ユニファイドコミュニケーションの未来は?
徹底入門:アンテナを張っておきたいモバイル通信の新規格
本稿では、モバイル通信の規格と、モバイルコラボレーションにインパクトを与えそうなユニファイドコミュニケーションの新しい規格の概要を説明する。
ユニファイドコミュニケーション(UC)は、社員が勤務時間に使う全てのエンドポイントで広く使われているが、その恩恵が最も及んでいるのがモバイルデバイスだ。企業におけるモバイルデバイスは、クライアントPCと併用するサブ機からPC代替機へ、あるいはPCとサブ機の一体機へと長足の進歩を遂げている。同様に、コンシューマー指向のアプリケーションからエンタープライズグレードのアプライアンスまで、さまざまなベンダー製品も進化を見せている。
UCは音声をはじめ、ビデオ、ドキュメント共有、メッセージング、プレゼンスといった多様な技術が利用されており、当然のことながら、企業にとってもベンダーにとっても、大きく異なるフォーマット間やエンドポイント間でコミュニケーションを維持するのは簡単ではない。こうした中、IT担当者が現在抱える課題への対応を目的とした、さまざまな規格や、ベンダー固有の規格の実装が登場している。
UC規格:知っておくべき定義
UCとモビリティは、多くの規格によって定義されている。このことは、マルチベンダー環境や各種エンドポイントを運用する必要がある企業にとって好ましい。しかし、これらの規格の大部分は、ベンダーが同業他社との差別化のためにいろいろと手を加えて使用する基準や構成要素にすぎない。それでも最も基本的な規格の一部に絞ってポイントを押さえておこう。
SIP(Session Initiation Protocol)
IETF(Internet Engineering Task Force、インターネット技術の標準を定める国際的な団体)が策定した。音声およびビデオ通話、音声およびビデオ会議、IM(インスタントメッセージング)、プレゼンスアプリケーション、ファイル転送の多くの実装におけるシグナリングと制御のメカニズムは、この規格が定義している。
H.323
ITU(International Telecommunication Union、国際電気通信連合)が策定。初めて承認されたVoIP(Voice over Internet Protocol)規格であり、現在も大半の実装はこの規格に基づいている。
H.264
同じくITU規格。「MPEG-4 AVC」とも呼ばれる。この動画圧縮規格は、Blu-ray DiskからYouTube、広く普及したビデオ会議技術、有力なインタラクティブWebアプリケーション技術である「Adobe Flash Player」や「Microsoft Silverlight」まで、幅広く使われている。動画圧縮規格として定着している。
UCIF(Unified Communications Interoperability Forum)
IMやプレゼンス、テレフォニー/IPテレフォニー、ビデオ会議、呼制御、音声認識の異なる実装の統合をスピードアップすることを目的としている団体。米Hewlett-Packard(HP)、米Microsoft、米Polycom、米LogitechとそのLifeSize部門、米Juniper Networksなどが参加する(米Cisco Systemsの不参加が目立つ)。
UCの新しい規格
UCがもたらす可能性、特にモバイルとの組み合わせによる可能性は、「サイロ化したコミュニケーションインフラは、UCの根本的な考え方や、さらにはUCの名前と相反する」ことに、多くのベンダーや政府機関の目を開かせた。
かなり多くの規格の策定が進められており、最も画期的なものは、Webベースでプラットフォーム非依存のオープンソース規格だ。これは、アプリ作成者が近いうちに、エンタープライズレベルのセキュリティとミッションクリティカルな機能性を備える格安(または無料)のUCスイートを開発できるフレームワークを手に入れられることを意味する。以下では、UCに新しい定義を与える規格の一部を紹介しよう。これらにはアンテナを張っておくべきだ。
WebRTC
米Googleが推進しており、前出IETFと、Web技術の標準化を推進するW3C(World Wide Web Consortium)の2つの標準化団体が策定している。この規格により、ブラウザから音声通話などの音声アプリケーションを簡単に開始したり実行したりすることが可能になる。WebRTCは現在、Googleの「Chrome」や米Mozillaの「Firefox」といったブラウザの安定版で動作する。「Internet Explorer」の名前が出てこないが、それはMicrosoftがこの規格を受け入れていない、あるいはサポートしていないということではない。そうではなく、GoogleとMozillaがWebRTCの導入と統合を急ピッチで進めたということだ。
VP8
H.264に代わる選択肢。無料で使える。WebRTCと同様にわずかなシステムオーバーヘッドでブラウザに統合されたビデオ再生や、ビデオ通話および会議を利用できるようにするために策定された。VP8はバッテリー寿命が特に気になるモバイルデバイスにうってつけの技術となっている。
802.11u/802.21
最も有望な無線LAN/携帯ネットワーク間ハンドオフ規格ファミリーで、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子技術者協会)が規格している。これらの規格のIEEEワーキンググループは、ユニファイドモバイルアクセスの実現を目指している。これらの規格は、Wi-Fiネットワークと携帯ネットワーク間でシームレスな通話ハンドオフを実現し、例えば、ユーザーがオフィスビルに出入りするときに、接続が切れることなく、通話が別のネットワークに切り替わるようにすることを目的としている。また、これらの規格は臨時のWi-Fi音声会議、QoS(Quality of Service)、現行の802.11a/b/g/n Wi-Fi規格よりもはるかに強力なセキュリティを実現する仕組みも提供する。
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