Microsoftは同社のライセンス規約により、欧州の独占禁止法違反の疑いで欧州委員会から調査を受けている。一方で米国の独占禁止法に違反しているかどうかの判断は、より難しくなるという。その背景は。
Microsoftは「Windows」「Microsoft Office」といった同社製品を競合他社のクラウドサービスで使用する際の価格を高くしたライセンス規約の変更で、欧州連合(EU)の欧州委員会から独占禁止法違反の調査を受けた。同社は是正を約束したが、詳細を明らかにしていない。
ペンシルベニア州立大学ロースクール(Penn State Law)教授のジョン・ロパトカ氏によると、Microsoftの行為が米国の独占禁止法に違反するかどうかを判断するには、さらなる検討が必要だ。
MicrosoftがOS市場とオフィススイート市場における支配力を利用して、競合するクラウドベンダーからユーザー企業を離脱させようとしているなら、それは反競争的行為と見なされる可能性がある。だがMicrosoftの施策が競合他社に影響を及ぼすとしても「それだけで結論を出すことはできない」とロパトカ氏は説明する。「反競争的である可能性がある」というだけでは、必ずしも「反競争的だ」と結論付けることはできない。
「米国の独占禁止法は、競合他社ではなく消費者を保護するためのものであることをはっきりさせておく必要がある」と、ロパトカ氏は強調する。米国政府がこの問題にどのように対処するかはまだ不透明だ。最近はIT企業に対する監視が強化されており、ロパトカ氏は規制当局がMicrosoftを厳しく調査すると考えている。この問題は複雑であるため、当局が介入を断念する可能性もある。
コンサルティング会社Directions on Microsoftでアナリストを務めるウェス・ミラー氏は「Microsoftのライセンス規約は複雑であり、変わり続けている」と説明。そのためMicrosoftのライセンス規約が抱える問題を精査することは「難しい作業になる」とミラー氏は話す。
MicrosoftはOS市場とオフィススイート市場のトップ企業の一つだが、クラウドベンダーとしてはAmazon Web Services(AWS)に後れを取っている。2022年2月に調査会社のSynergy Research Groupが公開した報告書では、クラウドサービス市場におけるシェアはAWSが1位で、Microsoftは2位だった。
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