ITポートフォリオの要となるプロジェクトを管理するに当たり、CIOに求められるのは、必要なスキルのみならず優れたリーダーシップを発揮してスタッフのやる気を引き出せる優秀なプロジェクトマネジャーだ。
プロジェクト管理は従来のような上意下達型アプローチに代わって、より共同作業的なやり方が主流になっている。こうした中、成功するのは協調型のプロジェクトマネジャーだと、米調査会社GartnerのPPMサービスリサーチディレクター、マイケル・ハンフォード氏は言う。
「(上意下達型の環境では)プロジェクトマネジャーの多くは調整はするが管理はしない。上からの命令をチームに伝え、その後課題や不満、問題、疑問を上司にフィードバックするという対処を取る。(プロジェクトマネジャーが)こうした問題に直接対処することはできない。やってしまうとたたかれる」とハンフォード氏。しかし現在では、プロジェクトマネジャーがより共同作業的な環境で、チームと直接かかわって問題解決に当たることが増えているという。
しかし中堅企業の中には、予算が限られる中でプロジェクトマネジャーにリソースを割くことに二の足を踏むところもあるかもしれない。ミシガン州立大学の場合もそうだった。管理情報サービス責任者のスコット・マクギル氏は、導入10年目になるレガシーシステム刷新のための人材採用に、あまり乗り気ではなかった。しかしぜひそうすべきだと説得され、今では確信を持つようになった。
マクギル氏は言う。「プロジェクトの成功の少なくとも50%は管理のやり方に掛かっている。わたしはそう確信するまでに苦労したが、そうして良かったと思っている。未来のためにこれは必須だ」
では、プロジェクトマネジャーの成功の要因となるのは何か?

プロジェクトマネジャーは予算管理とプロジェクト立案・規模調整のノウハウを持ち、スケジュールを守れる人材でなければならない。経験豊富で、資格があればなお望ましい。しかし優秀なプロジェクトマネジャーであるためには、優れたリーダーとしての能力を発揮できなければならないとハンフォード氏は言い、以下3つの資質を挙げている。
プロジェクトマネジャーは、一緒に働く相手のことをよく知っておくことが重要になる。「プロジェクトマネジャーは、自分の周りに座っている相手についてよく理解しておく必要がある。相手が何を求めているのかをつかみ、別の相手を通じて結果を出す必要がある。スタッフにやる気を出させ、どうしたら奮起させられるかが分かっていなければならない。わたしの意見では、こうしたことができない人材はプロジェクトマネジャーにはなれない」(ハンフォード氏)
成功するプロジェクトマネジャーとは小さな企業の経営者のようなものだとハンフォード氏は話す。プロジェクトの予算やリソースが限られ、完成までの時間が限られていることも多い。プロジェクトマネジャーはそうした中でチームメンバーを正しい方向に動かすことが求められ、しかも法律問題、規制問題といった幾つもの課題を見過ごすことも許されない。これは小さな会社を経営するのと非常によく似ている。
「机の上には書類が山積みになり、役所対応も片付けなければならない。それでもプロジェクトマネジャーはプロジェクトをしっかり管理し、問題やトラブルになりそうな個所に目を光らせる必要がある」(同氏)
「プロジェクトマネジャーは、人生の半分を人と話して過ごす」とハンフォード氏は言う。優秀なプロジェクトマネジャーは、グループの中の各人と打ち解けた時間を持ち、チーム内の動向を把握する。そうすることで、チームのメンバーに疑問や不安が生じた場合でもプロジェクトマネジャーに近づきやすくなる。「近づきやすい存在になること。耳を傾け、心の内を話させること」(ハンフォード氏)
たとえ自分の権限が及ばないことであっても、チームの声に耳を傾ければ、プロジェクトマネジャーは心構えとしてプロジェクトが日々どのように進展し、チームメンバーがそれにどうかかわっているかを把握できる。
資格について言えば、Project Management Institute(PMI)の国際資格PMP(Project Management Professional)などは候補者選びの材料にはなるが、必ずしも決め手にはならない。
マクギル氏もプロジェクトマネジャーを選ぶに当たり、PMPを必須条件にはしなかった。ただしプラスにはなった。「わたしにとって資格が大切なのは、その人物が資格を取るという熱意と粘り強さ、目標を持っていることを示すものだからだ。資格を取るには大変な努力が要る。わたしは資格を取るに至ったその実務能力を評価する。ただし、それは1つの要因にすぎない。経験とリーダーシップの方が勝ることもある」(マクギル氏)
マクギル氏は、若くて優秀かつ熱心に働く意欲を持ったプロジェクトマネジャー数人を採用した。経験やトレーニングに不足があったとしても、熱心さと物覚えの早さでそれを補ったという。