Microsoftは2019年に同社製品のライセンス規約を更新した。その変更内容が独占禁止法に違反していると、欧州委員会が指摘している。競合他社のクラウドベンダーとユーザー企業はどう動くのか。
Microsoftは同社製品のライセンス規約を変更し、「Microsoft Azure」以外のクラウドサービスで「Windows」「Microsoft Office」などの同社製品/サービスを使用する場合のライセンス料金を高くした。欧州連合(EU)の独占禁止法に違反する疑いで、Microsoftは欧州委員会から調査を受けた。
コンサルティング会社Directions on Microsoftでアナリストを務めるウェス・ミラー氏によると、Microsoftのライセンス規約変更が効力を持ったのは2019年だ。ただし、その影響をユーザー企業が認識し始めたのは2022年ごろだという。Microsoftのライセンス更新は、一般的には3年周期になっているからだ。「ユーザー企業は過去の契約が終わりに近づいたため、行動を起こさなければならないと認識した」(ミラー氏)
フランスのOVHやドイツのNextcloudなど、複数のクラウドベンダーが欧州委員会にMicrosoftへの苦情を申し立てた。通信社Reutersの報道によると、欧州委員会は調査を開始し、欧州のクラウドベンダーとそのユーザー企業に質問票を送った。Reutersによると、Microsoftは以前にも過去10年間の独占禁止法違反の罰金として、総額約18億ドルを欧州委員会から科されたことがある。
Microsoftは声明で、同社製品/サービスのライセンス規約が抱える問題を是正すると約束した。「Microsoftの声明は欧州のクラウドベンダーを対象としているが、この問題は世界中に影響する」とミラー氏は説明。「欧州の問題を解決するだけで終わらせないでほしい」と強調する。
特にオフィススイートの「Microsoft Office」は、世界中の企業で利用されているため、「素早い是正が必要だ」とミラー氏は話す。例えばAWSの仮想デスクトップサービス「Amazon Workspaces」でOfficeを使用しているユーザー企業は、「ライセンス契約の内容で利用料金に多大な影響が生じる」(同氏)。
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