開発者向けのクラウドサービスは「Microsoft Dev Box」だけではない。「クラウドIDE」はその代表例だ。開発者がクラウドIDEを受け入れているかどうかを知ることは、Microsoft Dev Boxの成否を占う上で参考になる。
Microsoftの「Microsoft Dev Box」は、開発者に向けてコーディングに必要なワークステーションをクラウドサービスとして提供する。開発者はアプリケーション開発に必要なツールや仮想マシン(VM)、ネットワーク機能などを、クラウドサービスとして利用できるようになる。
開発者向けのクラウドサービスはMicrosoft Dev Boxだけではない。既にGoogleの「Cloud Shell Editor」やAmazon Web Servicesの「AWS Cloud9」など、統合開発環境(IDE)のクラウドサービス(以下、クラウドIDE)が市場に存在する。
クラウドIDEは、開発者の利用が十分に進んでいるわけではない。その理由は主に
という、当然かつ厄介な課題があるからだ。
「開発者は古い習慣に立ち戻る可能性がある」と、マーケティングソフトウェアベンダーのHubSpotで開発者関係構築のシニアマネジャーを務めるクリス・ライリー氏は言う。開発者にとって、使い慣れたワークステーションで、使い慣れたIDEを用いて開発を進めるのは、とても快適だ。インターネット接続の有無によらずIDEをすぐに利用できるので、積極的にクラウドIDEを利用したいという気持ちになりにくい。
開発者にとってMicrosoft Dev Boxには特有のメリットがある。それでも開発者がMicrosoft Dev Boxを積極的に採用することは、クラウドIDEと同様に「期待できない」とライリー氏は予想する。「それ以外に選択の余地はないと言われて初めて、開発者は採用を検討する」というのが同氏の見方だ。
Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」との連携によって、Microsoft Dev Boxが市場に変化を引き起こす可能性があるとライリー氏はみる。同氏はこのメリットが、Microsoft Dev Boxの採用の動機となる可能性があると予想する。
開発者がMicrosoft Dev Boxを試したくなる、もう一つの理由が「利用可能なIDEの幅広さだ」と、調査会社IDCでソフトウェア開発分野のリサーチバイスプレジデントを務めるアーナル・ダヤラートナ氏は説明する。Microsoft Dev BoxのゲストOSは「Windows」であり、Windowsで実行可能なさまざまなIDEを実行できるからだ。
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