解放され、自社所有のリソースを削減できる」とフルビッツ氏は話す。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ロッテはシステムのAWS移行を進める中、DX推進の鍵は内製化比率の向上にあると考え、内製化の強化に踏み切った。本資料では、内製化の実現に向け、支援を受けながら、初めて取り組んだAWS開発と人材育成を成功させた事例を紹介する。
B2B取引の決済手段として多くの企業が採用している請求書払い(後払い)だが、入金遅延や未払いが発生するリスクもある。そこで、これらのリスクと業務負担を解消する決済代行サービスが登場した。本資料で詳しく紹介する。
SaaSの決済手段ではクレジットカード払いを設定するのが一般的だが、B2B取引においてはそれだけだと新規顧客を取りこぼすこともある。Chatworkやココナラなどの事例を交え、決済手段を多様化する重要性と、その実践方法を解説する。
ハイブリッドクラウドやエッジコンピューティングの普及に伴い、企業が管理すべきIT資源が急増している。こうした中で注目を集めるのが、あるクラウドサービスだ。分散環境における課題とその解決策について、導入事例とともに解説する。
AI活用やデータドリブン経営が加速する一方で、レガシーインフラが問題になるケースが増えている。特に複数の世代にわたってIT資産が混在しているインフラ環境では、運用負荷やコストが増大してしまう。この問題をどう解消すればよいのか。
現場判断で膨らむクラウドコストをどう抑えるか 効率的な予算管理法とは? (2025/5/30)
クラウド活用で顕在化するコスト増大と活用スキル不足の課題、解決の決め手は? (2025/5/9)
KDDIの通信品質と事業成長を支える“共通インフラデータ基盤”構築の舞台裏 (2025/3/12)
高まるSaaSバックアップ需要で「ストック収益」を拡大するには (2025/1/22)
大和総研に聞く、基幹システムのモダナイズ推進を成功に導いた四つのポイント (2024/12/23)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...