Windows 7のシェアはいまだ拡大中
Windows 8のダウングレード権では解消しない、MSの焦りと企業の不安
Windows 8の導入を検討しているIT担当者にとって、ダウングレード権は魅力的なセーフティネットだ。だが、それで導入に二の足を踏む全ての要因が解消されるわけではない。
米MicrosoftはOEMメーカーによるダウングレード権の提供を認める方針だ。ダウングレード権があれば、ユーザーはWindows 7が付属した新しいPCを購入できる。Windows 8はタッチスクリーン機能とタイル式インタフェースを採用しているため、これまでのWindowsとはユーザーエクスペリエンスが非常に異なる。Microsoftとしては、使い慣れたWindows 7へのダウングレード権を提供することで、ビジネスユーザーの不安を払拭したいのだろう。
国際的なコンサルティング会社、米The Kapoor Groupの会長兼経営責任者を務めるアジット・カプール氏は、「ユーザーは、まずWindows 8に移行する価値があるのかどうかを考えることが重要だ。Windows 7ではできなかったこと、新たにできるようになることは何かを考える必要がある」と指摘する。
ダウングレード権はWindows 8浸透の決め手になるか
米国の国際保険会社でインフラストラクチャアーキテクトを務めるマイク・ネルソン氏は、「IT担当者からすると、ダウングレード権があればWindows 8を採用しやすくなる」と言う。
「IT担当者がWindows 8へのアップグレードで神経をとがらすのは、アプリケーションの互換性とハードウェア要件、スケーラビリティだ。このうち2つで問題が発生した場合、ダウングレード権があればライセンスを気にせずに後戻りできる」
しかし、他のITプロフェッショナルや専門家らは、現在もシェア拡大中のWindows 7からWindows 8へのアップグレードに踏み切るには、もう少し説得力のある材料が欲しいようだ。
法人コンサルティング企業の米Pund-IT 主席アナリストのチャールズ・キング氏は、「決め手は、Windows 8搭載のハードウェアによってパフォーマンスが大幅に上がるかどうかだ」と話す。
しかし、たとえIT部門が納得できるパフォーマンスが得られても、一夜にしてWindows 8にアップグレードできるわけではない。多くの場合、OSアップグレードの計画には半年から1年、場合によってはそれ以上の時間を要する。アップグレードにはユーザーの再教育やアプリケーションのテスト、デバイスドライバの互換性テストなど、さまざまなステップが必要になるためだ。
先のカプール氏は、「Windows 8の外観は大幅に変更されているため、企業が直ちにユーザーの再教育を始めることはないだろう」と指摘する。「最終的にWindows 8がデスクトップ分野で成功を収めるとしても、この成功はユーザーのペースでもたらされる。Microsoftの都合に合わせて進むわけではない」
また、企業では最初のサービスパックが出るまで、Windowsのアップグレードを保留する例が多い。MicrosoftはWindows 8 Service Pack 1(SP1)のリリース時期を明かしていないが、Windows 7の場合、SP1が出されたのは初期リリースから1年4カ月後の2011年2月だった。
Microsoftは2012年8月初旬にWindows 8のコードをメーカーに渡しており、Windows 8搭載システムの販売は、2012年10月26日に解禁される予定。OEM最大手の米Hewlett-Packardと米Dellはコメントを控えているが、両社とも解禁日にWindows 8搭載PCをリリースするとみられる。なお、Windows 8のダウングレード権を得るには、Windows 8 Proを購入する必要がある。
卒業の時を迎えたWindows XP
米Web分析会社のNet Applicationsによると、2012年8月、Windows 7の市場シェアがついにWindows XPを抜いた。現在、デスクトップOS市場において、Windows 7は42.8%、Windows XPは42.5%。Windows OSの中では Windows Vistaが6.2%で最下位となった。XPとVistaのシェアは縮小傾向だが、Windows 7は拡大しているという。調査会社の米Directions on Microsoft ロブ・ホロウィッツ氏は、「Windows新バージョンへのユーザーの移行準備が整うまで、企業は新規PCの購入を見合わせようとするだろう」と話す。
Windows 7アップグレードの関連記事
一方、Windows XPの運用を継続したいユーザーに対して、専門家は「卒業の時が来た」と指摘する。Windows XPの初版がリリースされたのは2001年10月。今では更新もされず、ダウングレードの対象にもなっていない。サポートも2014年4月に全面的に終了する。
Windows 7&Windows 8移行の関連記事
Windowsのライセンスに詳しい、米Pica Communicationsの主席コンサルタント ポール・デグルート氏は、「今後1年半以内に Windows XPから完全に移行する必要があるが、Windows 8 SP1のリリースを待ってからWindows 8の導入を計画、実行するのでは間に合わない」と、警鐘を鳴らしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
事例
三菱ケミカルが脆弱性への迅速な対応フローを実現した方法とは? -
技術文書・技術解説
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ -
事例
大阪市の未来を創る「行政DX」の本質と、その取り組みを支える統合基盤の実力 -
事例
【行政DX先進事例】横浜市が「市民に大切な時間を返す」を実現できた理由とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
「データ集約」はリスクだらけ? 分散型データセンターが“必然”になる理由
-
4
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
【漫画付き】"RAG導入失敗3例"と処方箋 「入れても使われない」を終わらせる
-
7
Claudeが耐量子暗号を攻略 迫られる暗号移行計画の見直し
-
8
管理職542人に聞いた AIやデジタル化でなくしたい主な事務作業第1位は?
-
9
弁当の玉子屋がSalesforceを導入 属人化した営業管理から脱却する
-
10
AIで成果を出すエンジニアを育成 サイバーエージェントが実践する文化醸成術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
4
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
5
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
6
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
7
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
8
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
9
動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー