MicrosoftがデータベースからAIまで「Azure」に集める“真の狙い”は何なのか?MicrosoftのCEOが語る「これから必要な技術」【第3回】

Gartnerの予測によれば、2025年までに世界のデータの10%がGenerative AI(生成AI)モデルによって生成されるようになる。このような未来では、データをどのように扱う必要があるのか。

2023年03月28日 05時00分 公開
[Aaron TanTechTarget]

 MicrosoftのCEOサティア・ナデラ氏は、2022年11月中旬にシンガポールで開催した、開発者やスタートアップ企業向けのイベントに登壇し、アジア太平洋地域におけるクラウドコンピューティングの展望について講演した。

 同氏はまず、データ基盤(データの保管、分析などに必要な技術やシステム群)とAI(人工知能)技術に言及。「2025年までに世界のデータの10%が、画像や文章、プログラムといったコンテンツを生み出す生成AI (ジェネレーティブAIとも)モデルによって生成されるようになる」という調査会社Gartnerの予測を紹介した。

Microsoftが思い描く「最高のデータ基盤」とは

 生成AIモデルがさまざまなデータを生み出す変化の延長線で、堅固なデータ基盤を必要とする新しいアプリケーションが生まれるとナデラ氏は指摘する。「データに関するさまざまなシステムをつなぎ合わせるのではなく、データファブリック(異なる場所に点在するデータを一元的に扱うアーキテクチャ)を検討すべきだ」(同氏)

 ナデラ氏はデータファブリックの構築を検討する際の一例として、Microsoftのマネージド型データベースサービス「Azure Cosmos DB」を挙げる。これはNoSQLとリレーショナルデータベース(RDB)を扱える。同氏は「Azure Cosmos DBとマネージド型データベースサービス『Azure SQL Database』を組み合わせれば、最高のオンラインデータベースが誕生する」と強調する。同氏はそれに加えて「クラウドDWH(データウェアハウス)の『Azure Synapse Analytics』にリアルタイム接続したり、統合データガバナンスサービス『Azure Purview』で一元管理したりすることも可能だ」と説明する。

 ナデラ氏はシステムをクラウドサービスに移行させることについて、このように強調する。「物理サーバをラックに積み重ねる必要はなくなる。Azureのデータ基盤を利用すれば、無限のデータ資産を持てるようになる」

 データ基盤を整えたら、大規模なAIモデル構築を開始し、作成したAIモデル群をアプリケーションやサービスと連携させることができるようになる。MicrosoftはAI技術ベンダーOpenAI製のAIモデルを使用できるAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)サービス「Azure OpenAI Services」を提供しており、「AIモデルを一から構築する必要はない」とナデラ氏は強調する。


 第4回はMicrosoftのセキュリティ対策に関する方針について紹介する。

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