「AzureじゃないとOfficeが高くなる」ライセンス規約変更が3年後に騒がれた理由Microsoft「ライセンス規約変更問題」の行方【中編】

Microsoftは2019年に同社製品のライセンス規約を更新した。その変更内容が独占禁止法に違反していると、欧州委員会が指摘している。競合他社のクラウドベンダーとユーザー企業はどう動くのか。

2022年06月06日 05時00分 公開
[Mike GleasonTechTarget]

 Microsoftは同社製品のライセンス規約を変更し、「Microsoft Azure」以外のクラウドサービスで「Windows」「Microsoft Office」などの同社製品/サービスを使用する場合のライセンス料金を高くした。欧州連合(EU)の独占禁止法に違反する疑いで、Microsoftは欧州委員会から調査を受けた。

Microsoftのライセンス規約変更が「3年後」に話題の理由

 コンサルティング会社Directions on Microsoftでアナリストを務めるウェス・ミラー氏によると、Microsoftのライセンス規約変更が効力を持ったのは2019年だ。ただし、その影響をユーザー企業が認識し始めたのは2022年ごろだという。Microsoftのライセンス更新は、一般的には3年周期になっているからだ。「ユーザー企業は過去の契約が終わりに近づいたため、行動を起こさなければならないと認識した」(ミラー氏)

 フランスのOVHやドイツのNextcloudなど、複数のクラウドベンダーが欧州委員会にMicrosoftへの苦情を申し立てた。通信社Reutersの報道によると、欧州委員会は調査を開始し、欧州のクラウドベンダーとそのユーザー企業に質問票を送った。Reutersによると、Microsoftは以前にも過去10年間の独占禁止法違反の罰金として、総額約18億ドルを欧州委員会から科されたことがある。

 Microsoftは声明で、同社製品/サービスのライセンス規約が抱える問題を是正すると約束した。「Microsoftの声明は欧州のクラウドベンダーを対象としているが、この問題は世界中に影響する」とミラー氏は説明。「欧州の問題を解決するだけで終わらせないでほしい」と強調する。

 特にオフィススイートの「Microsoft Office」は、世界中の企業で利用されているため、「素早い是正が必要だ」とミラー氏は話す。例えばAWSの仮想デスクトップサービス「Amazon Workspaces」でOfficeを使用しているユーザー企業は、「ライセンス契約の内容で利用料金に多大な影響が生じる」(同氏)。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news079.jpg

狙うは「銀髪経済」 中国でアクティブシニア事業を展開する企業とマイクロアドが合弁会社を設立
マイクロアドは中国の上海東犁と合弁会社を設立。中国ビジネスの拡大を狙う日本企業のプ...

news068.jpg

社会人1年目と2年目の意識調査2024 「出世したいと思わない」社会人1年生は44%、2年生は53%
ソニー生命保険が毎年実施している「社会人1年目と2年目の意識調査」の2024年版の結果です。

news202.jpg

KARTEに欲しい機能をAIの支援の下で開発 プレイドが「KARTE Craft」の一般提供を開始
サーバレスでKARTEに欲しい機能を、AIの支援の下で開発できる。