BBCがDX計画を遂行するには、予算不足をはじめとする課題が山積している――。こうした懸念の声が上がる中、DXに後ろ向きとも取れる同局会長の言葉が波紋を広げた。真相は。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を表明した公共放送局BBC(英国放送協会)は2020年10月に「戦略的技術レビュー」(STR:Strategic Technology Review)を開始し、2025年までの間に投資すべき技術のニーズや要件を検討した。英国会計検査院(NAO:National Audit Office)の報告書によれば、BBCはSTRに基づくデジタルコンテンツやデジタルサービスの開発に、年間約5000万ポンドを追加投資する。ただし計画の先行きは不透明だ。
デジタル事業に注力する他の競合メディア企業と比べて、BBCがデジタルコンテンツ開発に使える資金が不足している――。NAOが2022年12月に公開した報告書「A digital BBC」は、BBCの現状をこう説明している。
英国公会計委員会(PAC:Public Accounts Committee)は2023年1月、BBC会長のティム・デイビー氏、最高執行責任者(COO)リー・タバジバ氏、最高製品責任者(CPO)ストーム・フェイガン氏に対して証人喚問を実施した。PACは「BBCのSTRに基づくと、どのような新しい運営モデルが必要なのか。STRはもはや機能していないのではないか」と疑問を呈した。
この議論の背景には、デイビー氏が2022年12月に、英国の主要な放送事業者が運営する慈善団体Royal Television Societyのイベントに登壇した際の講演内容がある。そこで同氏は「デジタル化は視聴価値をさらに引き出す大きな機会を提供する」と前置きしつつ、「そのためには大幅な組織改革とデータ利用方法の抜本的な見直し、世界水準の技術チーム、新しい運営モデル、創造的なアイデアが必要だ」と、デジタル化に消極的だと取れる説明をした。
デイビー氏はPACの質疑に対して、講演での発言は「STRの変更を意味するものではない」と説明。運営モデルに言及したのは「テレビや放送コンテンツだけではない、新しい運営モデルを構築しようとしているという意味だった」と強調した。「いかなる形でも後戻りはしない」(同氏)
第3回は、DXを推進する上で、BBCが進める具体的な取り組みを紹介する。
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