「ゼロトラスト」だけでは不十分? Microsoftが挙げる“もう一つ”の鍵MicrosoftのCEOが語る「これから必要な技術」【第4回】

世界的に深刻化するサイバーセキュリティ被害への備えとして、Microsoftは製品設計にさまざまなセキュリティ技術を組み込もうとしている。MicrosoftのCEOが強調する、セキュリティ対策の鍵は。

2023年03月30日 05時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

 MicrosoftのCEOサティア・ナデラ氏は2022年11月、シンガポールで開催した開発者やスタートアップ企業向けのイベントで、アジア太平洋地域におけるクラウドコンピューティングの展望について語った。同氏は講演の中でサイバーセキュリティの重要性に言及。同社はどのような方針でセキュリティ対策に取り組んでいるのか。

ナデラ氏が強調する、Microsoftのセキュリティ対策の鍵は

 サイバー犯罪に起因する損失は世界規模で広がりつつある。この状況を踏まえて、ナデラ氏は「サイバー攻撃を回避するために必要なのは、システム全体を見渡すアプローチだ」と話す。ID管理、エンドポイント保護、アプリケーションセキュリティ、インフラセキュリティなど、あらゆる製品の設計にゼロトラストのアーキテクチャを組み込まなければならない。

 だが「それだけでは不十分だ」とナデラ氏は語り、必要なのはシステムの状態や動作を監視し、異常な動作や脅威を検知するための“信号”だと指摘。続けて「結局はインテリジェンス(情報から得られる知見や知識)がものをいう。毎日発生する数兆ものイベントから得られた情報を、製品の安全性を高めるために利用している」と説明する。

アジア太平洋地域のMicrosoft Azure採用事例

 Microsoftはアジア太平洋地域の大企業数社をクライアントに抱えている。タイの金融サービス企業SCB X Public Company(SCBX)や、スリランカの複合企業John Keells Holdings、アジア有数の医療サービスグループZuellig Pharmaなどがその例だ。

 Zuellig Pharmaで生産性プラットフォーム事業の責任者を務めるバルビール・シン・ディロン氏は、このイベントで自社の事例について講演した。Zuellig Pharmaはクラウド移行にクラウドサービス群「Microsoft Azure」を採用し、まずERP(統合業務)システムを移行させた。「Microsoft AzureでSAPのインメモリデータベース『SAP HANA』を運用することで、コスト削減ができた」とディロン氏は説明する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製

品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news060.jpg

Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき課題」1位は「ジェンダー平等」――SHIBUYA109 lab.調査
SDGsで挙げられている17の目標のうち、Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき...

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...