2014年4月のサポート期間終了を目前に控えながら、今なお多くの企業がWindows XPを使い続けている。だが、サポート期間終了後も使い続けることのリスクを考えれば、今からでもOS移行計画を進めるべきだ。
米Dimensional Researchは2010年、「Microsoftが2014年4月にWindowsXPのサポートを終了した後、ユーザー企業は同OSをどのように扱うか」について、950人の企業のITプロフェッショナルにアンケート調査を行った。その結果、48%が「同OSを使い続ける」と答えた。
2012年に米IDCがリリースした報告書では、「サポート終了時点でWindows XPが動作しているのは、Microsoftベースの商用クライアントのうち11%にすぎない見込みだ」としている。ただし、この調査のスポンサーは米Microsoftであり、調査対象企業もわずか9社だ。2014年の時点で相当数の企業が依然としてXPベースのシステムを利用していると見るのが現実的だろう。これらの企業はサポート終了に伴い、3つのリスクに直面する恐れがある。
MicrosoftはWindows XPのサポート終了後、同OSのソフトウェアアップデートの提供を中止する。最大の懸念は、ウイルスやワームなどのマルウェアからコンピュータを防御するセキュリティフィックスが提供されなくなることだ。
Microsoftの「Security Intelligence Report」によると、現在もセキュリティのアップデートが提供されている唯一のバージョン、「Windows XP Service Pack 3」がマルウェアに感染する危険性は、32ビット版の「Windows 7 Service Pack 1」に比べて2倍以上、64ビット版の「Windows 7 Service Pack 1」と比べると3倍近くあるという。セキュリティアップデートが提供されなくなればWindows XPはさらに脆弱化する。Windows XPのサポート期間終了後、サイバー犯罪者たちは同OSへの攻撃をさらに強める可能性がある。
コンシューマライゼーションの進展に伴い、「生産性」と「IT」はますます密接な関係になっている。その点、Windows XPは約10年前に製造されていたハードウェア上で動作し、当時の技術と連携するように開発されたOSだ。10年前のものより高速かつ効率的になった今日のソフトウェア/ハードウェアをフル活用することはできない。例えばWindows XPでは今日のPCのメモリ機能を十分に生かせない。
加えて、最近のクライアント端末は高解像度ディスプレー、タッチスクリーン機能、高速USBポート、Bluetooth、Wi-Fiといった機能をサポートしている。Windows XPでは、こうした機能をネイティブでサポートしていない場合が多い。これは近年のハードウェアの機能をフルに利用できるOSに比べて、XPベースのシステムは生産性が大幅に劣ることを意味する。特に家庭用システムや携帯端末に組み込まれた最新のインタフェースに慣れたユーザーほど生産性が阻害されるはずだ。
企業にとっては、利用可能なサードパーティー製ハードウェア/ソフトウェアが減ることも大きな問題となる。周辺機器に対応ドライバが含まれなくなり、新製品だけではなく、従来製品のアップデート版もWindows XP上では動作しなくなる日がそう遠からず来るはずだ。
「既存システムを今と全く同じ環境で運用する」という企業もあるが、それはあくまで一時的な解決策でしかあり得ない。例えば、米Mozillaは「SP3以前のWindows XPをサポートするのは、Firefox 12が最後のバージョンになる」と発表した。つまり、ほとんどのXPユーザーにとって当面は安心だということになる。しかしFirefoxやその他のブラウザがSP3へのサポートも打ち切れば、ユーザーは最新のアップデートを受け取れなくなるため、自社システムを大きなリスクにさらすことになる。ブラウザ機能のアップデートを必要とする新しいWeb技術を利用することもできない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
サイバー攻撃の進化を受け、特権ID保護においてもより高度な対策が求められるようになっている。特に、SSHキーやSSL/TLS証明書など、特権アクセスを利用するパスワード以外のIDにも注意を払う必要がある。
情報の安全性やアクセス性の向上を目的にクラウド移行が加速する中、システム環境のハイブリッド化によって特権ID管理の重要性が高まっている。特に課題となりやすいクラウド環境の特権ID管理を中心に、効果的な運用方法を紹介する。
組織変更や人事異動では、多くのアカウント登録・変更・解除が発生し、情報システム部門に多大な業務負荷がかかる上、セキュリティリスクにもつながりやすい。Microsoft 365ユーザー企業に向け、課題を解決するヒントを探る。
働き方の多様化を受けてIT資産の状況も細分化が進んでいる。こうなると運用負荷が増大し、不十分な管理がコンプライアンスやセキュリティのリスクを招いてしまう。現状に適した管理体制に移行するには、どのような対応が必要なのだろうか。
独自開発したIT資産管理ツールが属人化し、セキュリティリスクにつながる不安要素となっていた東レ。しかし、今やその状況は変わり、インベントリ情報のリアルタイム更新を実現し、正確性も向上したという。同社はどう取り組んだのか。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。