一時的にはPC需要が低迷するなどのマイナス要因がある中でも、専門家はSSDの活用は広がり続けるとの見方を示す。用途や価格において注目すべき点とは。
ウクライナ戦争やインフレ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)といった、消費行動を抑制する動きが絡み合う中で、NAND型フラッシュメモリベンダーが戦略転換を図る可能性がある。専門家が注目するのは、SSDの用途や価格だ。
SSDベンダーや市場調査会社などによれば、当面はPCやスマートフォンの需要低迷が続き、NAND型フラッシュメモリの価格を低下させる可能性がある。一方で、企業向けSSDの需要は堅調に推移するとの見方がある。この市場動向を受けて、NAND型フラッシュメモリベンダーは分野ごとの販売戦略を変更する可能性があるという。
具体的には、製品を需要の強い他分野に転用することだ。半導体分野の調査会社Objective Analysisでアナリストを務めるジム・ハンディ氏は、1つのメモリセルに3bitを格納する記録方式「TLC」(トリプルレベルセル)のNAND型フラッシュメモリに注目する。「コンシューマー向けSSDに使われているTLC方式のNAND型フラッシュメモリは、企業向けSSDでも使用できる」とハンディ氏は言う。
NAND型フラッシュメモリベンダーによるこうした取り組みは、必ずしもユーザー企業のストレージコスト削減にはつながらないとハンディ氏はみる。「主要ストレージベンダーは、価格変動の波を乗り切るための戦略を取る傾向にあるからだ」とハンディ氏は述べる。
ストレージベンダーは、一般的には原材料費を基にする「コストベース」の価格設定をするのではなく、製品がユーザーにとってどのような価値があるのかを基にする「バリューベース」の価格設定を採用している。ハンディ氏によれば、NAND型フラッシュメモリの価格は長期的に見ると一定程度の幅で下落する傾向にはあるものの、短期的にはストレージアレイの販売価格が大きく変わることはない。
NAND型フラッシュメモリの価格が長期的に一定のペースで下落することを前提にしたとしても、将来的にストレージアレイの価格がより魅力的になると考えるべきではない、とハンディ氏は付け加える。先行きを見通すならば、需要についても考慮する必要があるからだ。市場調査会社IDCのアナリスト、ジェフ・ヤヌコビッチ氏は「ペタバイト級のストレージアレイ製品が多様化するとともに、NAND型フラッシュメモリに対する企業の需要は増加し続ける」と述べる。
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